二分法(二者択一の強制)
「どうも、後手こと解説だ。
今回取り上げるのはこれだ。
■二分法(二者択一の強制)
例:「今日から○○減量法を始めて健康的に過ごすのと、このまま何もせず肥満に
なるのと、どちらが良いんですか?」
"二分法"とは、物事の選択肢や判断基準を"二種類だけ"に絞る事だ。
しかし、現実には選択肢や可能性と言うものは"複数"存在する。例文の場合、
『○○減量法に効果はない』『××減量法を選ぶ』『このままでも別に太らない』『ダイエットは明日から』……などの可能性を無視している。
同様に、『完璧ではないから役に立たない』と言うのも二分法に当たる。『それなりに役立つ』可能性を無視しているためだ。『0』か『10』しか取り上げず、その間の『1〜9』を排除するようなものだ。
■別パターン・より悪い状態と比べる
例:A「日本では◯◯が問題になっている。何らかの対策が必要だ」
B「海外では、日本よりも更に◯◯の問題が大きい国が存在する。それに比べ
れば日本は恵まれている。贅沢を言うな」
何らかの問題に対して"より悪い"状態と比較した上で、"それよりマシ"だと言う手法もある。しかしこれも『日本での基準を前提にした、以前までの不満や問題のない』状態との比較を行っていない。
いわゆる"アフリカメソッド"もこのケースに該当するな」
「ああ、それ聞いた事あるな。"アフリカの恵まれない子供達"を引き合いに出す奴だっけ?」
「そうだ。例を挙げておこう。
例:「アフリカでは、今この瞬間にも飢えや病気で死んで行く子供達がたくさんい
るんだ。それに比べてお前の悩みなんて大した事はない。その程度の事で文
句を言うのはただのワガママでしかない」
そもそも、"アフリカの子供達の飢えや病気"と"個人の悩み"は全くの『無関係』だ。『無関係の問題』と比べてマシだから文句言うな、なんて単なる暴論だぞ。
二分法の何がどうおかしいのかは、以下に挙げるヘタクソな例を見れば一発で分かるぞ。
例:A「車に轢かれて脚を骨折した。全治二ヶ月の重症だ」
B「死ぬよりマシなんだから、それくらい我慢したら?」
確かに死ぬよりはマシだが、『健康』な状態より明らかに悪い状態に陥ってい
る。『我慢』で片付けられるような状態じゃない。
※対処法※
相手が提示した選択肢"以外"の可能性を指摘しよう。
また、問題と言うものはそれぞれ"別個"に取り扱い、それぞれ"別個"に解決するものだ。"より悪い状態"があろうがなかろうが、"当該問題の解決"とは全く関係ない。より悪い状態と比べられた場合は『"この件"と直接関係ない』点を指摘した上で、『"この問題"の解消、改善、軽減』を望んでいる事を伝えよう。