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こんな俺でも出来るのだろうか

作者: 来夢

都内で、忙しく仕事をして駆け回る日々。


だが、辛くないし苦でもない、何故なら自ら進んだ道でそれが本来自分がしたかった仕事だからだった。


霧島幸、それが俺の名前。

仕事は言わば経営者、今ではいろいろな事業に手を出している。


「コウさん、次は双葉商事と会談が15時からです」


俺が運転していて隣には秘書の雪が座ってる。

雪は本当に色白の肌でクールな顔立ちで凛として座っているが、雪は娘である。


何故一緒に働いてるか、どんな内容の話かこれから話をしましょう。


では、昔の話をしましょう。


私は当時22歳、夢はあったが叶わないと思い工場で働いていた。

どこにでもある工場で仕事内容は車関係の仕事で、ありきたりな上下関係がり、毎日ご機嫌取りやら理不尽な事も言われて毎日過ごす環境。


いわゆるブラックな会社である。

上司に言っても有耶無耶にされ、何も改善もなく耐える日々で何が楽しくて過ごしてるのか分からなかった。


そんなある日の休日の夜、嫌な夢を見て目が冷めタバコに火を着けて深いため息がでた。


「はぁ、ドライブでも行くか、、」


服を着換え、車の鍵をポケットに入れ家を出た。

車に乗り込み、エンジンを掛けお気に入りの音楽が流れ、ライトを点灯し走り出した。


気分転換にドライブは本当になるか分からないか、やらないよりマシだった。


いつもドライブで立ち寄る自販機により缶コーヒーを買って車に戻ろうとした時に、何か動く者が見えた。


暗くて近くによらないと分からなく少し近づいたら少女が座っていた。


見るからに家出か、施設から逃げてきたのかと思ったが、声をかけてみた。


「どうしたの?何か困ってる?」


少女は何も話さないが、頬に雫が滴り俺は泣いてるんだと察して、自販機に向かって温かいコンポタージュを買って少女に持っていった。


季節はもう冬に入り薄着ではいられない程なのに少女は薄着で座り泣いていたのはほっとけなかった。


「ほら、寒いから温まるよ」


俺は少女に温かい缶を差し出したが少女は何も言わないし、こちらを見なかった。


「仕方ないか。」


俺は嫌がるとは思ったが少女を抱きかかえた。

少女は驚き逃げようともがくが逃げられず、幸に抱きかかえられたまま、車の助手席に座らされた。


「よいしょ、温かいでしょ?外は寒いからさ」


自分も運転席に座り少女を見たが少女は黙ったままだった。


流石に薄着なので後ろに置いていたジャケットを少女に被せ話すまで時が経つのを待った。


少女が口を開くのにはそんなに時間はかからなかった。時間にしては30分位。


「どう、どうして優しくするの?」


今にも消えそうな声で少女はようやく喋ったが内容はありきたりな回答すればいいのか、それとも素直に自分の気持ちを言えばいいか悩んでいた。


「私は、いらない子」


「だから、放っといて」


少女に何があったかは知らない、だが大体は予想出来る。

虐待か捨てられたか、逃げてきたか、恐らく前者だと思う、何故なら少女の腕には痣が見えていた。


幸は昔自分も被害に遭ってあいつらから逃げるように出て今一人で生きて来た事が頭に流れた。


「いらない子か分からないじゃん。もし君がこれからも生きたいと思うなら手を貸してあげるよ。」


少女は目を丸くして幸の顔を見ていた。何故って顔してるのは見て分かる。


「諦めるなら止めたりしない」


「、、、、たい、」


「い、、、、いぎだいょ、、、」


少女は泣きながら声に出した精一杯の助け声。


背中を撫でながら少女に優しく声をかけ、大丈夫と何度も言ってあげた。そして、泣きつかれた少女は眠ってしまった。  


このまま置いていく事もできず連れて帰ることにした。


「色々苦労したんだろうな、こんなに小さいのに、、、」


起きない様に小さくボヤいた。


一時間も経たずに借りているアパートの駐車場に付いて駐車し、少女を起こした。


肩を揺らし少女は目を開け周りを確かめるように見た。


「一応保護する為に、俺の借りているアパートに連れてきちゃった。」


「そう、、ですか」


少女は未だに不安な顔をしていた。

それは当たり前で知らない人に知らない場所に連れてかれ何されるか分からない、それは不安で仕方ない。


色々聞きたい事もあるから家に入り事情を聞こうと試みてみた。


「君、名前は?後、、歳は?」


「名前は、、雪、、、10歳」


少女は雪といい年はまだ10歳まだ小学生だ、これからの時期なのに消えて亡くなろうとしてるなんて。

幸はこんな世の中やはり理不尽すぎると思ってしまった。


「家に帰りたい?」


少女は首を左右に振り指をギュッと握りしめていた。


