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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ 〜神樹編〜
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164話 神樹の調査

 神樹に手を付いて様子を確認しようとしているのは私ことサクラ・トレイルである。触診や音での検査、はたまたエコー検査までおこなったけど何も分かっていない。……というか大きすぎて何も理解できない。


「何か分かった?」

「水を吸ってることと生命力が残ってること、魔力が体力に含まれてる事は分かったけどあまり意味が無さそうかな」


 元の生命力が大きすぎて正直弱っているのか分からない。にわか知識で調べるよりも感覚第一で調べてみよう。


「カトレア、近くに水源があるか探してくれる? 水源があったらその水の毒性を調べて。水源が無かったら根元の土を掘り起こして水気のある土が出てきたら水分絞り出して毒性を調べてくれる?」


 これは念の為行う検査。病気ではなく毒で弱っている可能性もあるからね。毒だった場合誰が毒を撒いたのか調べなきゃいけないけど。ただ、基本的にエルフしか来れないみたいだし植物を攻撃するエルフがいるとは思えないから基本的には違うと思っている。可能性があるとしたらアビスの罠だよね。今のカトレアちゃんなら罠にかかると思わないから任せて大丈夫だと思う。


「任せなさい」


 危険性も伝えてからカトレアちゃんを送り出す。いつまでもカトレアちゃんを見てないで私もやることをしないとね。


 まずは根元を一周して気になるところが無いか確認する。樹皮に荒れが無いか、細い根が伸びてないか、じっくり見ると時間がいくらあっても足りないからざっと流しつつ見ていく。


「異変は無さそう……だよね」


 正直植物の研究をしていたわけじゃないから雰囲気で判断するしか無いけど特に問題はないように?


「うわっ!」


 適当に神樹に触りつつ歩いていたら突然神樹の中に吸い込まれた。


「はぇ…………」


 神樹の中は広大な立体迷路でした。天井? が空いてるから空を飛べば迷路を無視して進めそうだけど嫌な予感がするね。

 上を見上げるとミミズのように見える壁がたくさん。重量が反転してないと歩けなそうな場所まで迷路になっているみたい。集合体恐怖症の人は発狂しそうな場所だ。


 攻略するには一週間でも足りなそうな迷路は後回しにして一度外に出る。カトレアちゃんと合流してから取り組むつもりだ。……一人が寂しいわけじゃないんたからね! 嘘です。ここ最近ずっとカトレアちゃんと一緒に居たから一人になると寂しかったりします。どうしよう、前よりも心が弱くなったのかもしれない。


 首を振って弱気を追い出して神樹の外側を登っていく。また迷路の入口みたいなものがあるかもしれないから空を飛ぶのは無しだ。ロッククライミングならぬウッドクライミングは初めてするけど神樹の生命力が凄いからか安心して身を任せられる。


 引っ掛ける足場の無いなか最初の枝が生えている所まで到達する。後ろを向くとチェリエ共和国を一望でき、最初にこの国に入って来た時の森の奥まで見渡すことが出来る。こうやって見ると森が斜めになっているわけでも無いみたいだ。空の魔法で結界でも張ってあるのかもしれないね。


 枝はエルフの命と繋がっているらしいから折らないように慎重に観察する。


「んぅ?」


 幹で感じられた生命力が枝に行き渡っていない。節かどこかが詰まっているのかも……。迷路を歩く時は確認してみよう。


 その後も枝を確認しつつ神樹を登っていく。枝を確認すると生命力が薄い枝が九割、生命力が満ちている枝が一割……あながち枝とエルフの命が繋がっているのも嘘じゃないのかも。元気な枝は触れようと思ったけど途中で弾かれた。まさかの自衛機能付きだったよ。


 雲を突き抜けチェリエ共和国が豆粒に見えるほど登ったところでふと一つの枝が目が着く。一箇所から二本の枝か伸びている。枝先を見てみると途中で一本に繋がっていた。


「私と繋がってる枝は君かい?」


 返事が返ってこないことを承知で話しかける。それでも私には枝が返事をするように揺れたように感じた……。


 ―――


「戻ってくるのがおそいわよ! 心配したじゃない!」

「ごめんごめん。ちゃんと収穫はあったからさ」


 私と繋がっている枝を見つけた後、少ししてから地面に戻るとカンカンに怒っているカトレアちゃんが待っていた。


 実はまだまだ先が有りそうだったのだが、枝はもう上に見えなかったことと大気圏に突入しそうだったことからこれ以上登るのは断念したのだ。時間もかかっちゃったからね。


「何が分かったのよ。ちなみに水に毒は含まれてなかったわ」

「そっか。ありがとう」


 私が何度かごめんねと謝ったらため息をつきつつも心配したんだからと呟いた後、許してくれたカトレアちゃんはやっぱり私に甘いと思う。私としてはデロンデロンに甘やかして欲しいから良いけどね。


 カトレアちゃんに神樹を登って気付いた事を共有していく。神樹の中が迷路になっていてカトレアちゃんと入る為に一度後回しにしたこと、その後神樹を登ったことを話した。


「神樹に登ろうなんて考えるのサクラくらいよ」


 カトレアちゃんが頭を痛そうに抑えているけど普通登るよね? 私が変なわけじゃないよね?


 その後、節の部分が異変の原因かもと述べ、この国がどこにあるのか(・・・・・・・)を伝えてから今日は休むことにした。

次話は明日の17時投稿予定です


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