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ー始まり2ー

一日一話って言った過去の自分にボディブローをお見舞いしたい雪ノ音リンリンです。本当にお久しぶりでございます。



青龍が張った風の結界の中で、3人と1匹は向かい合う。



「まずは自己紹介、と言いたいところだけど・・・この場で名前を言うのは良くないんだ」

青龍の形のいい口から告げられる。

「なぜか聞いても?」

「もちろん。君がさっき追われていた()()は、元は動物や人間だったんだ」


--強い負の感情を抱いて死んだ、生き物の成れの果て。それを(わざわい)と呼ぶのだと彼は言った。

それらは夜になるとどこからともなく現れ、生き物を見境なく襲うらしい。


「名前を知られてはいけない理由はね、引き込まれてしまうからだよ。」

「引き込まれる?」


一体何に?


「あちらの世界に」

「おい、青龍お前一般人にべらべら喋りすぎだろう」


気になるタイミングで深紅色の髪と瞳を持つ騰蛇に止められてしまった。まあ、あんまり深く突っ込んでもろくなことにならないよね。聞きたいことは山ほどあるけれど、平和な日常には代えられない。この場合、私のとるべき行動はただ一つ。


「では、私のことは”市民A”と呼んでください。それと、図々しいのは承知でお願いしたいのですが、家の近くまで送っていただけませんか?」


撤退あるのみだ。さすがに一人で帰るのは怖いからお願いしてみたけれど、やっぱりダメかな?


「言われなくても送っていくつもりだったから構わないよ、市民Aさん」


はぅっっっ!私のハートはあなたの笑顔に打ち抜かれてしまいました・・・!


「その前にお前には一緒に来てもらうところがあるけどな」


言葉の最後の方で小さく”ちっめんどくせぇな”って聞こえた気がするが気のせいだろうか。それと、来てもらうところ?まさか、情報を知りすぎて消されるとか!?・・・・・・・あるわけないか。ない、よね?


「トラ、周辺に禍の気配は?」

『んー。ないよー』


えっそのトラ喋るんですか?かわいい。まるで幼い子どものような喋り方をしている。なにそれかわいい。それに何より


「もっふもふ・・・」


若草色の綺麗な毛並みのトラが青龍の腕に乗っている。ずっと気になっていたけど聞けなかった。


「目が怖い・・・。この子は”トラ”。僕の相棒だよ」

『市民A、よろしくねー』

「はわわわわ、よろしくお願いしますトラさん」


きっと私の顔は今、デレデレに蕩けているだろう。そう思って自分の口角に触れてみるが、上がっていない。このもっふもふ様を前にしても無表情とは。私の表情筋は、やはり仕事をしていないらしい。


「青龍、早く結界を解け」

「はいはい。ちょっと待ってね」


そう言って手を二回叩く。たしか神に向かって手を叩くことを、柏手(かしわで)と言ったか。あれ?狩衣とか、十二天将とか、なんで私こんなに詳しいんだ?そもそも古い映画なんて見たことあったかな?なんだか気味が悪い。まるで他人の記憶が自分の中にあるかのような―――


「おい、市民A大丈夫か?顔色悪いぞ」

「っ大丈夫です。ご心配おかけしました、騰蛇さん」

「別にお前を心配したわけじゃない。これから少し歩くから足引っ張らないか気になっただけだ。勘違いすんな」


おおお。イケメンのツンデレ。眼福。耳が髪に負けないくらい赤いのがなんとも言えない。


―――――――――――


さっきまで自分がいたのは、どうやら廃校になった小学校の校庭らしい。ぼーっと歩いてたらそんな所まで行ってしまったのか。私たちは今、林の中を歩いている。もう一度言おう。林の中である。よくよく考えなくてもこの状況、まずいのでは?トラさんは結界が消えると同時に『じゃ~ね~』とかわいい声を残していなくなってしまった。ぴえん。あの美しい毛並みを是非とも触ってみたかった。なんてことを考えていると、少し開けたところに出た。


「「誰だ!」」


前を歩いていた青龍と騰蛇が後ろを振り返って暗闇を睥睨する。


「なぁーんだ。見つかっちゃったか。つまんないな」


―――林の中を歩いているというのに足音がしない。


「みなさんこんばんは。今日は月が綺麗ですね」


まるで昔からの友人に語りかけるかのような声音だった。


「君もそう思わないかい?」


暗闇から現れたその人はそう言って、私に笑いかけたのだった。











・市民A

本作の主人公。無表情ヒロイン。イケメンを眺めるのが好き。平和を愛する。

青龍せいりゅう

若草色の髪と瞳をもつイケメン。表情、口調ともに優しげ。

騰蛇とうだ

深紅色の髪と瞳をもつこれまたイケメン。ツンデレ。ヘタレな一面も。

・トラ

青龍と同じ若草色の毛色を持ったトラ。青龍の相棒


次話はあ、あし、あした、、、ボディブロー(=゜ω゜)ノ

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