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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
アフターシナリオ 〜新たなる旅立ち編〜
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119話 港町

 王都を出発し、魔動車を運転しているのは私ことサクラ・トレイルである。かれこれ数時間走ったが、魔物にも遭遇せず順調に進んでいる。それでもそろそろ日が落ちてきたし今日はここまでかな。


 本来であれば日が暮れる前に野宿の準備を初めて暗くなった時には準備を終えてないと危険が多いけど私には空の魔法という心強い味方がいる。難易度が高く、空の魔法を使えるようになって二年も習得までかかってしまったが、今の私は亜空間に居住空間を作ることができる魔法“スペース”が使える。スペースの中にはシャワーお風呂完備でトイレまである。トイレはストレージを天の魔法で改良したダストボックスのスキルにつなげていて、いつでも清潔な空間を維持できるように調整している。


「アイテムボックスにスペースにゲートにどんどんサクラが便利人間になっていくわね」

「魔法のいいところだよね」

「そんな使い方できるのはサクラくらいよ……」


 忘れがちかも知れないけど私の魔力は普通の人よりも数千倍から数万倍ある。というかセレスのおかげで実際に使える魔力量はさらにその何十倍と跳ね上がるのだけどね……。何が言いたいかというと、私であれば超級適正の魔法であろうとも日常的に使うことができるけど普通の人は日常生活で魔法を使うとすぐに魔力が枯渇してしまうのだ。その代わりに魔道具が発達してるんだけどね。


「やっぱり十年前よりも魔物の数が減った気がするわね。セレスが魔王から解放された影響かしら」

「そうかもしれないね」


 セレスが他の世界線へと旅立ってから魔物の数が減少したように感じる。一つ疑問が一つセレスはアースフィアが創られたときから生きていたはず。それなのに私が十五年前くらいに突然魔物が活性化し始めたこと。魔王と関係があったとするとセレスが生まれた時からずっと魔物は活性化していたはずだから大人しかった魔物が活性化することには違和感があるのだ。……セレスは何か知ってるかもしれないけどね。


 その日はそのままスペースの中で眠り、次の日、日が昇る前に動き始め、しばらく車を走らせると海が見えてきた。


「海だーーー!」

「綺麗ね。とても広大……でも少しだけ飲み込まれそうで怖いわね」


 久々に見た海に感動する。タイミングも丁度よく日が昇り始め、朝日が海に反射してキラキラと光っている。この光景を見るために今日は早く行動したのだ。カトレアちゃんは初めて見る海に少し恐怖を感じながらも感動しているみたい。早起きしたかいがあったね。


「そしたら私はカトレアを助けてあげるよ!」

「その時は頼むわ」


 ちょっとだけ弱弱しく答えるカトレアちゃんに首を傾げる。なにかあったのかな?


「気にしなくていいわよ」

「う、うん……。何があるか知らないけど一人で抱えないでね?」


 セレスの時みたいに私が力になれるかもしれないからね! するとカトレアちゃんがこっちを見てからため息を吐いた。なんで!?


「ほら、行くわよ。美味しいお魚食べるんでしょう?」

「うん。刺身に煮魚、丼も食べよう!」


 あれ? なにかはぐらかされた?


「早く動かないとおいて行くわよ」

「ごめんごめん。行くから置いてかないで」


 門番も衛兵もいない門を通り抜け港町にはいる……。


「どちらかというと漁村?」

「こらっ。そういうのは思っても口に出さない」


 いやいや、カトレアちゃんも私と同じこと思ってるじゃん。いやね、王都で情報収集した時は普通に活気ある港町って聞いてたんだけど、今のこの場所はどこからどう見ても寂れた漁村でしかない。街並みが荒れてるわけではないんだけど、外に出てる人がそもそも少ない。天の魔法で家の中に人がいるのを感じるから全員消えたみたいなホラーではないみたいだけどね。ん? 魔力が絡まってる場所があるから一応解いておこうかな?


 とりあえず少し遠くにいた第一村人(おじいさん)に話しかける。


「すみません。旅の者ですが……」

「んー? 若いお嬢ちゃんじゃな。悪いことは言わねえ。さっさと家に帰りな。こんな場所にいるもんじゃねえ」


 ……話しかけただけで追い出されそうになった。でもおじいさんの目は私達を厄介者として見てるのではなく心配してる目をしている。


「これでも私達は冒険者ですし強いので大丈夫ですよ。魔物ですか? 海賊ですか? それとも領主が悪い人に変わったとか……」

「な、なんでそれを……。半年前からクラーケンを従える海賊がこの町で暴れていてこの町の領主様を傀儡にしているから訴えてももみ消されるし若い男は労働力として働かされ、若い女も連れてかれ、残ったのはわし等老人と子供だけ、漁にも出られず段々と廃れ、助けを呼びに行くにも隣の町は遠く冒険者が来ても海賊に捕らえられてしまう。そんな状況を一目で分かったのじゃな?」

「そ、そこまでは分かってなかったかな……」


 突然の説明をありがとう。というか適当に言ったこと全て当てはまってるね……。


「カトレア……」

「そうね。先に問題を解決してからアニエス王国に向かうことにしましょうか……」


 さっすがカトレアちゃん! 私の言いたいことが分かってるね? パパっと解決してさっさと港町を助けるよ!

次話は明日の17時投稿予定です


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