思い人奪還作戦
ここから少しR15でいいのか不安になってきました。そんなに直接的ではないにしても不快に思われる方もいるかもしれません。
「手を上げて出てこい。」
銃を持っているのはひとりでその他は鉄パイプなど、ほとんどが銃を持った少年よりも小さい。
「そっちの女もゆっくりと出てこい。さもないと男の頭が無くなるぜ。」
そんな脅しをして僕らを車から降ろす。
「さっきから見ていたがお前らは最近ここに来た金持ち連中の仲間だろ。奴らが来てからこっちは大変なんだ。物の値段が上がりっぱなしでゴミ箱すら空になってる。食べ物と金目のもの、それから女を置いて消えろ。」
そう言いながら車から出た僕の頭に銃を押し付ける。リサさんも降りて車に両手を付かされた。
「私をどうするつもりです。」
「決まってるだろ、娼館に売るんだよ。俺たちの兄貴はここらへんで唯一風俗営業の権利を持ってたのに、お前ら金持ち連中は上に金の塊を見せて新たに娼館を立てやがった。それで商売があがったりだ。」
「ちょとまて。僕たちはそいつらとは無関係だ。それにもし関係していたとして、仲間を娼館に売られて仕返しがあると思わないのか。」
「まあ兄貴の店で働いてもらうのは2,3日だ。そのあとは別の都市にある娼館に行ってもらう。お前も消えるから大丈夫だろう。」
なるほど、消えろというのはこの世からということですか。物騒だね。何とかしなければいけないがどうしたものか。最悪リサさんだけでも逃がせればいいのだがこっちは下手に動こうものなら今すぐ消されそうだ。
「その方を助けていただければ私の口座から全額引き出してお渡しします。ですがもし殺せば私も舌を噛んで死にます。どうしますか。ちなみに私の口座は静脈認証と網膜認証が必要です。」
「しかしこの男が奴らにチクったら終わりだ。」
「その、奴らとおっしゃる方々とは関係ありません。だいたいそんなお金持ちがこんないかがわしい闇市で買い物すると思いますか。」
リーダーと思われる少年は納得したようだ。僕はリサさんだけ犠牲になるのを止めようと話そうとするがもう遅かった。口を開こうとした瞬間に後ろから薬を嗅がされて気が遠くなる。
「だ、めだ。リサさんを、はな、せ。」
気が付くと僕は車に寄り掛かっていた。はっとして周りを見回すがリサさんはいない。時間にして3分ほどしか眠ってなかったようだ。すぐに車に乗ると食料がきれいになくなっていた。急いでトラックに戻る。何とかしてリサさんを助けなければ。
アキさんが眠らされその場に残されるたので心配になって聞くと5分もあれば起きるというのでその場を離れました。この子たちが言うにはもう銀行は空いていないというので明日朝の開店と同時にお金をおろすことにします。けれど私の口座の残高は0。つまりこの作戦がばれてしまうまであと半日といったところでしょう。それまでにアキさんたちが逃げてくれるのを祈るしかありません。
少年たちは兄貴と呼んでいた方《かた》に私を引き渡し前金を受け取っていました。私がお金を下ろしたら残りが支払われるそうです。今はいかがわしいお店の裏の事務所にいます。
「今夜の仕事は特別に免除してやるから、よく先輩方の仕事ぶりを見て覚えるんだな。ここじゃ誰も教えてくれないから自分で考えて客に気に入られろ。…返事はどうした。」
「ぐっ。」
あざが目立たないようにかお腹を拳で押し付けるように殴ってきます。
「はい。わかりました。」
そう答えて私は店の裏で仕事を覚えるため個室をモニター越しに眺めます。けれどすぐに吐き気がしてきました。とても人のされる扱いではない、女性の形をした物として使われています。私のお掃除屋も慣れませんがこっちも結構キツイですね。
それでも明日からはこれをしなければ生きていけません。いっそのこと死んだ方が良いのではないでしょうか。どうせお金がないこともばれるますし。何より生き延びて万が一アキさんと再開できたとして、こんな仕事をして汚れた私を好きになってくれるでしょうか。初めてが名前も知らない男でボロボロになるまで使われたらきっと…。急に悲しくなり知らぬ間に頬に一筋涙を流していました。人を殺ったり、殺られそうになったときも泣いたことなんかなかったのに。
「おい。血相変えてどうした。」
「り、リサさんがさらわれた。」
「何だと。あの姉ちゃん強いんじゃなかったのか。」
「それが僕が人質にとられて…」
かくかくしかじか今までのことをスズキに話すとすぐにリサさんの場所は見当がついた。調べてもらった地図によると、この辺にある古くてヤバい娼館は1つしかないらしい。
「で、どうする。場所はわかったがどうにも戦力が足りないぞ。」
「わかってる。この辺にジャンクヤードがあって古いダンプが止まってた。それで突っ込んで混乱に乗じて助ける。」
