表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ 〜神樹編〜
175/292

169話 異変の原因

 ミニレアちゃん改めコハルちゃんの事も一段落したところでオリディア様からアビスの核を返された。


「あれ? 処分するんじゃないの?」

「そうするつもりだったのだけど……サクラちゃんなら上手に使えるかもしれないと思ってね」

「上手に使う?」


 アビスの核なんて残しても百害あって一利なしじゃ? 大罪の欠片がとりつくと不完全とはいえアビスが復活するし……下手したら全ての欠片を取り込んで完全復活する可能性すらありそうだ。


「すでに嫉妬と傲慢、怠惰の欠片は消失したでしょう? 嫉妬と怠惰の欠片を吸収していて危険だと思ったけどコハルちゃんが孵化した時に核から欠片が消えたのよ」

「つまり?」

「それでコハルを大罪の欠片だと判断して処分しようとしたんだね?」

「そういうことよ」


 うん? コハルちゃんに問題がないとしたら欠片はどこにいった?


「言い方悪いけどもしかしたらコハルちゃんは浄化装置なのかもしれないわ。セレスちゃんのことだから卵の孵化にサクラちゃんとカトレアちゃん二人の魔力を使うことは予想していたと思うし、そこでサクラちゃんの怠惰の欠片を引きはがしたかったとか……」


 もしそうならコハルちゃんの存在は対アビスのジョーカー的な存在になりそうだね。道具みたいに使うなんてことはしないけど話を聞いた限り戦力としても期待できそうだし一つの案として考えておこう。


「そういえば、私が魔力を流す前に孵化したのはなんで?」

「ストレージの中に入れていたからじゃない?」

「なるほどね。魔力を吸収したのもちょっとずつだから今まで孵化していなくて受け取るタイミングで満タンになったと」


 外部から魔力を吸収するなら私が魔力感知用に漂わせている魔力も吸収しているよね。ご都合主義全開のタイミングだったけど無事孵化したから気にしないで良いかな。


「待ちなさい、結局アビスの核を使うってどういうことかしら?」


 カトレアちゃんの質問にハッとする。自然に話題が変わりすぎて話を終わらせようとしちゃったけど今のままだと危険物返されただけだね。


「今までの戦闘で気付いていると思うけど欠片って倒しても逃げ出すでしょう? それを使えば逃がさずに捕獲できると思ったのよ」

「なるほど……」


 確かに嫉妬の欠片はカトレアちゃんに、傲慢の欠片はローレンにとりついたね。逃亡先をアビスの核にしてあげれば他の人にとりつくことなく倒すことが出来るってことか。嫉妬の時は元気な時にアビスにとりついたから倒した後逃げたけど、一度倒した後にとりつく場合は逃げないと考えていいのかな? 理解が早くて助かると。本当はオリディア様が説明しなきゃダメなことだよ?


 この石(アビスの核)の使い方は簡単だ。大罪の欠片に遭遇したら逃げ出すまで追い詰める。そして逃げ出す直前にアビスの核をストレージから取り出すだけ。……うまくいくかは分からないけど誰にとりついている分からない状況よりはマシに思える。知り合いじゃなかったら変化も分からないからね。


「そろそろ帰ろうかしら。目的も達成できたし楽しかったわ」


 私達が納得したのを見たオリディア様が帰ろうとする。まだなにか忘れているような……。


「あ! 細工って何?」

「え? 覚えてたの? あはは……言わなきゃダメ?」


 私達のジト目に負けたオリディア様がぽつぽつと話し出す。


 結論から言うと今回の神樹の異変はオリディア様が原因だったらしい。と言っても何かしたわけでは無くむしろ何もしなかった(・・・・・・・)結果、神樹に虫が増殖したとのこと。


「ちょうど二人が近くまで来ることが分かっていたからセレスちゃんの住処を神界とつなげるための試練にしたの!」


 そして虫退治を試練とすることで顕現はできなくとも私達と接触できるように微調整したらしい。エルフ達への流れ弾が酷すぎるよ……。


「大丈夫大丈夫! 二人がしっかりと対応してくれることは分かっていたから」


 普通は分かっていてもそんなことできないんだけど……。子煩悩な母親かと思いきや、こういった感覚のズレが逆に神様だと知らしめてくるね。


「また機会があったら会いましょう。エルフのみんなももう起きると思うわ」


 オリディア様の姿が消えると空の色が白から青に変わる。神界とのつながりが切れたみたいだ。


「さっきまで気づかなかったけどこの神樹はチェリエ共和国のものより大きいのかしら?」

「どうだろうね。私には同じくらいに見えるけど」


 今見えている神樹はセレスの住処に生えている神樹だからチェリエ共和国で見たものと別物だ。どうやら中の空間で繋がっていたみたい。ブルーム王国にある神樹にも出ることができるのかな? 別に使う予定はないけど後で道を探しておこう。


「私達も戻りましょうか」

「妾もせっかく肉体を得たのじゃ。さっさと動きたいぞ」


 今更ながら急かしてくる二人に苦笑しつつ神樹の中へと入っていく。この時の私達はチェリエ共和国に戻ったら観光できると考えていた。もう一波乱あるなんて想像もせず……。

次話は明日の17時投稿予定です


評価とブクマ、いいねをお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