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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ 〜神樹編〜
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173話 チェリエ共和国

 宴に来賓として参加していたはずが次期トップグループの一人に名前を呼ばれたのは私ことサクラ・トレイルである。逃げちゃダメかな?


「悪いことにはならないから安心するのよ〜」


 母の言葉に観念して前に出る。エルフ達から上がる歓声も今までよりも大きく少しビックリしたのは内緒だ。


「今後は私を含めたこの七人で国をまとめていきたいと思う。大変なことも多いと思うが我らを信じてついてきて欲しい」


 ―――


 ネリネ様の演説が終わり、宴も終了となった。私を含めた七人と母、カトレアちゃんとコハルちゃんの十人でネリネ様の家にお邪魔する。


「話を聞いてないんですが?」

「ごめんなさい。でもサクラちゃんをこの国に縛るつもりはないから安心してちょうだい」


 開口一番にネリネ様に詰め寄ると両手を上げつつ事情を説明してくれた。


 新体制については昨日私達が国の観光している間にここにいるメンバーで決めたらしい。しかし途中でどこで話を聞いたのかエルフ達が押し寄せて来て(救世主)にトップにたって欲しいと意見を出てきたみたいだ。

 私達の態度から迷惑をかけると判断したネリネ様は形式上でだけトップに立ってもらいつつ、私を縛らないようにするために外交補佐の役職を作って私を任命したらしい。

 主な仕事は外の国の情報を仕入れること。なんと報告は百年に一度してくれたら問題ないそうだ。……要は外の国を観光してこいとのこと。


「ずいぶんと考え方が変わりましたね」

「え、ええ。サクラちゃんに言われて私の思う幸せを押し付けていたのかと考えさせられたのよ」

「可愛い孫の言うことは無下に出来なかったってことよ〜」


 一昨日は喧嘩別れみたいになってたのに……と気になって聞いてみると母がニヤニヤしつつ私を後ろから抱きしめてきた。


 母曰くネリネ様は巣立って行った母と一緒に居たかったのと女王としての立場になることが幸せだと考えていたらしい。理由がなんであれ帰ってきた子と孫を我欲半分子を思う気持ち半分で閉じ込めたと。頬を少し染めて照れているネリネ様。憎めない人かな?


 母の家を手入れしていたのも倉庫の補充をしたのも子ども部屋を増築したのもネリネ様だったとか……。ツンデレかな?


 とりあえず反抗期で出ていった母の言うことならともかく反抗期では無く幼子である孫の言うことはすんなりと受け入れられ、母とも和解できたと言っている。幼子って……私はもう二十超えてますよ? 百歳もいってないエルフは幼子? さいですか……。


「何はともあれ迷惑をかけたが第二の故郷として考えて欲しい。そちらの狐っ子も一昨日はすまなかった。私としては子を想ってるつもりだったんだけど……」

「こちらこそ言い過ぎてすまぬ。分かってくれたのなら嬉しい」


 ネリネ様とコハルちゃんのわだかまりも消えたみたいだ。


 その後、六人が中心となって国の方針を決め、私達も助言をしたことで悪くない指針が定まったと思う。今後も遊びに来たら歓迎して貰えそうだしネリネ様と喧嘩別れみたいにならなくて良かった。


 こうして新生チェリエ共和国が出来上がった。


 ―――


 しかし、それからも大変なことは多かった。元々ののんびりとした気質からか朝行う魔力の奉納を忘れる人が出てきたり決めたルールが浸透しなかったり……。特に大変だったのは一目惚れしたと言って近寄ってきたザックを追い返すこととなんでか拗ね始めたカトレアちゃんのご機嫌を取る必要が出てきたこと。そして母とネリネ様が喧嘩したときは周りに被害が出ないように抑えるのが命懸けだった。母は言わずもがなだが、ネリネ様も女王をしていただけあって魔法の使い方が上手かったのだ。ネリネ様が長命ゆえの技術と自慢していた通り、基礎を突き詰めるところまで突き詰めた結果魔法のレベルが一段階進化しているようだった。

 ファイアーボール一つをとっても五倍近くの威力が出ていた。なんでもありなら間違いなく私が勝つけど同じ条件なら勝てなさそうだ。


 半年程チェリエ共和国で過ごし、とある物を完成させた私はこれ以上滞在する必要が無いと判断して外に出ることにした。残念ながら母とはここでお別れだ。


「私も少ししたら家に帰るわね〜」

「母さま、私達はまだ帰る訳じゃないからね?」

「そうだったわね〜。いつでも帰ってらっしゃい」

「うん」


 今回は半年一緒に居たからかすんなりと送り出してくれた。ちょっと寂しい。私の寂しさを感じ取ったのかカトレアちゃんが手を握ってくれた。嬉しいけどちょっと恥ずかしい。母は微笑ましそうに見てきてコハルちゃんはちょっと遠い目をしつつため息を吐く。


「ちょっと長居しすぎたわね」

「そうだね。早く他の大罪の欠片を探しにいかないといけないね」

「大罪の欠片探しにとっては無駄な寄り道じゃったの」

「こらこら、無駄とか言わないの。今後のヒントだって貰えたでしょう」


 正直ここまで長く滞在するとは思っていなかったけど仲良しのエルフも増えたしカトレアちゃんも受け入れられたみたいだし来て良かったと思う。それにカトレアちゃんとも……。


 なんと言ってもオリディア様のお陰で誰がどの大罪に対応しているか、どんなスキルを持っているか知ることができた。直接的な進捗では無いけどもこれからの旅でかなり優位に立てる情報をもてたと思う。


 残りは憤怒と暴食に色欲、それから強欲の四つだね。SDSで出てきた性格を考えるとドランが憤怒、ルディが暴食、ヴィヴィが色欲かな? となると残りのジークが強欲? 似合わない感じがする。何か見落としが無いといいんだけど……。

次話は明日の17時投稿予定です


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