第5話 その名は神ユリウス
ネームドキャラが元魔王→四天王筆頭に続いてなんと神です。あ、ネタバレですが、タイトルで既にネタバレですので大丈夫ですよねw
いつの間にかPVが100突破していました!見てくれた皆さまありがとうございます!これからも真面目にふざけながら続けようと思います。
クドウとアルジールが始まりの町シラルークに到着した頃——
「ふ、ふふふ、ふははははは!」
1人の男が大きな笑い声を上げていた。
「自分から人間になりたいなどどぬかしておったがまさか本当に人間になるとは思ってはいなかったぞ、……ギラスマティアよ」
傍に侍る少女が男の持つワイングラスにワインを注ぎ入れると、人間界の王ですら口にすることは許されないそれを男はぐっと一気に飲み干した。
そんな彼こそが地上において最大勢力を誇るユリウス教における最上位存在にして神。
【黄金の神】ユリウスその人だった。
「勇者達に力を授けて、やつを倒すのを待っておったが、まさか奴から神山に訪れた時は遂に我に取って代わろうと乗り出したのかと身構えたわ」
実際にギラスマティアは神ユリウスに戦いを挑んだ。
戦いは2日間に及び、ユリウスの絶大な魔力も底を尽き、剣による勝負に打って出たが、激しい戦いの末、ユリウスはギラスマティアに敗れたのだった。
その際、ボロボロになった神剣ユリスリティアも3神の1人である剣の神に頼んで、今は元通りの姿を取り戻している。
「それにしてもあの魔剣なんと言ったか? まさかユリスリティアとあぁも互角に打ち合おうとは」
神と魔王の戦いにいくら神の使徒として人間から崇め称えられている天使である少女とはいえ、立ち入る事など許されない。ゆえにその場にいなかったので、魔剣の名は知らず、少女は答えを返すことはできなかった。
「それにしても我に勝ってした要求が「お前、転生アイテム持ってるだろ? さっさと寄こせ」とはな。そんな要求だと知っておれば、すぐくれてやったものを。いきなり戦いを吹っ掛けおってからに」
あの戦いの後、ギラスマティアは数日間、ユリウスがいる神山に滞在した。
ユリウスしか飲むことが許されない名もなきワインを2人で飲みながらいろんな話をした。
ギラスマティアが人間になりたかった理由。
ギラスマティアが魔人に転生する前は違う世界で人間だった頃の話に配下の四天王アルジールが事あるごとに『魔王様! 魔王様!』とうるさいといった愚痴。
話すつもりはなかったが、ユリウスの過去の話もしてしまった。
ユリウスとしてはその事は少し失敗だった気もしていたが、それほどに魔王ギラスマティアの話は興味深かった。
「主人公といったか。長く生きてきた我でも理解のできない考えであったわ。魔王という地位を捨て、人間として魔人達を倒し、世界を平和にするなどとは。魔王の考えとは思えぬ」
そう言って、ユリウスは少女が注いでくれたワインをさらに一飲みにする。
「ユリウス様」
「なんだ? セラフィーナ」
黙ってワインを注いでいた天使セラフィーナが上機嫌に語っていたユリウスに話しかけた。
「ユリウス様は魔王ギラスマティアを倒したかったのでは? 今が最大のチャンスではありませんか?」
セラフィーナの言うことはもっともだった。
いくら神であるユリウスに勝利した魔王ギラスマティアといえど、転生直後では魔力も身体能力も格段に落ちる。
ユリウスはギラスマティアが人間に転生する前の数百年間、多くの勇者や聖者に力を授け続け、ギラスマティアに挑ませた。
その全ては失敗に終わっているが、ユリウスがギラスマティアを始末しようとしていたのはセラフィーナも知っていた。
今の転生直後で力が格段に落ちたギラスマティアであれば、神であるユリウス自らギラスマティアの討伐に挑めば、容易く葬る事ができるだろう。
自分が行くのが嫌だとしても、天使の軍勢を送り込んでもいい。それでもギラスマティアが魔王であった頃に勇者に挑ませるよりは遥かに始末できる公算が高かった。
「……そうだな。少し早いが、我自らギラスマティアを葬る事としようか」
神ユリウスは自身が持つ最高の神剣ユリスリティア持ち、立ち上がる。
そして、今いる神界から下界へと繋がっている2つの転移ゲートの一つである人間界側に存在している転移ゲートの前まで歩いたところでふと立ち止まった。
「ちょっとワインを飲みすぎて気分が悪くなったようだ。それによくよく考えたら、転生直後に弱った魔王を倒してしまっては神である我の神威に関わる。魔王は人間界を支配するつもりもないようだしな。少し様子を見ることにする」
ちなみに神が酒に酔うことはない。基本的には毒も効かない。もっといえば、ワインをいくら飲んだ所で饒舌になるということもないのだ。
「そんな!」
セラフィーナが大きな声でユリウスに意見しようとしたところで、ユリウスが冷たい声がそれを押し止めさせる。
「なんだ? セラフィーナ。我に意見でもあるのか?」
「……い、いえ、なんでもありません」
こう言われては天使であるセラフィーナが神であるユリウスに意見を言う事など絶対に許されない。
それに加え、セラフィーナ自身、ユリウスには返しても返しきれない恩があり、頭が上がらないのだ。
「そうか、それにしても相変わらずうまいワインだ。数百年経っても変わる事はない。気分もいいことだし、我は寝ることにする」
そうして、ユリウスは「ふははははは!」と大きな笑い声を上げながら、セラフィーナの元から去っていった。
1人残されたセラフィーナは沈んだ表情で呟く。
「……ユリウス様がお許しになったとしても私は貴様を許さない、ギラスマティア」
曽於呟きと共にセラフィーナの体が光に包まれ——
もう1人のセラフィーナを生み出した。
「幸い、私はユリウス様のお世話係。戦いで大きな力を行使することもない。だからこそ、人間界に私の半身を送り込んだとしても、ユリウス様がお気づきになる事はない」
セラフィーナは神ユリウスに仕えて以来、初めてユリウスの意に反する事をしようとしている。
ゆえにユリウスはセラフィーナが自分の意に反する事をするとは微塵にも思っていない。それもあって、セラフィーナはユリウスにこの裏切りが露見することはないと確信している。
事実、この時ユリウスはセラフィーナが命令に背くなどとは夢にも思ってはいなかった。
それはセラフィーナの自身に対する忠誠を見誤ったわけではない。
その忠誠以上のセラフィーナがギラスマティアに抱く執念を小さく見積もり過ぎていたのである。
(申し訳ありません。ユリウス様。貴方様の意に反してでも私はギラスマティアを許すことができないのです。事が終わってから全てを話して謝罪いたします)
そして、セラフィーナの半身は転移ゲートの神山ではない方の転移ゲート。
人間界にある試練の塔と呼ばれる塔へと通じる転移ゲートへと入って行ったのだった。
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かなーりやる気が出ます!




