権威論証(偉い人が言っていた)
「どうも、後手こと解説だ。
今回は"偉い人が言っていた"に関する内容だ。
■権威論証(偉い人が言っていた)
例:「◯◯政策は景気対策に効果的だと経済学者が言っていた。だから、◯◯政策
は正しい」
"権威論証"とは、専門家の意見であるから"無条件で正しい"、と言う理屈だ。
たしかに専門家の意見は非常に参考になる。彼らは特定の物事に対する専門的知識が豊富であり、その知識を元にした判断は一般人の判断よりも精度が高いと言えるだろう。
問題は、意見の正しさを『内容』ではなく『主張した人間が誰であるか』によって証明している点だ。意見の正しさは『筋の通った理由があるか否か?』によって図られるものであって、『発言者は誰か?』によって図られるものではない。
『専門家が"筋の通った"主張』をしているから正しいのであって、『専門家が主
張』しているから正しいのではない。そして、専門家であっても時には間違う事だってあり得る。
酷い場合だと専門家が特定の目的のため、"意図的"にデタラメな説を唱える事すらあり得る。
以下、実例だ。
例:サミュエル・A・カートライト(米国・軍医)
「黒人奴隷が逃げ出したがるのは、黒人特有の『遺伝性精神病』が原因だ。この病気の治療には『鞭打ち』が効果的である。従って、黒人奴隷への鞭打ちは"暴力"ではなく"正当な治療行為"に当たる」
……この病気は『逃亡奴隷精神病』と言う名が与えられ、アメリカでは近代まで正式な精神病として扱われていた。もちろん、現在では『完全に否定』されてい
る。これは"病気の専門家"が、米国の奴隷制度を正当化するために"ニセの病気"をでっち上げた例なんだ」
「チョメチョメ大学のナンチャラ教授の唱えた、ゲーム脳がどうとか」
「それも完膚なきまでに否定されているな。……また"ある分野"の専門家が、"それと全く無関係"の分野について意見を述べる事もあり得る。
比較的無害な例で言えば、CMで『プロ野球選手』が『〇〇社の食品』の味をアピールするような場合だ。その選手はあくまでも『野球の専門家』であって、『食品の専門家』ではない。その選手が"食品の味"に関する専門的知識を持っている保証はないんだ。
上記の例ならまず問題となる事はないだろうが、別分野の専門家が『当該分野の専門家』であるかのように振る舞い、自説を語るケースもあり得る。例えば"〇〇病院の医者"と名乗る『眼科医』が、『肝臓病』の予防法について語るようなものだ(肝臓病は『肝臓内科』が専門)。この場合、その主張は必ずしも信頼が置けるとは限らない。
特に『医者』と『大学教授』の発言は、その人物の"本来の専門"が何かを把握した上で聞いた方が良い、とされているぞ。
※対処法※
繰り返すが、意見の正しさは『理由』によって図られる。その専門家が"どのような理由"でその主張が正しいと説明していたのかを問おう。
そして念のために言っておくが、『専門家の意見は信用するべきではない』と言っている訳ではない。『専門家 = 正しい』とは限らない、と言っているんだ」




