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005

~妖しいオークの森~





魔王「……ったく。最悪だぜ。人間にもあんな非道なやつがいたなんて思ってもみなかったな。これからの俺の人生、いったいどうなっちまうんだ……」



魔王「あ、でも今なら逃げ……、ムリムリ。俺の魔王軍をボッコボコにしたやつだぜ? そんなやつが何の策もなしに大事な捕虜をひとりにするわけがない。まず間違いなく何かしらの魔法は仕掛けられてるはずだ」



魔王「てか、食材になるものって言ったっていったい何を探せばいいんだよ。俺は魔王なんだぜ? 自ら動かずとも右から左から豪華な料理がつぎつぎ運ばれてくる魔王なんだぜ? そんな俺が食材探しなんて……」



魔王「ン?」



遠くに見える複数の洞穴



魔王「あれは……、オークの住処か? 前にドワーフ大臣から教わった形状にそっくりだが……、とりあえず中を調べてみるか」





~オークの洞窟~





魔王「聞いてたとおりだ、中は馬鹿でかい洞穴になってる。オークはここで自分の親族たちと暮らしているわけか。さて、見たところまだ備蓄らしきものは残ってるっぽいが、運が良ければというか、あいつがここを荒らしてなければ食材かなにかが残って……」





ガサゴソ





魔王「これは……、骨か。いらん」





ガサゴソ





魔王「骨で作った鈍器らしきもの……。いらん」





ガサゴソ





魔王「骨で作った仮面……。中々厳ついな。これはいざという時、顔を隠すのに使えるかもしれないから持っていくか」





ガサゴソ





魔王「おいおい……。こいつは薬品じゃねえか。睡眠薬に……、解毒剤に……、これとこれは混ぜると激しく水を生む薬……。これぜんぶ人間から奪い取ったものか、ありがたく貰っておこう。もし今ここにドワーフ大臣がいたらきっと喜ぶだろうな」



魔王「そういえば、ドワーフ大臣とサキュバス秘書は今頃なにしてんだろう……」



魔王「いや! 今は感傷に浸ってる場合じゃない! 食材をさがさないと!」



謎の声「ひっ! 冷たッ!」



魔王「!?」



ツリ目女子高生「あ……」



魔王「貴様……!! なんでここに!?」



ツリ目女子高生「アリアさんから魔王さんの監視をしてほしいと頼まれたので。それと万が一のときは背後からこれで刺せと……」



魔王「結構マジな短剣じゃねえか!」



魔王「……はっはっは。いやいや、いきなりそんなもの出されたらさすがの魔王もビビるけど、いくらなんでもそれで刺されたくらいじゃあ俺は倒せないぜ」



ツリ目女子高生「これには猛毒の魔法陣が組み込まれていて、刺した瞬間、それが発動するようになっているそうです」



魔王「……まじで?」




ツリ目女子高生「……まじです」



魔王「よし無駄な抵抗はせず、従順な下僕のまま人生を全うしよう」



魔王「あ、ところで、ひとつ気になったのだが」



ツリ目女子高生「なんでしょうか?」



魔王「俺は貴様のことをなんと呼べばいい?」



ツリ目女子高生「あたしのことは『葵』と呼んでください。家族や友達からもそう呼ばれていたので」



魔王「葵だな、良かろう。で、せっかくなら葵にも食材さがしを手伝ってもらいたいのだが……、いい?」



ツリ目女子高生の葵「はい」



魔王「よし、じゃあ暗いからこれを。あらよっと」



ツリ目女子高生の葵「凄い……! 落ちてた木の棒に一瞬で火を……」



魔王「はっはっは! これくらいの魔法なら俺にだって……」



ツリ目女子高生の葵「魔王さーん! 食材さっそく一つゲットしましたー!!」



魔王「……俺の話、最後まできいてよ」





~数十分後~





ツリ目女子高生の葵「ふう! 結構集まりましたね」



魔王「うむ。これなら当分は食料に困らないだろう」





ドンドコドンドコ。





謎の声「やいやいやいやい。てめえ等、いったい誰に断ってオレ達のアジトに足を踏み入れてやがんだぁ? ええ?」



魔王「え?」

ツリ目女子高生の葵「え?」



謎の声「ここはよぉ、オレ達が占拠してんだよぉ!! 何勝手に人の家に入り込んでやがんだぁ!?」



魔王「こいつら……人間? もしかしてあいつの魔王討伐に便乗してここまで入ってきた奴らか」



謎の声「ハア!? 便乗だとぉ? オレ達、傭兵をなめんじゃねえぞ、クソデブ!!」



魔王「だ、だれがクソデブだ、こら……(ボソ)」



ツリ目女子高生の葵「ま、魔王さん……」



魔王(ハッ! 俺の傍らには、俺を頼りにしている、よく見ればカワイイかもしれない女がいる……。ここで怖じ気づいたら魔王である俺の沽券に関わるぞ……ッ!!)



魔王「仕方ねえ……。葵、俺の近くにいろ。いいな?」



ツリ目女子高生の葵「りょ、了解」





ピタッ





魔王(……く、くっついただとぉ!? こんなのもうセッ○スじゃねえかッッッ!!)



ツリ目女子高生の葵「魔王さん?」



魔王(ハッ! いかんいかん。俺の女に酔いしれてる場合じゃねえ。この場をどうにか収める手段を考えないと)



傭兵リーダー「おい、お嬢ちゃん! こっち来い。オレ達についてくればそいつは見逃してやるぜ!? もちろん従順な下僕としてかわいがってやるから安心しな」



その他の傭兵達「へっへっへ……」



魔王「おい、女心がこれっぽっちも分かってない阿呆ども。今のは聞き捨てならないぜ……。貴様は分かってないようだな。自分がいったい誰の女に手を出そうとしているのかを……」



傭兵リーダー「あ?」



魔王「いいか? 貴様らの汚いその耳をかっぽじってよく聞け。この女はな……、俺のッ!」



ツリ目女子高生の葵「命よりだいじな女王陛下です」



魔王「どうだッ、まい……、え?」



傭兵たち「……は?」



魔王「ちょ、ちょっと……、葵さん? いったい何をいって……」



傭兵リーダー「女王陛下だぁ? お前のような、みすぼらしい女がぁ?」



ツリ目女子高生の葵「そうです。そういうあなたは見た目で判断できるほど、これまでに大勢の女王を見てきたのですか?」



魔王「おーい、葵さーん? キャラ崩壊してるよー?(小声)」



傭兵リーダー「……ずいぶんと強気じゃねえか。だったらよぉ、テメエがいったいどこの国の女王様なのか教えてもらおうか?」



魔王「ちなみに俺は魔王だぞー(小声)」



ツリ目女子高生の葵「……あたしは、……東京っていう国の女王です」



魔王「……トーキョー???」

傭兵たち「……トーキョー???」

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