「…かなり無理があるな。お前この前一緒に見た番組『昔の邦画特集』のせいでそんなこと考えたろう。」
「ばれたか。でも他に考え付かないしデータベースの昔の新聞にもあったが、実際にジャパニーズマフィアの抗争でやってたことらしい。突っ込むのは僕がやるから外に車をまわしてリサさんを連れ帰ってくれ。」
「お前はどうする。まさか映画みたいに特攻してつかまるのか。…お前も絶対に帰って来いよ。」
これは譲らないとばかりに、腕を組むスズキ。
「わかったが、どうしてものときは絶対に逃げ切れる内に切り上げてくれ。」
微妙な笑顔を僕に向けると準備にかかる。まずジャンクヤードのダンプカーだ、エンジンがかからなければそもそもこの作戦は成り立たない。しかしながら幸運なことにバッテリーの充電だけで動いてくれた。
僕は偵察に行き、リサさんのいる正確な場所を探る。店の裏手に細い路地があり、そこの階段を上がった所にいるようだった。何せ薄い壁と扉で話し声が聞こえてくる。
「やめてっ。」
「この・・・で騒いで・・ら仕事な・・・きない・。」
「そのくら・にして・・・やれよ。」
「いい・・ねぇか。これくらい。へる・・・もないし。」
今すぐにでもカチ込みたいが我慢だ。今頃スズキが秘密兵器その1を準備してダンプに載せてくれているはず。その2は車にルーフラックを取り付けその上につける予定だ。ジャンクヤードに帰ると準備万端といったところ。
「よし。いくか。」
「ああ。いつでもいいぞ。」
男が近寄ってきて私の太ももに手を置いてきます。
「やめてっ。」
「この程度で騒いでいたら仕事なんてできないぞ。」
「その位にしておいてやれよ。」
「いいじゃねぇか。これくらい。減るもんでもないし。」
少し酔ったような二人が会話をしていますが、お酒ではなさそうな雰囲気です。ここはおとなしくして居た方がよさそうです。
「そうだ。おい女、お前に渡しておくものがあった。」
そう言うとさっきまで太ももを撫でまわしていた男が席を立ちます。そしてロッカーから紙袋を取り出して私に渡してきました。どうやら着替えのようですが、これは…。
「これがお前の制服だ。店ではそれを着ること。2着ある、洗濯は3階のお前らの部屋に洗濯機があるから順番に使え。」
確かに制服ですがこれは。私が固まっていると。離れてみていた男が口を開きます。
「うちの流行なんだ。それを着てるとオプションも多くとれるし稼げるぞ。多少マニアックな奴が寄ってきやすいがな。」
まんま女学生の制服じゃないですか。私も1年ほど前まで着てました。多少色合いが明るいように感じますが、つくりはしっかりしていてジャケットもスカートも本物と変わらない生地です。ブラウスもついています。
「たまに乱暴に脱がせるのが趣味な奴が来るから、その時は会計前にオプション価格を足しておけ。破られても会計に通していなければ自費で購入だからな。」
「はい、わかりました。」
しぶしぶ承諾するとまた太もも男が私の近くに来て、
「試着してみろ。サイズが違うと明日困るだろ。」
「いいえ。このサイズで大丈夫です。」
「いいから着替えろっていてんだろうが。」
怒鳴りながら机を蹴り飛ばします。私は部屋の隅の明かりがあまり届かないところに行って着替え始めました。
「いいねぇ。ストリップ劇場みたいだ。ほぉ白かまあ無難だな。仕事の時は客が変わるごとに下着の配給もあるから安心して汚してもらえ。がっはっは。」
なんてひどい人でしょうか。あまり喜ばせないように冷静を装ってさっさと着替えます。
「これでいいでしょうか。」
「おぉ、いいね。スカートも優等生が穿いてそうな、リアルで丁度いい丈だ。でもそのタイツは要らないかなぁ。」
そう言いながら太もも男は私のスカートの中に手を入れようとします。そのとき凄い音と揺れが建物をおそいました。
「なんだ何が起きた。」
しばらくして揺れが収まると太もも男は慌てた様子で表に飛び出していこうとしますが、今度は発砲音がして固まります。今なら逃げられるかもしれません。
先ほどスズキと別れた僕はあの店が見える離れたところでダンプに乗って待機している。ミラー越しに目標確認。
「いくぞ。」
バックに入れてアクセルを全開に踏み込む。数秒後ドーンと店を揺らしダンプは止まる、がしかしそれで終わらせない。そのまま止まってしまったエンジンをかけなおしバックで吹かす。するとミシミシという音とともにめり込んで行き最後にガラガラと店が半壊する。地下の建物は耐候性を考えなくて良いので軽く安い資材を使い、防火性、耐震性だけ高めているので簡単に壊れる。秘密兵器その1、100式機関短銃を乱射しながら入店した。リサさんを探しながら当たらないように気をつけて。怖そうなお兄さんが数人でてきたので、もうやけくそで暴れまわってやる。
