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未知論証(絶対と言う証拠はない)

■未知論証(絶対と言う証拠はない)


例:「古代の火星文明が絶対に存在しなかった、と言う証拠はどこにもない。だか

   ら古代火星文明は存在していた」



「ああ! 全くもってその通りだな!」

「落ち着け先手。この場で解説される事となった時点で察するんだ。


 ……"未知論証"とは、自説を否定する根拠が存在しない事を自説の正しさへと結びつける論理だ。


 そもそも、『存在しない』事を証明するのは"ほぼ不可能"とされている。『存在しない』事を証明するためには世界中をくまなく調べ尽くして『ない』事を確認しなければならず、それは現実的に無理だからだ。これはいわゆる"悪魔の証明"と呼ばれるものだな。


 しかし『存在しない』事が証明出来ないと言う事実は、『存在する』と言う証拠にはならない。


 別の例を挙げよう。


例:「手持ちの図鑑には載っていない虫を捕まえた。これは新種に違いない」



 "図鑑に載っていない"からと言って、"新種の虫"である根拠にはならない。たまたまその図鑑に載っていなかっただけかも知れない。


■別パターン・立証責任(りっしょうせきにん)の転嫁


例:B「じゃあAさん、私の考えのどこがおかしいのか言ってみて下さいよ」



 意見の正しさは、主張した"本人"が証明するべきものだ。これを"立証責任"と言う。


 "立証責任の転嫁"とは、意見を主張した"本人"ではなく、意見を聞いていた"相手"にどこが間違っているのかを指摘させる事だ。そして、間違いが指摘出来なかった場合に『つまり自分の意見は正しい』と繋げるんだ。


 さっき言った通り、意見の正しさは主張した"本人"が証明するべきものだ。"相手"に対して意見の間違いを指摘させるのは全くの筋違いだし、たとえAが間違いを指摘出来なくても、それはBの意見が正しい事を証明する事には繋がらない。


 以下の例を見れば、何がおかしいのか分かりやすくなるはずだ。


例:「明日、地球が消滅します。これを間違いだと思う人は、明日地球が消滅しな

   い事を証明して下さい。証明出来ないのであれば、それが私の意見が正しい

   と言う証拠になります」



 ……言うまでもなく主張した本人が『明日地球が消滅する根拠』を出すべきだ

し、それを提示しない限りこっちもまともに取り合う必要はないんだ。


※対処法※


『意見を否定する根拠がないと言う事は、意見を肯定する根拠にはならない』点を明言した上で、相手に具体的な論拠を問うと良いだろう。


 立証責任の転嫁に関しては、はっきりと『あなたが証明するべきです』と言お

う。


 ちなみに『"存在しない"事は証明出来ない』と言ったが、議論参加者達が互いに合意した上で、一定条件を満たしたものを『存在しないもの』として扱う事は大丈夫だ。そう言ったケースであれば、『存在しない』事も証明出来る


 それと誤解のないように言っておくが、古代火星文明が『存在する』事を証明出来ない事もまた、『存在しない』証拠にはなり得ない。結局のところ、結論として落ち着くのは『古代火星文明は、存在するともしないとも言えない』になるんだ」


「……つまり、古代火星文明の存在は完全に否定されていないって事か! 良し、これからも頑張っていつかシドニア人とユートピア人の存在を証明してやる!」


「……まあ君がそれで満足なら……」


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