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第10話 2日目の朝

項垂れている俺にプリズンが恐る恐る声をかけてきた。



「あのー、クドウの兄貴……」



「すまん、今日の所は勘弁してくれ……」



俺はそう言うとプリズンは「あ、はい」と素直に自分の席へと戻っていく。


なんだ、空気の読めるいい奴じゃないか。どこかの馬鹿とは大違いだ。


まぁそれとパーティー入れるのとは話は別なんだけどね。


俺はトボトボと自分の席に座りなおした。



さて、こういう時は。



「女将さん、酒だ! 酒! この酒場で一番うまい酒をくれー!」



「何やらよく分かりませんが、私もお供します! クドウ様!」



俺は酒をしこたま飲んで忘れることにした。 



そして、気づいたら朝になっていた。



「いってぇ」



頭が痛い。転生の副作用だろうか?


いや、違うな。2日酔いというやつだ。


原因が違うとはいえ、2日連続で頭痛で目覚めるとは俺も情けない。


ていうか、ミンカ母に酒を要求した後の記憶がない。


気付いたら、知らないベッドの上だった。


恐らく、あの後、アルジールが宿屋の2階まで運んでくれたのだろう。


隣を見ると知らない女が……ということもなく俺一人だった。



それにしても【魔王】か……。



まぁ冷静になって考えてみると単なるパーティー名だ。元魔王がパーティー【魔王】のリーダーをやってるなんぞ誰も思うまい。


そう自分に言い聞かせている時、部屋の扉がトントンと2回叩かれた。



「どうぞ」



俺が答えると、笑顔のミンカが部屋へと入ってきた。



「おはようございます! クドウさん!」



「おはよう、ミンカ。……昨日、俺ってどうなってた?」



俺は恐る恐るミンカに尋ねる。



「えっ、普通に歩いて、こちらに戻ってきましたよ? お母さんがいい飲みっぷりだって褒めてました!」



どうやらアルジールの世話にはならなかったようだ。


あいつに借りを作るのはなんか癪だからな。



「あ、朝ご飯ができたので、呼びに来たんでした。アールさんはもう下でお待ちになられてますよ」



「そうなんだ、すぐ行くよ」



「お待ちしてますね!」



そう言ってミンカは部屋を出て行った。


俺も最低限の身なりを整えて昨日の酒場のある1階へと降りていくと、そこには少し顔色が悪いアルジールが席に着いていた。



「お、おはようございます、クドウ様」



「あぁ、おはようってか気分悪そうだな? 大丈夫か?」



一応聞いてみたもののどう見ても良くはなさそうだ。


俺も人の事は言えないが、元四天王筆頭がなんとも情けない。



「いえ、大丈夫です。クドウ様の勝負を受けねば男が廃りますので」



あぁ、俺が飲み比べを吹っ掛けたのか。すまん、アルジールよ。


俺は周囲の視線に注意しながらすばやく異次元空間に手を突っ込みすぐに引き抜いた。



「ほれ、これ解毒剤だ、飲んどけ」



「あ、ありがとうございます」



アルジールが申し訳なさそうに、粉末状の解毒剤を受け取ると、テーブルに置いてあった水で口に流し込む。



「す、凄く楽になりました。どこでこんなものを入手したのですか?」



いくらなんでも即効性がありすぎる解毒剤にアルジールは驚きの声を上げる。



「知り合いの神にくれたんだ。「我にはあらゆる状態異常は効かぬからな! ふははははは!」とか言ってさ」



「例の神山にいる神ですか」



「そうそう、転生アイテムくれたあいつ。いやー、あいつん家にあるワインが凄く美味いんだよ。全部寄こせって言ったら喧嘩になりかけてさ、流石に諦めたけどな」



流石にワイン如きで俺も神相手に喧嘩するつもりはない。


とはいえ、魔王の意地で数本かっぱらうことには成功したので今も異次元空間に置いてある。


なんかの記念日にでもと取ってある物だ。


周囲に聞かれたら確実に頭のおかしい変なやつ認定されそうな話ばかりだが、周りには聞こえないように注意しているため問題はない。



「さて飯にするか」



俺たちは既に配膳してあった朝ご飯に手を付ける。


シンプルにパンにハムエッグ、スープにサラダと一般的な朝ご飯だ。


アルジールも「クドウ様にこのような粗末な食事を! シェフだ! シェフを出せ!」などと喚くことはなく素直に食事にありつき始めた。



これからの生活に順応していけそうで結構な事だ。


ていうか、普通にうまい。


昨日の夕食もさぞ美味かったに違いない。



記憶がないのが残念だが、またいつでも食べられるので問題はないだろう。



「……昨日も思いましたが、悪くないですね。人間の食事も捨てたものではないようです」



アルジールがそうぽつりと呟いた。



俺はそれに「そうだな、美味いな」と答えた。

面白い! と思ったらで構いませんので広告の下にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると、ありがたいです!

かなーりやる気が出ます!

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