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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ 〜神樹編〜
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166話 迷路の先

 神樹の迷路を抜け、最後の休憩スペースで休んでいるのは私ことサクラ・トレイルである。全ての虫を駆逐してやる!


「そろそろ行きましょうか」

「そうだね」


 しっかり休めたのかさっさと地上に戻りたいのか……多分後者だと思う……カトレアちゃんに急かされて扉の前に立つ。さて、鬼が出るか蛇が出るか……。


「まぶしっ」


 扉を開けると目に入ってきたのは眩しいけどホッとする光。後ろを振り向くと神樹の根元みたいだ……入口に戻された!?


 慌てて辺りを見回すと見覚えのないはずなのに懐かしさを感じる場所だった。


「ここは?」


 雲ひとつ無い真っ白な(・・・・)空、古き良き日本家屋のような建物と庭があり、緩やかな水の流れが質素なのに上品な雰囲気を作り出している。


「サクラ! ここがどこか分かる?」

「んぁ? コホン、セレスの生まれた場所だと思う」

「そう、セレスの…………。生まれた場所ですって!?」


 ぼーっとしていた私の肩を掴んでカトレアちゃんがこの場所について聞いて来たため質問に答える。私が懐かしさを感じるのはセレスの魂の欠片が私の魂に混ざっているからだろう。


「サクラちゃん久しぶりね。そしてそっちの子がカトレアちゃんかしら?」

「オリディア様!?」

「え? え? オリディア様って創造神様ってこと!?」


 突然現れたオリディア様に驚くけどカトレアちゃんの様子を見て正気に戻る。自分よりも取り乱した人を見ると冷静になれるよね。


「きゃー! 狐っ娘可愛いわぁ。あなたも私の娘にならない?」

「え? なに? 神様に抱きつかれてる?」


 混乱してるカトレアちゃんに抱きついて甲斐甲斐しく頭を撫でるオリディア様。やめてあげて、カトレアちゃんのライフはもうゼロよ!


「オリディア様、カトレアを離してあげてください」

「嫌よ! せっかく会えたのだから仲良くしたいわ♪」

「カトレアに嫌われたくなければ離れてください」

「分かりました!」


 解放されたカトレアちゃんが私の後ろに隠れてオリディア様を警戒している。……そういうことしても可愛いだけだぞ?

 それにしても私のカトレアちゃんにずっと抱きついているとか何様か? ……創造神様だったね。


 一瞬で場がカオスになりかけたけど愛娘(セレス)が居ないからすぐに収まって良かった。


「なんでオリディア様は顕現してるんですか? 試練を突破しないと干渉できないはずでは?」

「サクラちゃんは私が降りてくるの嫌?」

「そ、そんなことは……」


 うるうるとした目で見てきても困る。本当のことは言えないに決まってるでしょう。


「オリディア様、嫌いか嫌いでないかではなくて、どうして私達の前で顕現しているのかが問題なんです。前に聞いた時は決まった時以外に顕現できないって言ってましたよね?」

「サクラ、創造神様に対して言い過ぎじゃあ」


 私の言葉にしゅんとした演技をするオリディア様に騙されてカトレアちゃんがオリディア様の事を庇う。ちょっと面白くない。ムスッとしているとオリディア様が復活してペラペラと話をしだす。


「やっぱカトレアちゃんはいい子ね! 神霊(私の子供)達も可愛いしいい子だけどカトレアちゃんには負けるかも知れないわね。あぁ、サクラちゃんも不貞腐れなくていいのよ。サクラちゃんも可愛いと思っているわ。ただカトレアちゃんには初めて会ったからテンション上がっているだけなのよ」


 豹変したオリディア様を見てカトレアちゃんが目を白黒させている。でもスイッチを入れたのはカトレアちゃんなので諦めて話を聞いてあげて欲しい。


「いつまでたってもサクラちゃんがカトレアちゃんのことを紹介してくれないからこうやって細工をしたわけなの。二人とも面白いものを持ってるみたいだし!」


 ん? 気になる内容が聞こえたぞ? 八割がた無駄な話なのに残り二割に重要な話が入ってくるから油断できない。なおも話し続けているオリディア様を止めて気になったことを聞く。


「細工って何をしたんですか? それと私達が持ってる面白いものって?」

「え? えっと、あはは」


 明らかに誤魔化し始めたオリディア様にジト目を送る。


「カトレアちゃーん。サクラちゃんが冷たいの!」

「オリディア様、サクラの質問に答えてくださいますか?」

「カトレアちゃんが素直に捕まってくれたらいいわよ?」


 オリディア様がカトレアちゃんを追いかけ、カトレアちゃんが私を盾にしてオリディア様から身を守った結果、二人は私の周りをグルグル回り始めた。

 少しの間グルグルしていた二人だったけどオリディア様は突然私ごとカトレアちゃんを捕まえてきた。


「かくほー!」

「子供ですか!」


 以前会った時よりも精神年齢幼くなってない?


「子供達にはしっかりしてると思われたいじゃない」


 気になって聞いてみるとそんな答えが返ってきた。

 …………しっかりはしてなかったと思うよ? とは口に出せず曖昧に頷いておく。


 そのままの流れで屋敷にお邪魔して食事を振舞ってもらった。二人でお風呂に入ってお布団に…………なにか忘れているような?

次話は明日の17時投稿予定です


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