3話 怪獣と高校生vol.3
今度は頭上から見覚えのあるシルエットの映った紙が雨あられのように降り注いできた。
「これあなたの家の付近で撮った写真よ。」
怪獣メテオの影そのものがばっちりと映った写真が次々と地面に着地していく。
「さぁ、薄情しなさい!あなたの正体を!」
俺が怪獣メテオを飼っていることはまだ確証を得ていないはず。その可能性にかけ、この場をしのぐしかない。だがこの頭がお花畑のお嬢様をどうやって騙したものか。そこが大問題だ。
「そう、あくまでしらを切る気ってわけか。
いいわ、こっちの正体を先に言わないとフェアじゃないものね。」
どういう展開なのだろうか。マリーの正体。何処かの富豪の令嬢ではないのか。
「私のマリーナ。マリーナ・ジャクソン。
父は国際特殊災害対策第07部門大型生物本部所属、マイク・ジャクソン!
さぁ!?どうかしら?どうかしら!?」
マリーは自分と彼女の父の自己紹介を同時に行ってくれた。それはいい、俺は別にいいのだ。だが、内容的にそれは口外しても大丈夫なものだったのだろうか。彼女の父の事のことは聞いた限り他言無用のような内容に思えたが。
「マリー。悪いけど俺はお前が思ってるような特別な奴じゃない。
ただの高校生だ。」
冷たい風が吹く。季節はまだぎりぎり春。冷たい空気を忘れられない、冬の名残りを忘れられないこの季節。通り抜ける風に彼女は言葉を乗せて、俺の返答に対して答え始める。
「そう。ここまで言ってるのに。
でもそうよね。でも状況が変われば雅也、あなたの正体もわかる。」
「しつこいよ、お前。俺はただの……!!!」
強い地鳴りがした。酷く重たい振動。身震いが始まる。終わる。始まる。終わる。繰り返しが終わらなくなった。眼前で白い閃光が枝分かれするように走っては散った。
ぐぅあ”ぁ”ぁ“ぁ”ぁぁっ”……!!!!
唸り声にこたえるように周囲の建物の窓が強く共鳴する。耐えられなかったものは砕け散る。だが誰もそれらには目を向けなかった。目を向けたる先は、自身を終わりへと導くように現れた巨獣へと。
「マリー……、なんだよこいつ?」
俺の質問にマリーは答える。
「どうする雅也?町、消えるよ?」