表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/42

閑話・オスマントルコの欧州遠征 1

本作はYVH様からいただいたものになります。

     -インド洋、アラビア半島沖・海底-


   -ホースヘッド級 工作・戦闘型重巡洋艦「ブルトン」-


           -同艦・艦橋-


 side:マハル


 「監視部隊より報告。アドリアノーブルに集結していた

  オスマントルコ軍が進軍を開始したとの事です」


 漸く動いたか……


 「進軍方向は?」


 「掴んでいた情報通りです。真っ直ぐに欧州を目指しています」


 此処までは計画通りか……次は……


 「欧州方面に進出している、我が方の工作部隊は上手く遣っているか?」


 「はい。順調に侵攻ルート上の民衆のみを避難させています。

  物資・財貨は、そのまま村や街に残しています」


 「よし。現地部隊には、そのまま進める様に指示。

  オスマントルコ軍が国境を出て欧州に入る直前で

  順次、サファヴィー朝イラン・ポーランド=リトアニア

  クリミア=ハン国・ムガール帝国・ロシアに工作を開始」


 「了解しました。現地潜伏の部隊に通達します」


  これで欧州・中近東は、暫く他所に目が行かなくなるな。

 精々、我々の用意した舞台で踊り狂って貰おうか……

 特に欧州とロシア。後々の為に、此処で勢力を削り取る!



             -神聖ローマ帝国-


 side:ある諸侯


 東の異教徒共が再び動いた……近隣の領主達にも報せ

ウィーンにも急使を出したが、我らでは何処まで持ち堪えられるか……


 「お館様!斥候より急報です!!

  異教徒共の侵攻ルートになると思われる地域から

  民衆達が消えておるとの事です!詳細は不明!」


 なんじゃと……?


 「真か!?」


 俄かには信じられぬ……

が、しかし……家臣が嘘を報告しているとも思えぬが……


 「第一報故、真偽の程は分かりかねますが

  斥候が立ち寄った村には人っ子一人、居なかったとの事」


 うーむ……如何いう事じゃ?

儂は退避命令など出しておらんし……

これでは追加の兵が集められんではないか……これは困った……



            -ポーランド=リトアニア-


                 -宮廷-


 side:ある廷臣


 「これは面白い事になって来たぞ……クックク……」


 先程から陛下の御機嫌がよい。

彼の異教徒の軍が再び神聖ローマ帝国に侵攻を開始したとの報に接し

急遽、会議が開かれたが。陛下は、ずっと笑みを浮かべていらっしゃる。


 「西の諸国は先般、クオーンとかいう者の討伐に大軍を派遣しておる故

  異教徒迎撃の兵力が不足するであろうな……

  ハプスブルクの者達は、如何にするのかのう……ふふふ

  放置しても面白いが、それだと彼の地が失陥し

  異教徒共の力が強まってしまう……実に困った事だ……

  諸臣よ、我が国は如何に動くべきと思う?

  忌憚のない意見を述べよ」


 我らと西方の国々とは、仲が好いとは決して言えぬが同じ主を奉じる者。

傍観は出来まいな……



 side:ポーランド=リトアニア君主


 ククククク……好い、実に好いぞ!

過日の戦いで我らに敗れたツァーリを僭称せしモスクワ大公めは

今度は東に出ていこうとして、彼の山々(ウラル山脈)を越えた地で

新たなタタールと激突し泥沼状態。

 西の国々も教皇の要請で無謀な遠征を計画・実行した挙句、異教徒共の再侵攻を招くか。

我が国にも来た遠征参加の打診。

新たなタタールに備えるという口実で断って正解だったわ……

この我が国にとっての好機。存分に活用させて貰おうぞ!




            -進軍中のオスマントルコ帝国軍-



 side:ある将軍


 集結地を発って、どのくらい経ったやら……

大軍ゆえ、進軍速度は遅いが。着実に欧州に近づきつつある。

クーオンの商人達のお陰で、火器を除く武器・食料補給の懸念をせずに済むのは

実に有難い限りじゃて。

 昨夜の食事も戦陣とは思えぬ程の物じゃったな……

旨味を十分に吸い込んだピラウ(ピラフ)・肉のスープ。

それにナッツの入ったバクラヴァ(パイ菓子)・冷えたアメユ(飴湯)……

特にアメユは驚きであったな。どうやったかは分からぬが、充分に冷えた飲み物……

惜しい……実に惜しい。彼の者らが、我らと同じ教えの元に居れば

どれ程、帝国に貢献してくれたか分からんな……

 ん? 後方が騒がしいが……?


 「帝都より急報!!

  サファヴィー朝イランの軍が国境を越えて、聖地に向けて侵攻!!

  現地部隊と交戦中!! 欧州遠征軍は直ちに帰還して

  聖地二か所を守備せよ。との伝令!!!」


 なん……じゃと……?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] こちらではかなり大っぴらに久遠家が動いてるようだ。 それにしても財貨や物資を置いたまま住民を避難させるって領主でもそうそう強制にしろ命令にしろ出来ないことだけどよほど信頼があるのかさて、そし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