第60話 勇者様はアール推し
あえてド深夜に更新してみたぜぇ~、ワイルドだろぅ~!
ていうかほとんどストックないのに新作書いてんだぜぇ~、ワイルドだろぅ~!
深夜で懐かしのス〇ちゃん風の謎のテンションになっていますw
今回はほぼお喋りです。次回は戦いがあるといいなw
ではどうぞw
ガランとニアは遠くで繰り広げられるアルジールとガデュスの戦いを呆然としながら見ていた。
戦闘中であるアリアスでさえ隙をみては、その戦いを見守っていた。
というよりは最早勝負にすらなっていなかった。
ただただ強者であるはずの魔人ガデュスがE級冒険者アールに一方的に嬲られているのにずっと耐えている。そんな感じである。
「何っスか? あれ? ていうか何だったんスか? あの魔法は?」
ガランが問いかけるとニアは困ったように答えた。
「……知らないですよ、あんな魔法。でも第2級魔法ですよね? 多分」
攻撃系の第2級魔法といえば、ガランとニアが知る限り人間界ではアリアスとシステアのみが使える大魔法である。
アリアスの光槍乱舞も大概なチート技である。人間界であれを単騎で止められる人間など恐らく存在しないだろう。
光槍乱舞は連続攻撃が売りの魔法なので一本一本の光槍の威力は第2級魔法の中では実はそこまで高いものではない。
とはいえ第2級魔法の中でいえばである。一般的な冒険者から見れば、一本一本の光の槍1つとってもその威力は必殺と言っても差し支えないほどのモノなのだ。
それが10数本。普通に相対すれば絶望でしかない。
対してアルジールが放ったあの魔法は単体攻撃でこそあるが、その速度はアリアスの光槍乱舞を遥かに凌ぐ速度だった。それに加え、威力と攻撃範囲も見ての通りだ。
雷攻撃だというのに凄まじい炎攻撃が通った後のように木々がボロボロの燃えカスに変わっている。それが先が見えない後方まで続いているのだ。
アリアスの光槍乱舞は手数多すぎで避け切れない。アルジールの雷嵐流は速過ぎる上に範囲が広すぎて避け切れない。
どちらにしろ避け切れないのだが、直撃した時の事を考えた時の絶望感でいえばアルジールの雷嵐乱舞の方が上だとガランはそう思った。
「第2級魔法っスね。間違いなく」
自分で聞いといてガランは第2級魔法だと自分で断言するが、魔法名や詳細は不明のままである。正直知りたかったのはそこだったのだが、ニアも知らないということでガランは諦めることにした。
「俺の剣いったっスかね? あれ?」
確かにガランがアルジールに渡した剣も使っていることは使っているが、アルジールは先程までとは違い、ガランの知らない——恐らくかなりの高位魔法で攻撃を続けている。あれならばガランの剣など必要なかっただろう。
「多分あれら全てが第2級か第3級の魔法だろうね。アールさんは今まで手を抜いていたんだ。僕も速度特化の武道家と勘違いしていたんだけどあれは最高の魔法使いであり剣士だよ」
ガデュス配下の魔人を1人で全てを倒し切ったアリアスがガランの傍までやってきてそう言った。
「アリアス、相変わらずとんでもないっスね。……アールさんの援護には行かないんっスか?」
「アレを見て援護が必要だと思う?」
もちろん、必要だとガランは思わない。
今もガデュスはアルジールの猛攻を受け、防戦一方——というより防御すらままならない状況である。
逆にアレを未だ耐えているガデュスに敬意を表したい気分ですらある。
「攻撃のほとんどが第2級か第3級っスか? すげぇ化け物っスね」
とはいえ、アリアスも第2級魔法である光槍乱舞をぶっ続けで使用しながら戦い続けていたわけでアリアスもアリアスで化け物だ。
だが、アリアスが化け物なことくらいガランは知っている。
ガランが驚いているのはアリアス以外に——しかもただのE級冒険者があんな化け物だという事に驚いているのだ。
「アリアスならアールさんに勝てるっスか?」
ガランは興味本位でそんなことを聞いてみるとアリアスは少し考えてから答える。
「……どうだろう。アレが本気ならいい勝負じゃないかな? ただ敵にはしてはいけない相手だという事は間違いないかな」
