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閑話・三百話記念第二弾

本作はYVH様から頂いた作品です。


ご厚意により公開致します


     シルバーンの日常と、兵器テスト1



  -過去。アレックス以下、首脳陣が地球に降下した直後ー


  - 月宙域・宇宙要塞シルバーン ー


  -最重要中枢区画バイタルバート・中央管制室ー


 そこは喧騒に包まれていた。

首脳部が要塞を離れた直後、ここ中央管制室に緊急アラートが鳴り響き出したからである。 


 side 中央管制室・とあるオペレーターロボット


 大変な事になった。


 司令官たちが地球に出発した直後、ここ中央管制室で制御している

重力場バランサーが異常を起こした。調査の結果、このシルバーンと

地球・月の位置取りの関係で三者間の重力場バランスに齟齬が生じており

それを解消する為に装置が限界近くまで作動した結果

装置がオーバーヒート寸前になった事が原因と判明した。

この事を地球に向けて航行中の司令たちに知らせた結果

緊急措置として現宙域から一時退避して、そこで重力バランサーの調整をする事になった……



 - 現在(千五百四十八年代) 月宙域・宇宙要塞シルバーン ー


 -最重要中枢区画バイタルバート・中央管制室ー


 side エリザベート(リースル)


 中央管制室ここも、あの頃と比べて。だいぶ落ち着いてきたようですね。

あの時は、本当に大変でした……(溜息)


 地球に降下直前、要塞からの緊急通信で重力場バランスの問題を報されて

一時的な処置として、シルバーンを現宙域から離脱させる指示をした後、皆で協議した結果

元々、中央管制室担当で、その手の作業をしていたわたくしが要塞にトンボ返りをして

重力場の調整を行う事になったのは良いのですが……既存の装置では能力不足という事が判明。

 その解決の為、小笠原諸島拠点から技術開発担当だったギーゼラを呼び戻して装置開発を丸投げし……

それにキレた彼女が全力全開で新型装置を開発して、それで解決と思ったのですが……

今度は、要塞の動力炉では出力不足で、恒常的に装置を動かせない事が

問題になったのですが……


 「水星・金星間に配置の複合型発電衛星03より、蓄電量の臨界信号を受信。

  マイクロウェーブ受信室、受信準備に入られたし」


 『こちら受信室、了解した。

  中央管制室、中継衛星の自動選択を』


 「了解。中継衛星自動選択。03番・34番・56番・81番、選択。

  各中継衛星、作動を確認。複合型発電衛星03、マイクロウェーブ照射を開始します」


 ギーゼラが二十世紀末期に研究されていた、この方法を思い出してくれて助かりましたわ……

おかげで、シルバーンの全兵装の三分の二を止めずに済んだのですから……

 シルバーンのメイン動力炉を丸ごと換えるのは、前の世界の運営規約の所為なのか

どうやっても不可能でしたからね……


 影響がない場所に移動するという案もあったのですが、今の場所のほうが

地球との行き来には都合がいいですからね。その為に、迷彩装置も開発したのですから……


 そう胸中で語る彼女の目には、ここ中央管制室にある巨大な3Dホログラフスクリーンに

映し出された、水星・金星間~シルバーンまでに配置されている

多数の中継衛星を介して送信されくる、疑似モデル化された

マイクロウェーブが映っているのであった……



 -最重要中枢区画バイタルバート・中央司令室-


 side ヒルデ


 『マイクロウェーブ受信、及びエネルギー変換順調』


 『エネルギー蓄積率。35…54…68…87…』


 どうやら、問題無いようね。

これなら、暫くは新型重力バランサーをフル稼働させていても問題ないわね。


    ‘ニ"ャウ ニ”ャウ‘


後、何かやる事はあったかしら?……


    ‘フミャッ!‘


 「キャッ!? なに、大牙。遊んで欲しいの?」


    ‘ニ"ャッ‘


そうだよ。という感じで私の膝の上で首肯しながら鳴いたのは

シベリアタイガー(アムールタイガー)の仔虎、大牙たいが

それも珍しいホワイトタイガー。

元々は開拓団で保護されて、例のマンモスの移送の後に

治療目的でシルバーンに連れてこられたんだけど……

 当初は衰弱が激しく、生存が危ぶまれたけど。妹のヒルドが意気込んで


 ;この仔は助ける!このヒルドの技量に掛けてっ!!;


