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第45話 みんな春ッスね

今回はクドウとの会話を終えた後の勇者パーティー視点の話です。

システアはクドウとの約束を取り付け一息ついていた。


正直断れてしまうか不安だったが、どうにかなった。


あとは魔人アルジールとの共闘さえが叶えば、当初の見立てよりかなりいい戦況に持ち込めるだろう。


もちろんそれは魔界側の勢力図にもよるのだが、魔人アルジールがかなり消耗しているとはいえ、未だ人間界にまで侵攻できていない事から考えると、魔界の全てを敵に回しているという事はなさそうだ。



(魔人アルレイラの南方勢力は味方と考えてもよいものか……)



システアは人間界においてはかなり魔界の情報に精通している。とはいえあくまで人間界の中ではの話だ。


流石に現在の戦力を正確に把握しているとまでは言えないし、大まかな四天王の支配地域、戦力くらいはなんとなく分かっている程度のものだ。


昔に聞いた話だが魔人アルレイラは魔王に忠誠を誓っていると聞いたことがある。

それに魔人アルジールとの姉弟仲は決して悪くないという話も。



(四天王の最後の1人、ミッキーと言ったか。そやつの情報がまったくないのう。魔人アルジールが食い止めている所をみると魔人アルジールとアルレイラがブリガンティスとミッキー相手に敵対しておるのか。それともアルレイラとミッキーが静観し、アルジールとブリガンティスが敵対しておるのか……。うぅむ、分からん)


一番最悪の展開は魔人アルジールに他の四天王3人全員が敵対している場合だが、さすがにそれはないだろう。


と考えれば魔人アルジールに対しブリガンティスとミッキーが敵対し、アルレイラが態度を決めかねている展開がシステア達にとって一番悪い展開かもしれない。


うぅむと唸るシステアに一緒に席に着いていたガランが爆弾を落とす。



「システアさん、恋の悩みっスか?」



「……、何の話じゃ?」



「システアさん、途中からあのクドウってE級冒険者にずっと敬語でしたよ」



「えっ?」



システアはあまり意識していなかったが、そう言われると、自分がどんな風に話していたかよく思い出せない。



「確かに敬語でした。システアさんが敬語で話しているの初めて見ました」



アリアスもシステアが敬語で話していたという。ニアも隣でうんうんと頷いている。


アリアスはもちろん、この場にいる誰もがシステアの敬語を聞いたのは初めてだった。相手が国王だろうが法王だろうがシステアがいつもの口調を崩したことはたったの一度としてない。



「恐らく、ワシらと共に先行する件を断られては不味いと思って無意識にじゃろうな」



確かにその通りなのだが、それでもシステア自身、少し違和感があるのは自覚している。



「システアさんなら「ワシらは先行するからおぬしらもついてくるのじゃ!」とか言いそうっスけど」



そうだ。認めたくはないが確かにいつもならそう言っていたような気がする。


それに下手に出ようが上から話そうが結果は変わらなかっただろう。クドウはそんな事は気にせず了承したに違いない。



「まぁ好みは人それぞれと思いますわ。私は隣にいた金髪の男性の方が美形だった風に思いますけど」



「違うと言っておろうに!」



システアはムキになって否定する。だが、いつもの自分だったらこれくらい軽く流していたのではと否定した後で気づく。



「まぁまぁ、システアさん。ていうかニアがしれっと浮気しようとしてるっスけどいいんスか? アリアス」



「「僕たち(私たち)はまだ付き合ってません!」」



アリアスとニアの声が完全に被り、お互いの顔を見合わせた後、2人そろって赤面した。



(普通にちょっとからかっただけなんスけど、これはアレっスね)



「まだ」とか言っているし、ほぼ告白したようなものだろう。



システアはシステアでこれもガランは結構冗談半分で言ったのに反応を見た感じかなりクロっぽい。



「はー、みんないいっスね、春ッスね」



「だから違うと言っておると言っておるのじゃぁー!」



そんなシステアの声が冒険者協会内に響き、そんなこんなでシステア達も貴重なクドウ達との約束の10分の時を過ごしたのだった。



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