「私は、幸せになりたい。」


「じゃ、児童相談所に連絡して色々やらなきゃいけないよ?」


「出来る事はやってみるよ?雪」


雪は幸を見つめたまま感謝を言った。


雪にお風呂を勧めた。もちろん自分は一緒になんて入らないけど、服も子供用なんてないし、ブカブカになるけどスウェットを貸してあげた。


その間に軽い食事を作ってあげた。

定番のオムライス、料理には少し自信があった。


ブカブカの格好で雪は居間にやってきたので、小さなテーブルに座るように言って料理を出してあげた。

美味しそうに口に頬張りモグモグと食べてる姿は子供そのもので、可愛く思えた。

食事を終えて一息ついてから雪にこれからの事を、何をしなきゃならないかをゆっくり話してあげた。


今日は遅い時間だし、ベッドに雪を寝かせてあげて自分はネットで調べ、メモを取りどうすればいいかを検索していた。


朝になり、雪が目を覚ましていにやって来た。


「おはよ」


「お、おはょぅ」


少し恥ずかしいのか小さく挨拶を返した雪の頭を撫でてあげ朝食を作りに行った。


今日は和食、味噌汁にご飯、焼き鮭にサラダと普通の献立を二人で済ませて今日、児童相談所に行ってみようと雪に話したが不安で怖いのか震えていたので頭を撫でてあげ安心出来るようにしてあげた。


雪には服が昨日着てたボロボロの服しかなかった。

児童相談所に行く前に雪の服を買って上げる為にショッピングモールに来て雪の服を買って、試着室にて着替えを済ませ前に着ていた服をゴミ箱に捨てた。


ただ児童相談所に行けば雪は引き取られもう会うことも無くなると分かっていた。 


日本の法律で男性は養子に出来ないと決まっているし、そこまで親しい中でもない。

ただ可愛そうだから、こんな小さいのに人生を終えるのはあまりにも可愛そうで助けてあげたくなった。


そして、雪と少し楽しくショッピングしてから児童相談所に向った。


「着いたよ。」


雪は下を向いたまま、黙っている。


不安があるのだろう。


しかし、動かなければ何も始まらないので優しく声をかけ車から降りた。



.......


「分かりました。では、こちらで保護します。」


雪は児童相談所の女性に声を掛けられても黙ったままでこれからどうなるかを察してるかのようだった。


俺は預けて、車に向う為に歩いていた。


「待って!、、また、会える?」


後ろから声が聞こえて振り向けば雪が泣きながら立っていた。


「雪が会いたければ、会えるよ。」


なんて言っていいか分からなく、そんな言葉しかでなかった。


絶対会えるなんてありえないし、もし雪が祖父母のとこに引き取られたら会うことも無いしましてや見ず知らずの俺に経った一日で何もできる訳もない。


しかし、メモ用紙に電話番号を書いた紙を渡した。何故渡したかも自分でも分からなかった。


そして、俺は児童相談所を後にした。


家に帰宅したが家は静かで何もない日常に戻った。


タバコに火を着けて吸い始めると、スマホが鳴って画面を見ると知らない番号が映し出されていた。普段なら取らないが何故か雪だと思い電話に出た。


「もしもし、」


「もしもし、、、」


やはり雪だった。話を少しした。


児童相談所からの電話を借りて掛けてきたらしい。

他愛のない話をして、不安を取れればいいなと思いながら会話をしていた時に。


「あのね、もし、、よければ家族になって欲しい。」


雪が唐突に家族の話が出たが、俺は焦ったりせずに優しく答えてあげた。これからのことに対して、また一日だけで心を許しちゃいけないよと。


雪は寂しそうな声で分かったと言っていた。

俺も謝った。


そして、電話が終わり日常に戻った。灰皿にあったタバコは火が消えていた。


それから一ヶ月が経った。


雪からは毎日じゃないが電話が来ていた。

結局雪は養護施設に入ることになりそこから学校に通って頑張ると言っていた。


たまに雪は休みになると遊びに来ている、一応養護施設からはOKが出ている。まあ簡単にOKがでた訳ではない、素性や就職先、住所など色々調べ上げられ調査の元だ。


それから一年、五年、、、そして、雪は高校を卒業し、大学か就職を相談してきて、大学を勧め大学に進学した。


「幸さん、荷物ここでいい?」


頷いて、引っ越しの手伝いをしていた。


雪は大学に進学にあたり俺のとこに来たいと駄々をこね仕方なく了承した。


かなり端折って話を進めたのは面倒くさいのもあるけど、まあこんな感じで雪は懐いていた。


俺はもう三十手前の歳になったけど未だにクソな会社に勤めている。

毎日遠回しの嫌味や無視に怒鳴りは当たり前、何が気に食わないのか分からないし、子供のいじめみたいな延長線なんだと思った。誰かに当たらないといられない病気なのかそんなに見下したりして楽しいのかと言いたいが、何事もスルーが大事である。


