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媒概念曖昧の虚偽(意味がすり替わる言葉)

「どうも、後手こと解説だ。

 今回は"言葉の意味"に関する誤謬(ごびゅう)、詭弁だ。


媒概念曖昧(ばいがいねんあいまい)の虚偽(意味がすり替わる言葉)


例:「吸血鬼は血を飲む。田中が飲んでいるワインは"神の血"だ。だから、田中は

   吸血鬼だ」



 "媒概念曖昧の虚偽"とは、文中で使用されている『言葉、概念』の持つ意味を時々によって変化させたり、曖昧なまま議論を進めたりする事だ。


 例文の場合、一つの文中で吸血鬼の飲む『血(血液)』の意味と、田中の飲む

『神の血(新約聖書における"ワイン"の別名)』の意味とが混同されている。"血"と言うものに対して"二つ"の解釈、意味が使用されているんだ。


 もう一つ例を挙げよう。


例:「頭の良い人間は、他人の利益を考えて行動出来る。だから、高偏差値の〇〇

   大学学生達も他人の利益を考えて行動出来る人間なのだ」



『頭の良さ』と言う概念には、"頭の回転の速さ"、"思考の柔軟さ"、"戦術・戦略的な判断能力"、"知識量"、"学力"……などなど、複数の意味が考えられる。例文の場合、"どういった種類の頭の良さ"の持ち主の事を『他人の利益を考えて行動出来る』としているのか曖昧なまま進め、その後『頭の良さ』を"高偏差値"と解釈した上で結論を導き出している。


 更に別の例を挙げよう。


例:「農薬が散布された作物は健康に悪い。〇〇農場では作物に農薬が散布されて

   いる。〇〇農場の作物は健康に悪い」



 この例では、論理構造そのものは正しい。しかし『農薬が"どの程度量"散布されれば健康に悪いのか』『〇〇農場では"どれだけの量"が散布されているのか』……と言った点について、具体的に何も触れられていない。農薬を『適正量を超えて大量に』散布すれば健康に悪いに決まっているし、一方で〇〇農場が農薬の『適正量散布』を守っているのであれば、健康面で悪影響を及ぼすとは考えられない。


 ついでを言えば、『作物の種類』によっても適正散布量は変わる。『日本農薬株式会社』のホームページによると、"果樹"では『10アール辺り200〜700リットル』、"野菜"では『同100〜300リットル』、"水稲・麦"では『同60〜150リットル』が目安であるとされているぞ。


※対処法※


 まず、議論に使用されている"言葉の定義"を明確にしよう。仮に定義された言葉の意味が"辞書"や"世間一般"で使用される意味と違っていても、参加者が納得済みであれば(意味が通じるのであれば)何ら問題ない」


例:「この場においては、『コーヒーなどの味を調整するために入れる、甘くて白

   い粉状の物質』の事を"レッドペッパー"と呼びます」



「……これ、どう考えても"砂糖"だよな……」

「確かに極端な例ではあるけど、参加者達がつつがなく議論を進められるのであればこれでも良いんだよ。


 ……言葉の定義がすり替わっていたり、曖昧に感じた時には発言者へ指摘を行

い、言葉の定義をしっかりと確認しておこう。定義は"厳密"でなくとも、参加者達が納得出来る精度であれば問題ない。


 三番目に挙げた例のようなケースでは、そもそも『"大量(長時間)"に与えられた場合、有害となるものは珍しくない』事を認識しておこう。例えば『ビタミン

C』や『水』も、"大量に摂取すれば死に至る"ぞ。それを持って"危険"だなんて言ったところで、意味があるとは思えない(ビタミンCは一日に12000mg、オレンジで言えば11000個分摂取で、『水』は一度に6リットル摂取で半数の人間が死に至る。"半数致死量"と言う)。


 逆に、『危険な物質』であってもごく少量であれば全く問題ない場合もある。例えば市販されているミネラルウォーターにも"水銀"や"ヒ素"は入っているし、それらは人体に全く悪影響を及ぼさないほどの微量でしかない。それを無視して『〇〇社はヒ素が混入したミネラルウォーターを販売している』なんて言っても意味がない。


 日常会話レベルでは『〇〇をたくさん摂取すると健康に悪いから気を付けよう』と言った発言に問題はないが、議論の場では(内容にもよるが)適切とは言えな

い。可能な限り『具体的な数字』を、せめて『参加者達が納得出来る水準』の情報を挙げるよう要求しよう」


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