第89話 女の風呂は長いのよ
ちなみにコメッコは朝風呂派です。
「あのクソガキ、何やってんだ!」
ゾデュスとガデュスは未だ休憩用の天幕の中にいた。
既にセラフィーナと別れてから1時間は経過している。
セラフィーナはシャワーに行ってくるとだけ言っていた。
普通に考えれば長くても15分くらいあれば終わるはずなのだが、未だにセラフィーナは戻ってこない。
実際ゾデュスであれば5分もあれば十分戻ってこれるだろう。
「まぁまぁ~、兄貴ぃ~、落ち着こうぜぇ~」
ガデュスが呑気にそんなことを言うが、ゾデュスは今はすぐにでもブリガンティスのいる城へと報告へ向かいたいのだ。
シャワーを浴びていて遅れたなど、ありえない話なのである。
「もうダメだ、あいつは置いていこう」
「でも兄貴ぃ~、こんなに早く戻れたのはセラフィーナちゃんのおかげだぜぇ~」
イライラを募らせるゾデュスにガデュスがそうフォローを入れる。
確かに考えてみれば、セラフィーナがガデュスの治療をしていなければ、ゾデュス達は未だに森の中だっただろう。
休憩を挟まずブリガンティスのいる城に向かったとしてもそれはずっと後の事になっていたはずだ。
ガデュスに諭されたゾデュスは不機嫌そうに言った。
「ふんっ、あと10分だけだ。それで帰ってこなければあいつは置いていく」
「迎えにいけばいいのにぃ~」
「なぜ俺がわざわざあのガキを迎えに行かねばならんのだ!」
ゾデュスが大きな声で言ったその時、天幕の幕が開き、髪を少し濡らしたセラフィーナが中に入ってきた。
「ふぅ、いい湯だったわ。まさかこんなところでお風呂に入れるとはね」
ゾデュスと目が合ったセラフィーナは気安い感じで「お待たせ」と言うと用意されていた椅子に腰を下ろした。
「おいっ、遅いぞ! 何をやっていた?」
「何ってお風呂って言ったじゃない? 簡易風呂にしては良いお風呂だったわよ」
「そんな事を聞いているんじゃない。シャワーじゃなかったのか? 何を呑気に風呂なんか入ってやがる! それにしたって時間がかかり過ぎだ!」
「だって、風呂があるって言われたら普通風呂に入るでしょ? 女の子の風呂は長いのよ?」
ガデュスの目の前でゾデュスとセラフィーナの言葉の応酬が繰り広げられ、ガデュスはなぜかそれを微笑ましい様子で眺めている。
「ガデュス、お前もなんか言ってやれ!」
ゾデュスがガデュスに援護を求めるが、ガデュスは笑顔のまま言った。
「兄貴ぃ~、急いでいるんじゃなかったのぉ~?」
「そうだ、こんなガキと言い合いしてる場合じゃねぇ。さっさと出るぞ」
「えー、もう行くのー? ていうかガキじゃないわよ! 女の子になんてこと言うのよ!」
ゾデュスはセラフィーナの抗議を無視して、天幕の外へ出ていくと、セラフィーナもぶーぶー言いつつもゾデュスの後を追いかけるのだった。
ゾデュス達は駐屯地内を歩き、飛竜がいる部下の魔人の元へと向かった。
少しすると、1時間前にゾデュスと約束していた魔人と2体の飛竜が待機してある小さめの広場が見えてきた。
「閣下、ご苦労様です。飛竜の準備は完了しております」
魔人がそう言うと、ゾデュスは目の前にいる2体の飛竜に目を向けた。
「中々元気そうな飛竜だな。早速で悪いが少し借りていくぞ」
ゾデュスは早速飛竜の内の1頭に跨ると、それに続いてガデュスももう1頭の飛竜に跨った。
「セラフィーナちゃん~、本当に自分で飛んでくのぉ~? 俺の後ろに乗ればぁ~?」
「別にいいわよ。なんか酔いそうだし。すぐなんでしょ?」
すぐとは言ってもブリガンティスのいる城までは飛竜に乗っても1時間くらいはかかる。
その事をセラフィーナに伝えると「うぇ、結構かかるわね」と言いつつも「まぁ問題はないわ」とやはり飛竜に乗る事をきっぱりと断った。
「ふんっ、後でやっぱり乗せてと言っても遅いからな」
「言わないわよ。あんた達に会う前は8時間とかぶっ続けで飛んだりしてたんだから1時間なんてわけないわ」
今言った話の真偽は定かではないが、セラフィーナの飛行速度はゾデュスから見ても決して飛竜に劣るものではなかった。
そのセラフィーナが大丈夫だと言っているのだから問題はないのだろう。
「世話になったな、近いうちに撤退命令が出るかもしれないからお前達もある程度の準備を進めておいた方いいぞ」
「ありがとうございます。閣下もお気をつけて」
世話になった魔人に別れの挨拶を済ますと、ゾデュス達は魔王軍四天王ブリガンティスが待つ城に向かい飛び去って行くのだった。
あかた〇つさんすいません。
やっぱり天使ちゃんの入浴シーンは全カットでした。
次の話から四天王ブリガンティス登場します!




