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論点相違(論点ずらし)・ストローマン

「どうも、後手こと解説だ。

 今回は『論点』に関する詭弁を二つ解説して行こう。


■論点相違(そうい)(論点ずらし)


例:A「(スポーツなど)◯◯戦術は、勝つために有効な手段だ」

  B「そんな戦術で勝って、楽しいの?」



 "論点相違"とは、現在行っている議論の論点とは"違うもの"に対して反論をする事だ。


 例文のケースでは、Aは『◯◯戦術は有効か否か?』について議論をしている。ところがBは『◯◯戦術は楽しいか否か?』と言う点について反論をしている」


「……たまにいるな。『どこのハンバーガー屋が一番美味しいか?』でみんなが盛り上がってる時に、『ハンバーガーばっか食べてたら太るぞ』……みたいな事言い残して去って行く奴……」


「それも論点相違の一種だな。


『○である』に対する適切な反論は『○ではない』だ。これに対し『△である』

『×ではない』と言っても、適切な反論とはならない。


 反論は、本題に対して行わなければ意味がないんだ。


■ストローマン(わら人形論法、ダミー論証)


例:A「勉強は大事だから、子供にはしっかりと勉強をさせるべきだ」

  B「子供を勉強漬けにして一切遊ばせない、と言うAさんの教育方針には、私

    は賛成出来ない」



 "ストローマン"とは、相手が実際には『言っていない』事を『言った』ように見せ掛けたり、相手の主張を実際より『大袈裟』に表現する事だ。


 上記例文の場合、Aはあくまで『しっかり勉強させるべき』と言っただけだ。これを『勉強漬けにしろ』と言う意味に取るのは大袈裟だ。ましてや『一切遊ばせない』だなんて、一言も言っていない。


 "ストローマン"には、もう一つの意味がある。


例:A「君はもっと運動をするべきだ。そのままでは健康にも悪いし、肥満の原因

    にもなる。それに、適度な運動は精神面にも良い影響を与える」

  B「肥満対策には、運動より食事制限の方が効果的なんだよ(※)。だから運

    動をする必要はない」


(※)割と本当。ちなみに近年では『高くてヘルシーな食事を摂る』裕福層より、『安くてカロリー過多な食事しか摂れない』貧困層の方が肥満の割合が高くなっている。



 Aは"運動をするべき"理由を、


『一、健康に悪い』『二、肥満の原因になる』『三、精神面に良い影響』


 ……と"三つ"挙げている。


 対してBは『二、肥満の原因になる』にのみ反論を行い、それ"一つ"だけで"運動をする必要がない"……つまり、『Aの意見は誤りである』と結論付けている。


 このように"複数"ある根拠や論点の"一部"に対してのみ反論したり、全体から見て"些細な間違い"を指摘し(例:『さっきは"論理"と言っていたくせに、今度は

"理論"と言っているぞ』など)、それだけで『論の全てが誤り』……と言う風に導き出す論理の事も"ストローマン"と呼ぶ」


「ややこしいな……」


「要はどちらも、相手の論を『やっつけやすく』した上で反撃する、って構造なんだ。だから、やっつけやすいサンドバッグ人形――"わら人形(ストローマン)"と言う名前なんだ

よ。


※対処法※


 論点相違を放っておくと、議論がグダグダになってしまう可能性が高くなる。論点がズレている事に気が付いた時点ですぐに指摘して、本来の議論に戻るべきだ

(仮にズレた論点に反論する場合でも、最小限に留めておこう)。


 こう言う時のために、議論を始める時に"論点を要約しておく"事は非常に効果的だ。『脳内でコンパクトに(まと)めておく』『紙に書き留める』『PC、スマホなどのメモ機能を利用する』など、普段から意識しておくと便利だぞ。


 ストローマンに関しても、前者は『そのような事は言っていない』と指摘した上で主張内容をはっきりさせておこう。


 後者も相手が反論した部分以外の根拠、論点を改めて指摘しておこう。些細な間違いも『すみません』で片付ければそれで終わりだ。執拗に突っ込まれても、いちいち気にする必要はない。


 なお議論対象に論点が複数あったとして、『ここでは、"〇〇と言う一つの論点"に対してのみ言及する』『この問題に対し、専門家として"××と言う部分"にのみ指摘を行う』……とする姿勢自体は問題ないぞ。


 例えば家電製品を買う基準は『性能』『値段』『デザイン』『サイズ』……など複数あるが、その内の一つ『省エネ』に絞って各社製品を評する……みたいな事だな。


 複数ある論点の"一つにのみ言及"するのが悪いんじゃない。"一つだけで全ての論点に反論した事にする"行為に問題があるんだ」


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