第87話 セラフィーナちゃん、マジ天使
今回も皆さんが大好きなゾデュスガデュス回です!
モブ感出しまくってましたがそこまでモブではないのですよw
謎のハルピュイア系魔人セラフィーナを仲間に加えたゾデュスは魔界の森を歩いていた。
「ねー、まだ~? 私疲れたんだけど~」
(……うるせえガキだな)
まだセラフィーナと出会って30分も経っておらず、ガデュスのケガもあってほとんど距離は稼げていなかった。
結構なスピードで飛んでいた割にはあまり歩くことが好きではないのかセラフィーナは10分毎に同じことを言っていた。
「もうすぐ着く」
「何分くらい?」
「……一番近い駐屯地までこのままの速度だと8時間ほどだろうな。そこまでいけば飛竜か何か借りればブリガンティス様の元まではすぐだろうよ」
本来なら普通に歩いても4時間ほどの距離だが今はガデュスに肩を貸している状態なので、ゾデュスはそれくらいはかかるだろうと予想していた。
それを聞いたセラフィーナはゾデュス達兄弟に向けて爆弾を放り込む。
「そこのおっさん、捨てていけばもっと早くなるんじゃない?」
「……もういっぺん言ってみろ? ぶち殺すぞ?」
ゾデュスの言葉でその場の空気が一瞬にして凍り付いた。
一触即発の状態でセラフィーナの次の発言次第では何が起こっても不思議のない状態だった。
「……仕方ないわね。あんまりやりたくはなかったんだけど」
そう言って、セラフィーナが立ち止まると、ゾデュスとガデュスに緊張が走った。
(なんだ? まさかさっき仲間にしろって言ったばかりのくせにもうやる気か? いいだろう。俺の力を見せて——)
「ほら、早く」
「あぁ!? 先手を譲ってくれんのか?」
セラフィーナに急かされ、ゾデュスは体内の魔力を一気に高めた。
後はゾデュスを遠くに退避させれば戦闘態勢の完了だったのだが、セラフィーナは呆れた顔で言った。
「何言ってるのよ、さっさとそこのおっさん下ろせって言ってるの。治療するから」
「えっ? お前治癒魔法使えるのか?」
人間と比べて脳筋が多い魔人の中で治癒魔法を使える魔人はかなりレアで使えればかなり重宝される事が多い。
それでも脳筋が多いので自分で治癒魔法を覚えようとするものは少ないのが魔人というものなのだが。
「そりゃ天……じゃなかったハルピュイアだからね」
「ハルピュイアが治癒魔法が得意なんて話聞いたことはないが?」
「どうでもいいでしょ? さっさと下ろす」
なんか誤魔化された気がしたゾデュスだが、治療してくれると言うのなら文句などあるはずもなく、大人しくガデュスを地面に下ろし、ガデュスもそんなゾデュスに従った。
するとセラフィーナは仰向けになったガデュスの胸に手を当て、魔力を集中させる。
「ミドル・ヒーリング!」
セラフィーナの発声と共にガデュスは温かい光に包まれ、見る見るうちに体中にあった傷は塞がっていき、体内の損傷も目には見えないが次々と治っていき——。
数秒の内にガデュスのケガはほぼ完治した。
ガデュスは身体中の痛みが全て引いた事を確認すると、ガバッと飛び上がった。
「うぉ~、すげぇ~。セラフィーナちゃん~、ありがとぉ~」
「ちゃん付け止める。……まぁ一応仲間だしね」
少し照れた様子のセラフィーナにゾデュスまで頭を下げて礼を言う。
「俺からも礼を言う。ガデュスのケガを治してくれて感謝する」
「やめなさいよ、魔人らしくもない。治ったんだかサクサク進むわよ」
そう言って、セラフィーナはゾデュス達を置いて歩き出したが——。
「おいっ、待て」
「なによ、まだ何かあるの?」
振り返ったセラフィーナにゾデュスは少し言いづらそうに指摘した。
「……そっちは北だ。全然方向が違うぞ」
ゾデュスが間違いを指摘すると、セラフィーナの顔がみるみる内に真っ赤になり、大声で喚いた。
「知ってるわよ! さっさと行くわよ!」
セラフィーナは間違いを認めなかったが、どう考えても指摘していなければそのままあらぬ方向に行っていただろう。
よくよく思い返してみると、最初にセラフィーナに出会った時も道に迷っていた様子だった。恐らくセラフィーナはかなりの方向音痴なのだろうとゾデュスは理解した。
それでも流石に今度は間違えることはなく、セラフィーナは東に向けて早歩きで歩き出したのだった。
その後ろ姿を見ていたガデュスがポツリと呟く。
「セラフィーナちゃん~、マジ天使ぃ~」
そんなガデュスを見てゾデュスも呟く。
「……お前、マジか?」
ガデュスの発言は聞かなかった事にして、ゾデュス達もセラフィーナの後を追いかけるのだった。
セラフィーナちゃんはツンデレなのは予想通りでしたが、ゾデュスがちゃんと頭が下げれる子だったのは意外ですね。
この後、数話ほどゾデュスガデュスセラフィーナの移動回が続いた後、やっとあの方たちが出てきます。
いやー、長かったですね。マジで。




