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小さな龍のレクイエム(改稿版)  作者: セレシア(旧 助谷 遼)
小さな龍のレクイエム<セレシア視点>
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100話 帰還

祝百話達成!

 サクラの精神が囚われていた世界が崩れ、一足先に私は目を覚ました。サクラの処置は終わったからサクラも直に目を覚ますだろう。


 ヴァニティアに苦戦しつつも食らいつくライアスと、自らの複製体と戦うレオンの姿が見える。ヴァニティアはいい仕事をするね? ライアスを抑えるのはともかくレオンにも幻を見せるなんて……。私の木の実で力を増してるとはいえなかなかできる事じゃないよ。一先ず私も三人と合流できたし、無事にサクラを助けることができたからヴァニティアに合図を送る。本人も限界が近かったらしく、幻を消して気合いを入れている。


 三人の戦闘を見ているとサクラが目を覚ました。良かった! 精神も問題無さそうだ。まだ黒の魔法の後遺症は残っていそうだけど魂が馴染んだら治りそうだ。

 私がサクラに食べさせた木の実には回帰薬の効果を持たせている。簡単に言うと過去の世界線のオリジナルのサクラの精神を今のサクラに統合したのだ。何も知らずに平和に、幸せに暮らしていたサクラの魂を。既に無かったことになった魂とはいえ勝手に使うことは躊躇いがあったけど私にとっては龍馬と今のサクラの方が大切だ。


 まだまだ再起動しないサクラに頭突きをする。龍馬も調子の悪い家電? は叩くと直るって言ってたからね! 家電が何か分からなかったけど、きっと今のサクラを想定して言ったんだと思う! ほら! ちゃんと目が覚めたみたいだよ!


 サクラには黒の魔法なんて無縁でいて欲しいから闇魔法と嘘をつく。どうやらサクラにもアービシアの闇魔法に心当たりがあったようですんなりと信じてくれた。こら! 今は私の一人称なんてどうでもいいでしょ! 言葉一つで成長した気分になれるんだから! り、龍馬と釣り合いがとかじゃないからね! うん、そうだね。なんて答えよう……。


「私ももう大人だからね!」


 嘘はついてないよ? こらー! そこで首を傾げるないの! よしっ! お返しに少しイタズラしちゃおう。


「ほれほれ、そんなことよりアービシアをやっつけちゃおう!」

「なんか元気になったね」


 っ! 一瞬息が詰まる。龍馬に会えた、思い出すことができた。でも、アービシアについても思い出してしまった。そして私は……。顔に出てしまったことに気が付き慌てて誤魔化す。良かった、誤魔化されてくれた。ちょっとだけ考え込んだサクラだったけど、アービシアの事を思い出したみたいだ。


「今戦闘中じゃん!」

「さっき戦闘中って私言ったよね?」


 レオンとライアスが……だけどね! それにしても意識から外れていたとは……私のイタズラも不発だったじゃないか!


「さて、父さま。いや、アービシア! 覚悟しろ!!」

「ぷふっ」


 やった! 引っかかってくれた! ……いや、この様子だと私のイタズラに引っかかったんじゃなくて素で思ったんだな? サクラに状況の説明をしてからヴァニティアに合図を送る。そろそろサクラの魂も馴染んだしレオンにもバレないと思うからね。……ヴァニティアには悪いことしたな。もう少し後でレオンの幻を消させれば良かったかな? いや、レオンあれ以上長ければレオンにバレていたと思うし、無事に生き延びたみたいだからいいよね?


「はあはあ、セレシア様。グリフスの手伝いに行ってきますね」


 ヴァニティアには私に一言残すと部屋を出ていった。……無茶しなくていいからね? ……そうだ、ヴァニティアが作ってたライアスの幻ことなんて誤魔化そう。流石に不自然だったよね? ……ふんふん。鏡を割ったことにする!? そんなこと出来るわけ無いのに!! 鏡はお母さまが創ったんだよ? そっか、サクラはそんな裏事情知らないのか。なら誤魔化せるかもね。


 怠惰の大罪(ベルフェゴール)で出した結論に従って何とか誤魔化す。うん。大丈夫そうだ。


 サクラ達と一緒に王都に戻る。今までは姿を消していたけど今は人の形態でサクラと一緒に歩いて帰る。くふふ。こういった時間も楽しいね! アービシアは麻酔効果を持たせた植物でグルグルにして運ぶよ! 私に任せてね!


 実は、私の記憶が戻ったことで新しいスキルを手に入れた。特殊スキル、魔物の支配者。効果は文字通り魔物を操ることができる。魔族に向かってスキルを使うと服従させた上でステータスを少し上げられるみたい。……魔物は知能が低いから簡単な命令しか出来ないけどね。それでもサクラを鍛えるためには役に立つスキルだ。サクラの経験にならない弱い魔物は遠ざけて、骨のある魔物やサクラが苦手とする魔物を呼び寄せる。バレないように少しだけ。一般の人に被害が行かないようにも注意しないといけないね。


 王都に到着する。あれ? 門番さんにめっちゃ見られる。……とりあえず手を振ってみたら手を振り返してくれた! やったね! 王都の中でもみんなこっちを見てくる。確かに私は普段姿を見せてないけどそんなに見るものなのかな? 一度パレードで見たよね?


 不思議に思いつつも冒険者ギルドに到着する。中に入るとざわざわし始めた。何かあったのかな? キョロキョロしてるとレイラに突然頭を撫でられた。えへへ。……あれ? 私のことを子ども扱いしてない? ……でも頭を撫でるの上手だから許してあげる!


 奥の部屋に入るとブルーム王国の国王がいた。う、何度か王都を滅ぼした時の記憶が浮かんできた。首を振って頭から追い出す。あ! サクラいいな! 私にもお菓子ちょうだい!


 お菓子を食べてるとサクラの姿が私に似ていることを聞いてサクラが驚いている。SDSにはそういった説明が無かったのかな? お菓子を食べてお腹が膨れたら眠くなってきた。頑張って起きてたけどそろそろ限界……おやすみなさい。


 目を覚ますとサクラが報告を終えるところだった。あ! そうだ! アービシアのことどうするか忘れてた! えっと、とりあえず聞きたいことあるだろうから自白作用のある要素を入れて……ふんふん。アービシアの記憶が戻ってないのに黒の魔法を使えたのは私の木の実が原因なの!? ヴァニティアがアービシアを魔族に変えようとしたのがトドメになったみたいだね。むむむ。今まで私が創ってきた木の実の効果を打ち消す作用を追加しよう。それにしてもなんでヴァニティアはアービシアを魔族にしようとしたのかな? ……ふんふん。アービシアが魔族になれば私の魔王の支配者で服従させられるからなんだね。


 木の実を創った所で国王がちょうど自白剤を欲しがったから早速渡す。むむ! さすがサクラ。木の実の違いに気が付くとは……。なんとか誤魔化したけど……バレてないよね?

次話は明日の7時投稿予定です


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