「料金は鉛で前払いだぁ。指名は今日お宅らが誘拐した女の子でおねがいしまぁす。」
人は興奮すると行くとこまで行っちゃうみたいで、自分でも怖いほど楽しんでいる。確実に人格まで変わってるよ。こちらでタタタタと機関銃がなる一方、裏でも秘密兵器その2の音がボンボンボンと攻撃している事を知らせてくれる。数人が倒れ血だまりができ、今もなお逃げ出そうとする客と譲が半裸のまま血だまりを走っている。地獄のような惨状の中、事務所と書かれた鉄の扉が開く。
「なんじゃこりゃぁぁ。てめぇよくもここまでヤッてくれたなぁ。」
「リサ…今日誘拐した女を返してもらいにきた。」
「なんだとぉ。こっちも仕事でやってんだ。誘拐されたならされるようなやつが悪い。」
そんな意味の分からない事を言う男の後ろからまた扉が開き、一人でてきた。リサさんだ。一瞬嬉しそうな表情になり、その後心配したように口を開く。
「アキさんっ。」
「早くこっちに…。」
僕は叫ぶがダンプの特攻で3階建ての店は1、2階が吹き抜けになっていて2階にいるリサさんが降りるところがない。それに服装が膝上丈のスカートに変わっていて…1階からだとすごく眺めが良いのですが。などと考えていたら裏で攻撃してもらっている秘密兵器その2、重機関銃が1階奥のボイラー室ガス管に命中したようで爆発、バランスを崩したリサさんが落ちてくる。格好良く受け止められれば良かったものの踏み出した途端につまずいた。
「大丈夫ですか、アキさん。」
助けにきたはずが助け起こされる。
「僕よりリサ、君は何ともないか。」
強がってみた。
「はい。3階くらいの高さからなら受け身をとって降りられます。」
なんと言うことでしょう。もう僕の立場はないですね。
「これをどうぞ。」
機関短銃を渡そうとしたが拳銃がいいとのことで26年式拳銃を渡す。そしてふたりで表へと駆け出した。外に出てすぐにスズキへ連絡するため信号弾を放つ。敵も外に出てきたもののすぐにスズキが到着ルーフ上に取り付けた秘密兵器その2、92式重機関銃をリサさんが楽し気に発射すると機関銃で、精密射撃と呼んでいいのか疑問だがひとり1発で動かなくなってゆく。5,6人を倒すと他はもう出てこないようで悠々と帰れそうだ。ついでに給弾板1枚分ばらまいて憂さ晴らしをしている。
「これだけできれば俺たちが来なくても一人で逃げられたんじゃないか。」
「いえ、丸腰ではさすがに難しいですね。拳銃かナイフは必要です。」
「では何か考えないといけませんね。例えば仕込みのナイフとか隠して持てる銃とか。」
周りは静まり返っていて聞こえるのは男らのうめき声だけだ。
「さすがだな、さあ帰るか。」
スズキが言ってみんな仲良く車に乗り拠点のトラックまで帰る。帰り道リサさんの服が気になったので聞いてみた。
「その恰好はどうしたのですか。かわいいとは思いますが。」
すると耳まで赤くして恥ずかしそうに、
「かわいい…ですか。これはあのお店の制服みたいで、試着中だったんです。アキさんもこの服が良かったりしますか。」
リサさんが聞いてくる。まあいいんじゃない、いやむしろ好みですね。僕は学校に通ったことがなく憧れている。
「かわいいし、似合っているといえば似合ってますし。リサさんが嫌じゃなければまた見たいですね。」
「おぉい、色ボケもいいがこれからどうする。あんだけ派手にやったんだこのままじゃやばいだろ。」
「そうだな…。逃げようか。」
「それなら2600都市のほうに行かないか。実は例のHDD解析が一部済んでいて座標的にそのあたりの地下になにかあるらしい。」
「さすがはベテランのブラックハットハッカー。そうと決まれば出発しよう。」
「あんなのハッキングは関係ねぇよ。ただ規格が特殊なHDDを読んだだけだ。」
それから僕たちは数時間トラックで移動した。途中給油所によって廃油再生ディーゼル燃料なるものを給油し、シャワーも借りた。リサさんは制服が恥ずかしかったようでシャワーの後はいつもの服装に戻っており、無意識に残念な雰囲気を出していたようで「また今度着てあげますね。」と言われてしまいドキドキしながら仮眠をとった。さらに数時間走り続けると目的地付近に到着。ここからは座標から正確な場所を探さなくてはならない。
「ここよりも北に10キロほど行ったところにあるようだが…。」
端末を確認しながらスズキ。
「ここで行き止まりですね。」
ご精読ありがとうございます。
リサさんは私の性癖全突っ込みでキャラクターを思い浮かべています。ですので結果ありき(好みの見た目、性格)で昔のエピソードを書いています。男を守る強くて優しい女性で、でもしっかり女性らしさ(今日日この表現が正しいかわかりませんが。)が有りかわいい。あと黒タイツ同志がいましたら幸いです。いろんなフェチをこじらせた結果R18と言ことになりかねませんね。