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多重質問の誤謬・質問攻勢

「どうも、後手こと解説だ。

 今回は"質問"に関する誤謬(ごびゅう)・詭弁を解説して行こう。


■多重質問の誤謬(ごびゅう)


例:B「君はもう詐欺から足を洗ったのかい?」



 "多重質問の誤謬"とは、『はい』と答えても『いいえ』と答えても回答者にとって不利益が出る質問の仕方だ。


 例文の場合、


『はい』と答える

 →つまり、以前まで"詐欺を働いていた"のを認める事となる


『いいえ』と答える

 →つまり、今現在も"詐欺を働いている"のを認める事となる


 ……このように『はい』『いいえ』どちらの回答を行っても、『自分は詐欺を働いた』と認める羽目になってしまうんだ。相手にレッテルを貼り付けたい人物が仕掛ける"罠"のような質問だな。


 もう少し手の込んだ例を挙げよう。


例:B「なぜ、近年の若者達はだらしなくなってしまったのだろうか?」



 この質問には、"暗黙の前提"として『近年の若者達はだらしない』と言うものが入っている。もしもそのまま質問に答えようとした場合、暗黙の前提『近年の若者はだらしない』を"そのまま認める"事になってしまうんだ。結果、質問者は議論をする事なく『若者 = だらしない』と言う結論を得る事が出来るようになるん

だ。


■質問攻勢(質問の悪用)


例:A「GMO、すなわち遺伝子組み換え作物は安全かつ有用だ」

  B「遺伝子って何?」

  A「生き物の遺伝情報が記されたものの事だ」

  B「生き物って?」

  A「生命を持った存在の事だ」

  B「生命って?」

  A「生き物が持っているものの事だ」

  B「同じ事を繰り返しているよ。全然分かってないんじゃないか」



 "質問攻勢"とは、相手の発言に対して次々と質問を投げ掛ける手法の事だ。


 まず、誤解のないように言っておこう。議論において、"質問をする"行為そのものは良い事だ。相手の意見の分からない部分を掘り下げる事により、"より深い理解"を得る事に繋がるからだ。


 問題は"質問をする"と言う行為を、『知る』ためではなく『相手を困らせる』ために利用する事なんだ。


 上記例の場合、Aの発言に対して次々質問を繰り返し、最後にAが犯したミス

(とも言えないようなミス)へと指摘を行い、それを持ってさもAの言っている事が間違っているかのように装っている。


 しかしこんな事をやっても、本題である『遺伝子組み換え作物(G M O)は安全で有用なのか?』とは何ら関係はない。『生き物とは何か?』を質問したところで、それが本題を掘り下げるために何の役に立っているのかが全く不明だ。


 質問は『意見を知るために、掘り下げる』目的で行うのが適切なやり方だ。意見と『何の関係もない』質問を行うのは単に相手にとって迷惑なだけで、『掘り下げる』ためには何の役に立っていない。


 上記の手法は『議論を行う』目的と言うより、『口喧嘩に勝つ』目的で行われている可能性が高い。他にも、『相手が質問に答えようとする"前"に、次々と別の質問を重ねる』なんて手法もあるな。


※対処法※


 "多重質問の誤謬"に関しては、単純な『はい・いいえ』で答えたり、前提を認めたまま答えたりするのではなく、"前提となっている物事"に対してはっきりと言及しておこう。


例:B「君はもう詐欺から足を洗ったのかい?」

  A「そもそも詐欺なんて働いてないよ」


例:B「なぜ、近年の若者達はだらしなくなってしまったのだろうか?」

  A「その前に、"近年の若者達はだらしない"と考える根拠を教えてくれ」



 "質問攻勢"に関しては、本題に関係ない質問をされた時点で『その質問は本題と何の関係があるのですか?』と尋ねよう。あるいは『ご自身で調べて下さい』『それについて議論するつもりはありません』など、適当なところで打ち切った方が良い。


 "答える前に質問を重ねる"に関しては、『まだ答えている最中ですのでので落ち着いて下さい』『質問は一つ一つお願いします』などと言っておこう。


 改めて言うが、"質問する"事そのものは良い事だ。もし相手からの質問が何度も繰り返されたとしても、相手が真面目に『意見を知る、掘り下げる』目的で行っているのであれば、問題には当たらない。だから繰り返し質問をされたとしても、即誤謬、詭弁だと決め付けるのは望ましくない。また質問する側も、繰り返し質問する前に『自分が何を知りたいのか』を伝えておくと相手も答えやすくなるぞ」


例:A「GMO、すなわち遺伝子組み換え作物は安全かつ有用だ」

  B「"遺伝子を組み替える"とはどう言う事なのかを知りたいので、まず『遺伝

    子とは何か?』から教えて下さい」


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