表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ ~海底王国編~
139/292

135話 アビスとの戦い

 マジュリーとリヴィと合流してアビスと向き合うのは私ことサクラ・トレイルである。

来てくれた二人には悪いけど私が今打てる最強の技よりも威力のある攻撃を二人ができるとは思えないよね……。二人ともサポート役だから。


「サクラ、アレは一人じゃ絶対に勝てないわ……よ?」


 リヴィがアビスの事を見て言葉を止める。確かに強いしピンチだけど絶対に勝てないことは無いよね? 現にアビスも動きが良くなってるとはいえあちこちボロボロだし。


「なんでダメージ入ってるのよ!」

「へ?」


 なんでって攻撃したらダメージは入るでしょう? 硬すぎて通りは悪いけどね。

 リヴィが信じられないものを見る目でしばらく私を見たあとため息をついてから首を振った。……だいぶ失礼じゃない?


「気が抜けたわ。帰っていい?」

「え……、良いけど魔力が欲しいかな」

「良いんだ……」


 私の返答にガックシしながら遠い目をするリヴィ。いや、ほんとどうしたの?


「えぇ。えぇ。あのセレスの契約者がまともなわけ無かったわ。いやなんで絶対防御貫通してるのよ。対象の一人からの攻撃は全て無効化されるはずなのに。というか何よあの姿。アレってクジラの姿のはずよね。力も増してるみたいだし……」


 うーん。放っておいていいかな? ずっとブツブツ言ってるし……。ん? 魔力が回復してきた?


「〜〜♪」


 なるほど、マジュリーの歌の効果みたいだね。母数のめちゃくちゃ高い私の魔力でも実感できるレベルで回復させるなんてだてに契約者やってないね。


 両手を前に向けて魔素の支配(ニブルヘイム・真)の空間をアビスに集める。私の様子を見たマジュリーが歌の曲調を変えた。


崩壊(コラプス)


 威力は一定だから一点特化してもダメージ量は変わらないけど準備から発動までの時間を短くできるし、何よりも魔力が節約できる! ふふん! 何度も何度も……それこそここら一帯の魔力を使い尽くす程崩壊(コラプス)を発動した訳じゃないんだよね!


 右手と左手で交互に崩壊(コラプス)を使ってダメージを重ねていく。マジュリーの歌の曲調が変わってから魔力の回復量は減ったけど、代わりにアビスの動きが鈍くなっている。いや、マジュリー万能だね。さすがサポート専門家。


 リヴィが自分の世界に入ってる間にマジュリーと共にアビスを追い詰めていく。怪我をしても自分で回復する必要ないし、魔力の使いすぎも気にしなくていいおかげで強気で攻めることができるのが気持ちいい。魔力について考えたこと無いだろうって? ……そうなんだけどね、強くなってから初めて魔力枯渇の危機になったばかりだから有難く感じるんだ。


 途中から自分の世界から帰ってきたリヴィが手助けをしてくれてアビスへのダメージが一気に増える。さすが神霊様だね。私の全力よりもダメージ量多そうだ。

 リヴィに頑張るね! と宣言するとリヴィが何か言いたげな目でこちらを見てからため息をついた。扱いが酷いな!?


 そのまま順調に攻撃を続けていくとアビスが発狂し始めた。


『UKIJAHONOMIRIGARU』


 何を言ってるんだろう? いや、発狂してる相手の言葉に意味なんて無いよね。最後に氷華でアビスの首を切り落とす。ずっと続けていた攻撃のおかげですんなりと刃が通り、アビスの首が転がった。


「終わったのかしら?」


 ここでフラグを立てちゃう!? 慌ててアビスに向き合い警戒する。するとアビスの体が膨れ上がり始めた。フラグさん仕事早すぎ!


「え? なになに?」

「逃げるよ」


 うまく状況を把握できてないリヴィと慌てて転んでいるマジュリーを回収して遠くに向かって走り出す。


 ―ポスン―


「「「…………」」」


 後ろから聞こえた間抜けな音に思わず立ち止まる。リヴィで顔を見合わせてからアビスのいたところを見ると黒い石が地面に落ちていた。……回収した方が良いのかな?


「サクラ。それは何?」


 黒い石を拾おうとするとリヴィが毛を逆立てつつ聞いてきた。


「私にも分からないよ。クジラ? が欲しがってたんだよね。悪い奴だって分からなくて見せたら私ごと食べようとしてきたからストレージにしまってたんだけど勝手に出て行ってクジラと合体したんだよね。そのままクジラがアビスに変身したの」

「なるほど……。それにしてもサクラはよくそれを持っていて平気ね。私達神霊とあなた達契約者にとっては近くにあるだけで辛いと思うんだけど」

「嫌な雰囲気はあるけど辛くは無いかな?」


 それにしても神霊と契約者だけだなんて範囲が狭いね。理由があるのかな?


「それはアビスの核みたいなものよ。アビスっていうのは……」

「そこら辺の話はオリディア様から聞いてるよ。大丈夫」

「そう。なら想像つくと思うんだけどアビスは私達神霊を煙たがってるのよ。それで敵意みたいなのを発してるから近寄れないのよ。残念ながらお母様(創造神)の娘である私達よりも叔父であるアビスの方が格上だからね」


 なるほど。だからこそ私は平気なのかもね。封印状態とはいえアビス本人のもっと大きな悪意を受けたことがあるから……。


「実は私の父親がアービシア……アビスが人として堕とされた存在なの。それで一度思いっきり悪意にさらされたことがあってね……。そこで克服したのか慣れたりしたんじゃないかな?」

「そ、そうなのね」


 リヴィがドン引きしてる気がするんだけど気のせいだろうか。一先ず黒い石を前回よりも厳重に封印をしてストレージにしまう。これでこの石は見つからないと思う! きっと!


「ところでマジュリーは?」

「まだ目を回してるわ。休ませてあげて」


 アビスが膨れ上がって私が二人を回収した時から一言も話さないと思っていたら気絶していたみたい……。歌を歌ってお疲れのところを私が止めを刺しちゃったか。

次話は明日の17時投稿予定です


評価とブクマ、いいねをお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