と、全力で治療したのは良いんだけど……

張り切り過ぎたんだか。治療カプセルの設定をミスったみたいで、無事に全快したんだけど

治療薬の副作用で知能が飛躍的に伸びたのと、牙が異常に発達しちゃっのよね……

だから見た目は、尻尾が長く体躯が白いサーベルタイガーの子供みたいなのよね……

 それに……


  【ダメですよ大牙。ヒルド留守司令は、お忙しいのですから。

   このモスと遊びましょう】


私の背後から声がして。「茶色の毛に覆われた長い鼻」で大牙を器用に持ち上げて

自分の背中に乗せたのは。上層部の許可を得て、例のマンモスのDNAデータを使って

ヒルドが作り上げたマンモス型のバイオロイドの「モス」。

シルバーン内を自由に動けるようにと、大きさはサラブレッド並に調整されているけど

それ以外は、立派なケナガマンモスなのよね……

 役目は……


 【ヒルド留守司令、観測部からですが。

  太陽系外縁部付近に、巨大な小惑星を確認。

   直径は約五百キロ。今の軌道を通ると、地球に衝突するかもしれないとの事です。

  如何なされますか?】




一応、私の副官らしいんだけど……傍目からしたら、かなりシュールよね……


 【留守司令!】


おっと、いけない……


 「太陽系外縁に展開している監視衛星群の中で、接近中の小惑星に最も近い衛星は?」


私の問いにモスは、少々お待ちをと言って、思考操作型コンソールを起動させて

鼻で器用に操作して、接近中の小惑星に近い位置にある監視衛星を走査して報告した。


 【0056・0076・0136の三基です】


 「メインスクリーンに映して」


私の指示にオペレーターがコンソールを操作して、中央司令室の3Dメインスクリーンに

監視衛星から送られてきた映像を投影した。

……これは……


 「オペレーター、詳細は分かる?」


私の問いにオペレーターの一人は、コンソールを操作した後に


 「……接近中の小惑星は、モス副官の報告と同じ。直径、約五百キロ。

  質量は算出不能、かなりの質量です。速度は前進する度に加速しており

  地球衝突直前で亜光速に達すると思われます。

  なお、現在のコースを維持すれば。地球への衝突確率は九割以上」


!亜光速!?衝突確率は九割以上!?


 「至急!尾張の司令に報告!!

  巨大小惑星が接近中!地球衝突の確率は九割以上!!

