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前件否定(裏)・後件肯定(逆)

「どうも、後手こと解説だ。今回は少々ややこしいかも知れない。

 まず、いきなり例を二つ挙げよう。


■前件否定(裏)・後件肯定(逆)


 前件否定

例:A「○○運動を行うのは、健康のために非常に有効だ」

  B「じゃあ、○○運動をしてない田中は不健康な奴って事だな」


 後件肯定

例:A「〇〇運動を行うのは、健康のために非常に有効だ」

  B「鈴木も健康だから、〇〇運動をしてるって事か」



 ……まず、例文に登場したAの発言は以下のような構造をしている。


  A「○○運動を行うのは、健康のために非常に有効だ」

   → 1、『〇〇運動は』 2、『健康に良い』



 この論理構造の内、1を『前件』と、2を『後件』と呼ぶ。


 "前件否定"とは相手の発言の"前件(1)"を否定する事によって結論を導き出す論理であり(論理学では『裏』と呼ぶ)、


 "後件肯定"とは相手の発言の"後件(2)"を肯定する事によって結論を導き出す論理の事だ(論理学では『逆』と呼ぶ)。


 しかし例文の場合、"前件を否定"をしても"後件を否定"する事は出来ない。例えば〇〇運動をしていないからと言って、田中が不健康とは限らない。"それ以外"の方法で健康的な生活を送っているかも知れない。


 同じく、"後件を肯定"しても"前件を肯定"する事は出来ない。鈴木は〇〇運動

"以外"の方法で健康を得ているのかも知れない。


 論理的な形式として妥当なものは『前件の肯定』か『後件の否定(対偶)』だ。


 正しい例を挙げると、


 ○前件肯定

例:A「〇〇運動を行うのは、健康のために非常に有効だ」

  B「じゃあ、〇〇運動をやってる山田も健康的な奴って事か」


 ○後件否定(対偶)

例:A「〇〇運動を行うのは、健康のために非常に有効だ」

  B「不健康な佐藤は、〇〇運動をやってないのか」



 ……以上の例は適切な論理構造をしている」


「……なるほど。分かりにくい」

「まあ確かに。以下、簡単に(まと)めておいたぞ。


例:『甲だから乙である』(甲……前件 乙……後件)


 ○正しい構造

 『甲であるから、乙である』(前件肯定)

 『乙ではないから、甲ではない』(後件否定・対偶)


 ×間違った構造、誤謬(ごびゅう)

 『甲ではないから、乙ではない』(前件否定・裏)

 『乙であるから、甲である』(後件肯定・逆)



 これを身近な例に例えると、


例:『犬には尻尾がある』("犬には"……前件 "尻尾がある"……後件)


 ○正しい構造

 『ケンは犬だから、尻尾がある』(前件肯定)

 『ケンは尻尾がないから、犬ではない』(後件否定・対偶)


 ×間違った構造、誤謬(ごびゅう)

 『ケンは犬でないから、尻尾はない』(前件否定・裏)

 『ケンは尻尾があるから、犬である』(後件肯定・逆)

  →どちらも"犬以外"にも尻尾のある生き物が存在している(猫、猿、牛、トカ

   ゲ、サメ……などなど)



※対処法※


 普段会話をしながら『前件がこれで、後件はあれで……』と意識する人間もそうそう多くはないだろう。


 前件否定も後件肯定も、要は『他の可能性があり得る』点を見落としているん

だ。だから、相手の主張に『他の可能性があり得るか?』を考えた上で『他の可能性』を挙げる方が手っ取り早いだろう。


 それと当然ながら、前件肯定も後件否定も『論理構造として正しい』だけであって、『言っている内容が真実』でない可能性も十分あり得るから注意が必要だ。


例:A「犬には翼が生えている」

  B「ケンも犬だから、翼が生えているって事か」



 ……論理構造自体は正しいが、『本当に犬には翼が生えているか?』はまた別の問題だぞ」


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