勝てるかどうかは分からないが、少なくてもガデュスよりはいい勝負はできるだろう。だが、なんとか勝てたとしてもアリアスもタダでは済まない事は間違いない。
今回の戦いも仮にアルジールがあちらのパーティーに参加していたらアリアスのパーティも無傷では済まなかったはずだ。
負けはしないまでもガランかニアのどちらかが死んでいてもおかしくはない激戦になっていたことは間違いない。
もっと言うなら今回の作戦に『魔王』が参加していなかったとしたら……。
「システアさんは流石の慧眼だな」
「間違いないっス」
E級冒険者パーティー『魔王』の実力を一目で見抜いたのはあの冒険者協会ではシステアただ一人だった。
ギルドマスターは『魔王』を見つけるなり追い返そうとしていたが、仮にアリアスやガランがギルドマスターと同じ立場だったとしてもそうしただろう。
それだけ冒険者のランクは重視されるものだ。
A級冒険者ならA級冒険者のE級冒険者ならE級冒険者の実力を持つと見なされるのが普通なのだ。
「2人目の勇者の誕生かな?」
今回の作戦を無事に終えれば、アルジールの冒険者ランクは一気に上がるだろう。
システアがアリアスと共にS級依頼をこなしてA級冒険者に一気に昇格できたことを考えれば最低でもA級は堅いだろう。
ついでに言えばアリアスはアルジールの勇者昇格を猛プッシュするつもりでいる。
アレが勇者になれないならアリアスも勇者である資格はないはずなのだ。
それほどまでにアルジールは強い。
「えっ、いや、でも」
アリアスの言葉にガランは言葉を濁す。
確かに勇者が同時期に誕生することはかなり珍しいが前例がないわけでもない。目の前であんな戦いを見せられて何を戸惑う事があるというのか。
「でもアールさん、『魔王』のパーティーリーダーじゃないっスけど?」
「えっ? あっ?」
アリアスは完全にアルジールがパーティーリーダーでない事を失念していた。
確かにパーティーリーダーであるクドウも自己紹介していたのだが、アルジールの方が色んな意味で目立っていたからだ。
「えーっと、確か…黒髪の……」
「クドウさんッス!」
名前をぼんやりとしか記憶していないかったアリアスにガランがクドウの名を伝えた。
ガランからすれば、アルジールから耳にタコができるほど聞いた名なのだ。
「じゃあガランはそのクドウさんの方がアールさんよりも強いって言うの?」
別に『魔王』のパーティーリーダーを決めたのはガランではないので本来知らないと答えるところだが——。
「アールさん曰く「私などクドウ様の足元にも及ばない」らしいっスよ。あとシステアさんの反応を見た感じでもやっぱりそんな感じに見えるっスね」
「えっ、じゃあアールさんもしかして勇者になれないの?」
「知らないっスよ、そんなこと」
2人同時の勇者誕生は話に聞いたことがあるが3人同時というのはアリアスも聞いたことがなかった。
仮に3人同時が可能なのだとしても同パーティーに勇者2人というのは可能なのだろうか?
W勇者パーティーなどチートもいいとこである。
そんな勇者パーティーがしょうもない話をしている中、大きな衝撃音が辺りに響き渡った。
ドォーン!
アリアス達がその音の方を振り返ると、ガデュスの姿はなくアルジールの姿だけがあり、そのアルジールがポツリと一言呟いた。
「さすがはあっくん様の『魔王流足裏超キック』。凄まじい威力だな」
アルジールの猛攻を受け、完全に無防備になったところに助走をつけてただ本気で飛び蹴りを放っただけの技だが、ノックバック効果だけでいえば第2級魔法以上だった。
アルジールはアリアス達の元までやってくると言った。
「さてお前達、行くぞ」
「えっ、どこにっスか?」
「決まっている。クドウ様に私の雄姿を見ていただきにだ」
そう言ってアルジールははるか彼方に吹き飛ばしたガデュスの後を追うのだった。
アリアスさんがすごくアルジール推しになっていますね。
初代勇者が金髪だったという事もあって冒険者はなんとなく強い金髪冒険者に憧れがあるみたいですよ。別に初代勇者の銅像は金髪ではないんですけどね。