  対処は如何にとっ!」


 「ハッ!」


私の指示に、オペレーターが緊迫した様子で尾張の司令に連絡を取り始めた……

地球とのやり取りが続いた後。司令の判断で、ゲーム世界では使う機会がなかった

大威力兵器の試用テストを兼ねる意味で、その小惑星の排除が決まった。


 手順はドリル式スターブレイカー反応弾で、ある程度の大きさに破砕した後に

重力場弾道弾(ブラックホール弾道弾とも)で、完全に消滅させるという事になった。

そして……


 「次元跳躍型ミサイルセル、一番~十番起動。

  一番~五番はドリル式スターブレイカー反応弾。六番~十番は重力場弾道弾」


 『こちら中央管制室。次元跳躍型ミサイルセルに諸元データ入力完了

  安全装置一番~五番、解除』


 「こちら中央司令室、了解。一番~五番にドリル式スターブレイカー反応弾、装填

  続いて。重力場弾道弾、六番~十番に装填」


 『こちら中央管制室。ドリル式スターブレイカー反応弾に諸元データ入力完了。

  反応弾、安全装置解除。続いて重力場弾道弾、諸元データ入力完了』


  『重力場弾道弾、アレックス司令からの安全装置解除コード入力を確認。

  次元跳躍型ミサイルセル六番~十番、安全装置解除。

  アレックス司令・エル副司令、同時操作による最終安全装置。解除コード入力を確認』


……いよいよね……


 「……ドリル式スターブレイカー反応弾、発射!」


私の命令で五発のドリル式スターブレイカー反応弾が発射されたわ。

それらは、ミサイルセルから射出された直後に次元跳躍特有の発光現象直後に消え……


 『こちら中央管制室。目標の小惑星付近に複数の小規模時空震を検知』


 「監視衛星0136の映像により、小惑星五か所に着弾を確認。

  そのまま内部に沈降を開始」


……数十分後……


 『こちら中央管制室。ドリル式スターブレイカー反応弾、目標深度に到達』


中央管制室からの報告で、目標深度に達した事が報告された私は

中央司令室のオペレーターに反応弾の起爆を命じた。


 「反応弾、起爆!続いて重力場弾道弾、発射!!」


 「了解!反応弾、起爆します!!続いて重力場弾道弾、発射!!」


五か所内部で爆発した反応弾は、その威力で目標の小惑星を幾つかの破片にして。そして……


『こちら中央管制室。目標宙域に時空震検知後、局地的ブラックホール発生を観測。

 破砕された小惑星が飲み込まれた模様。反応、ロスト。

  なお、その直後に監視衛星0136・0198が通信途絶。巻き込まれたものと思われます』


 中央司令室の3Dメインスクリーンには、砕かれた小惑星が発生した漆黒の空間に吸い込まれ

消えていく様が、大写しで投影されていた……

 


 監視衛星の幾つかがロスト!?


 「……大丈夫よね?……」


 【恐らくは。ただ、司令は兎も角。エル副司令やセレス隊長からは……】


 「(ガクガクブルブル)」


 モスの予想したように。

後日。彼女は上記の二名に、自室の3Dホログラフスクリーン越しに

大目玉を食らったそうである……

 尚、余談であるが。

その時、彼女の周りではマダガスカル島で保護されたエピオルニスの雛達が

元気に走り回っていたそうである……

 


 -新たな登場人物-


 エリザベート   有機アンドロイド百二十人衆の一人、参謀型。

         普段はリースルと名乗っている。

         容姿はプラチナブロンドの長髪に、蒼氷アイスブルー色の瞳をした

         白い肌の長身(百七十五前後)痩躯の女性。外見年齢は十八歳ほど。

          数字に強く、計算が得意な事からシルバーンでは

         中央管制室長を務めている。


          後に、久遠学校で算術の教鞭を取っていた事から

         珠算の方(しゅさんのかた)と、巷では呼ばれるようになった。



 ギーゼラ     有機アンドロイド百二十人衆の一人、技能型。

         容姿はブルネットの髪をショートにし、シャギーを入れた髪型。

         瞳の色は翠。

         小麦色の肌の大柄な女性。外見年齢は二十歳ほど。

          シルバーンの技術・開発担当。その手の事に夢中になると

         周りの事が見えなくなるメカヲタク(笑)


          こちらも後に、久遠学校で技術・工作の授業の教鞭を取っていた事から

         匠の方(たくみのかた)と、巷では呼ばれるようになった。



 モス       試作動物型バイオロイド。

         外見は完全にサラブレッド大のケナガマンモス。

         要塞要員のストレス軽減を図る意味で、この姿で作られた。

         任務上、有機アンドロイド並の知性を有しており、機器の操作も

         長い鼻を使って器用に行う。

          後に人間体のボディも作られ、そちらは本領奥向き支配上臈

          「万里小路」として、久遠家奥方が格式が必要な場合の訪問時

         御供として随行するようになる。

         


 -兵器について-


 ドリル式スターブレイカー反応弾・重力場弾道弾

共に「ギャラクシー・オブ・プラネット」では値段の違いこそあれ

課金アイテムだった。その為、シルバーンでの単独製造は不可能。

因みに、残弾数は


 ドリル式スターブレイカー反応弾 四十五発


 重力場弾道弾            三十発


となっている。



 以上です。


 大牙の大きさは、本編に登場しているロボ・ブランカくらいの大きさです。



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