疲れて帰ってくると電気が付いていている。


「おかえりなさい。」


「あぁ、ただいま」


何気ない会話も新鮮だった。

これだけで嫌なことも忘れはしないが気が晴れる。


雪はいつも俺のためにご飯を作ってくれて、優しい人に育った。

あの、今にも消えそうな少女とは全然思えないし、俺から見てもかなり美人に育っている。


「何?」


ご飯を食べながらそんな事を考えてたら目が合ってしまった。


「いや、いつもありがとう。」


そう俺が言うと雪は顔を赤く染めてご飯を頬張った。


「食器洗って置くから先に入ってきていいよ?」


「じゃ遠慮なく。」


何だか同妻してる気分だな、こんな感じで毎日過ぎていった。


それから一年経ってもまだ仕事でのいじめは続いていた。


雪には相談したりしていた。

雪は毎日心配してくれるいい子。

それだけで救われる気がしたが、、、


「おい、そんなのも出来ないのか!」


「お前むいてないんじゃないの?」


「ったく、使えねー。」


プチン、、、、、


俺の中で何かが切れた、、、


仕事を放り出し上司の元に向かった。


「すいません。私今月で辞めます。後体調悪いので早退します。後有給消化で終わりますので、、、」


上司はポカーンとした感じで見ていたがそれだけ伝え俺は帰ることにした。もちろん使っていたロッカーの物はすべて捨てた。


スマホに電話が来ていたが出なかった。

俺は凄く清々しい気分で帰宅中にスマホで雪に連絡した。


幸「仕事辞めた」


        雪「?!」


幸「自分のしたい事する」


       雪「そっかぁ」


幸「今から帰る」


       雪「気おつけて帰ってね、

         話は帰ったら聞くね。」


SNSでのやり取りをして、帰宅した。


元からしたい事、それは色々な事業のクライアント業にネットプログラミング。自分で出来るかなんてやってみなきゃ分からないし、難しいのも分かってる。 

もし軌道に乗れば店も出してオーナーとして関わって行きたい。


先ずネットでの広告や宣伝そして、やりたかった事を進めて行った。


その道のプロと少し関わりがあって仕事をもらいながら毎日パソコンと戦っていた。


在宅ワーク最高!!


俺はスマホアプリの作成に取り掛かった。みんなが楽しいと思えるゲーム。課金なんて必要ない。

課金ばかりが今世の中絞めている、つまらない。


自分の力と時間をつぎ込むかで変わるゲームを作りたかった。

一人での制作になるのであまり進捗はないが、デモとしてバグも直したりしなきゃならないので雪に少し手伝ってもらいながら何とかまともに動ける様になったアプリ。


不正なども出来ないようにプロテクトもちゃんと構成し、ウィルスにも対応機能したアプリになってしまいアプリの容量がかなり大きくなってしまったが大丈夫だろう。 


一人で始めた仕事、そして個人経営会社を設立した時にはもう2年経ち中々アプリがヒットし、それなりに設けもでた。


そんな中バグ修正などやらなきゃいけない事ばかりで一人では回らなくなりどうしようか迷っていたら雪が俺の会社に入りたいと言ってきた。最初は断ったが毎日のように言い寄られて負けてしまった。


ゆっくりと雪にプログラミングのノウハウを教えながらバグ修正し、アプリ一つでこんなにヒットするとは思わなかった。自分がやりたかった事を初めて褒められた気分だった。


そして、俺はプログラミング業での儲けで会社を立てた。


急募を掛け、面接し人柄を見ながら会話し人材を集めた。


プログラマー3人、経営業務2人、営業兼受付1人と人数は少ないが、信頼が出来る人を選んでる。


会社のモットーは残業はできる限りしない。

まあホワイト企業を目指し試行錯誤しながら進んでいった。


そして、また一年と月日が経って軌道に乗った会社で新たな事業に取り掛かり飲食店、ファッション店と何故かうまく行き会社もでかくなり、今では五十人ほどの従業員がいる。


上下関係なく和気あいあいしてるのを俺は見ていていつもホットしていた。

たまに従業員の女子が昼に誘いがあっりして楽しく過ごしていたその夜、帰宅途中でまた少女に出会ってしまった、、。




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