2話 怪獣と高校生vol.2
高校生になって少し良かったと思ったのは友人が少し増えたこと。
寂しかったのはメテオの事が話せない事。
まぁそんなこと思ったってどうしようもない。
今ある現実を受け入れてどうすればいいのか考えることにしたのは、4月に入ってから。
そして、転校生はやってきた。
マリーナ・ジャクソン。
ヨーロッパ、イギリス出身で女子。よくある親の事情で引っ越してきた。
だが、現実は甘くなかった。
「転校してきた理由!?糞親父と喧嘩したからよ!
国とか国境すべてを超えて飛び出してやれば少しは頭を冷やすでしょ?」
やばい奴が来たと思った。
対応に追われる先生は慌てるどころか、悟りを開くような目で真っすぐと壁を見つめていた。クラスはというと面白くてヤバイ奴が来たと大騒ぎだ。初めは誰もが冗談だと思うだろう。結論から言おう。本当だった。本当に彼女は父親と喧嘩してある程度自分の力で転校してきたらしい。勿論彼女の両親が助力しているのだろう。知っているのか、知らないのか。
当の本人は気にしていないようだった。
そして彼女は転校してきて4週間くらいしたくらいだろうか。5月に入って彼女の傍に残ったものは一握りの選ばれた者だけだった。もっと言うと2人だろうか。頼めばなんでも分かったと言ってくれそうな、大柄でがたいがしっかりと筋肉質な強面の安田勝人。そしてこのクラスの委員長であり全校生徒の中で一番真面目だと”思われていた”、一応人気者の上杉彩音。皆さんお察しだろう。奇人、変人、チームびっくり人間の誕生である。3名共にそれなりの真っ当な理由で、クラス内で浮いている3名が仲良くなってしまったのである。
以上3名は一躍有名人。若干2名はもともと有名だったがマリーネ・ジャクソンが入ってから磨きがかかってしまった。そして事件が起こった。
「あなた、隠しごとしてるでしょ!?」
マリーネ・ジャクソン、通称マリーが絡んできた。
放課後に鞄をつかまれ、無理やり屋上に連れていかれた。
「おい待て!屋上は立ち入り禁……!」
「うるさい奴は嫌いだよ!」
俺の反論はマリーの罵声の中に消えた。
そして。舞台は屋上。役者は2人。
一人は想像もつかない理由で引っ越してきた破天荒なわがまま令嬢。
そして俺。怪獣メテオの飼い主にして、現在進行形でメテオを隠すのに必死だ。
「これを見なさい!」
マリーはよくわからない資料を俺に見せてきた。
地図に写真、ウォークマン、スマホにタブレットを彼女は俺の目の前でぶちまけた。
「これ、なんだ?」
音声、画像、映像、写真、地図、記号。こんなの同時に見せられて分かる訳がなかった。
「これは15年前に糞親父が発見した古代人の資料よ!」
「古代人?」
彼女が一体何を言っているのかまるで分らなった。
「まずはこの資料を読んでみなさい!」
彼女は印刷した写真に描かれた壁画を見せて、横に書いてある文字を読めとか言う無理難題を押し付けてくる。
「悪いけど読めない。」
「私も読めないわ!」
「は?」
自分が読めもしないものをただの怪獣を飼っている奴に聞くとは失礼な奴だと思った。
写真には7つの扉のような物が描かれており、それは円形状に並んでいた
「解読した専門家によると!」
「読めたのか!?」
「読めないという結論が出たわ!」
「喧嘩売ってるのか?」