表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~空島編~
183/292

176話 懐かしき景色

今話からアフターシナリオ ~空島編~が始まります!

 カトレアちゃんといちゃいちゃ……することなくコハルちゃんを含めた三人で魔動車に乗っているのは私ことサクラ・トレイルである。付き合うことになったはずなのに今までとなにも変わっていない。


「元々いちゃいちゃしていたからの。むしろ付き合っていないのが不思議なくらいだったのじゃ」

「そんなことないんだけど……」

「そういうことにしておこう」


 コハルちゃんの立ち位置よ……。恥ずかしいのかそっぽを向きつつも尻尾が揺れてるカトレアちゃんも可愛いね!


 今乗っているこの車はチェリエ共和国に滞在するあいだにハカセからもらった車で、アニエス王国に行くまでの間に私が考えた図案を元に作製されたものだ。図案を送ってから一年しか経ってないのに作っちゃうハカセに脱帽だね。


「これは楽じゃのう」

「ちょっと暇ね」


 自動迎撃(・・・・)されて散っていく魔物をみて二人が呟く。魔物が消滅して残った魔石も自動(・・)で回収されていく。

 これは移動の快適性を向上するために私が後付けをしたものだ。自動迎撃用の魔砲を装着できるようにして普段はおしゃれでも移動中は私の魔力感知に対応して魔物を魔法で打ち抜いて行くようにした。自動回収はストレージの入り口を付けたため、亜空間に繋がっており、吸引力が変わらない魔石回収機で行っている。


「次は空島だね」

「ウィードさんの故郷よね? 行き方は聞いてるの? 宙に浮いてるんでしょ?」

「この車で飛んでいくだけだよ。防寒対策もしたし自動迎撃機能を付けたのも空島に行く途中で襲われても平気なようにするためだし」

「ほほう。準備が良いの」

「こうなることを見越していたからね」

「「ダウトね(なのじゃ)」」

「ひどい……」


 車が壊れたのもここ半年で車が届いたのもたまたまだけどさ……。空島に行くことが決まってからこうなることを見越して準備していたのは本当なのに。ぐすん。


「よしよし。嘘泣きはダメよ」

「カトレア!?」


 上げてるのか落としてるのかどっちなのかな? ちなみに内装も私が空の魔法で拡張してるからかなり広い。運転は魔力感知を元に自動で動くようにしてあるからする必要もなく、私はカトレアちゃんに膝枕をしてもらいつつ尻尾をモフモフしている。こここそが天国!!


「どこから空を飛ぶのじゃ?」

「海が見えてからにするつもりだよ」


 ワクワクしているコハルちゃんには悪いけどチェリエ共和国の食料が木の実ばかりで肉類をほとんど自力で消費してしまったため道中で補給しなければならないのだ。お肉は魔石と同時に回収しているけど魚は海か港町までいかないと補給できないからね。


「サクラは魚好きよね」

「カトレアもでしょ?」

「嫌いじゃないわ」


 三人で話しつつ車を飛ばす。遠くに町が見え始めると魔砲と魔石回収機を取り外してシンプルな見た目に変える。このままだと喧嘩を吹っ掛けに行くのと勘違いされちゃうからね。


 何事もなく港町に入り、三人で町を観光する。女二人と子供一人の組み合わせが珍しいのかちらちらと視線を感じつつも無視をして町を歩いていると天翼族が多く目に入る。


「空島に一番近い町なのかな?」

「そうかもしれないわね」

「それにしても見られておるのう」

「女三人が珍しいんじゃ?」

「そんなわけなかろう。少ないが居ないわけではないのじゃ」


 うーん? 確かにいることにはいるけど……たしかに私達ほどは目を引いてないみたいだね。


「そこのお兄さん(・・・・)可愛いね。自信無くしそう」

「美形カップル尊いでござる」


 聞き耳を立ててみるとどうやら私が男だと思われているらしい。しまった、前世からの男らしさがにじみ出てしまったか。


「胸でしょう」

「消去法だと思うのじゃ」

「ぐぬぬ」


 そうだと思いましたよ。私とカトレアちゃん両方の特徴を持った娘がいたらどっちかが父親だと思うもんね。カトレアちゃんは明らかに女の子だから消去法で私が男扱いされるというわけだ。


 冒険者ギルドに立ち寄って道すがら回収した魔石を換金してお金を補充して魚を買い占めていく。これで当分お魚さんに困らなそうだ。

 天翼族が多いからか寿司屋さんもあり、本格的な握り寿司を前世ぶりに食べる。美味しかったけど値段はね……。換金していて良かったとだけ言っておくよ。


 ―――


「そろそろ出発しましょう。それにしてもしばらく魚は見たくないわ」

「食べ過ぎたのう」


 お寿司が思っていた以上に美味しかったのか大量に食べて苦しそうにしてる二人を見て苦笑する。最初生魚なんて……と言っていた人には見えないね。


 苦しんでない私を恨めし気に見てくるけど二人の自業自得だ。適当に取った宿で二人を介抱して一日を終える。和室が多くて過ごしやすい。カトレアちゃんとコハルちゃんも私の家で和室を経験していたから問題なく過ごしているね。


 次の日、チェックアウトをしようとすると女将さんに驚かれた。どうやら外の人は和室や着物など天翼族(日本)文化に慣れていない人が多いらしく、アメニティグッズと共にあった和服を自力で着れる人が珍しいようだ。……私が女だったことに驚いたわけじゃないと思う。


 ウィードさんから話は聞いていたけど近くの町でも懐かしさを感じることが出来るなんて。空島がますます楽しみになってくるね!

次話は明日の17時投稿予定です


評価とブクマ、いいねをお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