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閑話・千話突破、4巻発売記念

本作はYVHさんより寄贈されたものです。

- オスマントルコ帝国・帝都イスタンブール -





 -トプカプ宮殿内、某所-





 side:ある高官





「誠か?」





「は。例の船の商人たちからの情報です。


 あの者らは異教徒ではありますが、西の異教徒と違って信用が置けます。


 まず、間違いではないかと」





 フム。確かに、あの者らは西の異教徒どもと違って信用できる。


地中海では随分と世話にもなっておるし。さて、どうしたものか……?





「……西の地に間諜を放て。彼の者らが言うように連中が大挙して


 欧州を開けたのなら好機。スルタンにも奏上して、神の土地を増やす準備を致す」





「心得ました。神は偉大なり」





こうして放たれたオスマントルコの間諜たちが、宮廷の人間の言う


「例の商人達」の協力で得て情報を持ち帰った後


帝国は史実には存在しなかった、欧州遠征軍を編成し始めるのであった。





   -IF物語・オスマントルコ帝国、欧州侵攻-



  -トプカプ宮殿内・大会議の間-




 side:ある高官


 過日、欧州に派遣された間諜たちが帰還した。

その報告によると、西の異教徒たちの港から大型の船が多数、消えていると言う。

合わせて、多数の兵士が乗船し、大量の武器・食料・各物資が

積み込まれていたとの情報も報告された。

異教徒たちの使徒(ヴァチカンからの聖職者)も乗船していたいう。


 「皆に問う。

  彼の東の異教徒・クーオンの者たちの情報が間違いないと確認された。

  私は、この機に欧州に再び攻め入って、神の土地を増やそうと思うが如何に?」


パシャ殿が会議参加者に問うておる。


 「我に異存はない。

  西の異教徒どもに、神の偉大さを再び教育してやろうではないか」


 「然り」


 「我も、諸将の御意見に賛同致す」


 将軍達も賛成したとなると、出兵は確定だな。


 「高官殿の御意見は如何に?」


 おお、我にも振られたか……


 「勿論、一同の御意見に賛同致す。今の我が帝国は強大じゃ。

  それに、クーオンの商人達も協力は惜しまんとの事じゃ。

  火器類は用意出来んそうじゃが、その他の武具

  食料・物資は任せてくれと言われた。無論、甘味もの……」


 皆に我の意見を言うた後

目の前に置かれた硝子壺に入った美しい飴玉を口に含む。うむ、美味い!

さすがは、クーオン製の飴玉。何時もの如く好い味じゃ。


 「では決定じゃな!スルタンに奏上致す。神は偉大なりっ!!」


 『神は偉大なりっ!!』


会議を主催していたパシャの宣言に皆が唱和し、久遠家討伐に向かった

神聖同盟軍の留守を狙った、オスマントルコの欧州遠征が決定された。



  -インド洋海底-


 -ホースヘッド級、工作・戦闘型重巡洋艦ブルトン-


 side:マハル


 「報告。イスタンブールに物資を搬入した偽装船団が帰還。

  アラビア半島沖合でシールドを展開し、潜航準備中のとの事

  当艦への収容要請あり」


 「要請を許可する。上部ハッチの解放を」


 「了解。上部ハッチを開放します」


 ふむ。乗員たちも潜航生活に慣れてきた様ね……

宇宙空間と違って、海底は閉塞感が有るからね。

 この時代はスエズ運河が無いから

シナイ半島上空を飛行しなければならないけど、夜間に光学迷彩を展開して

飛行すれば現地人の目に付かないし、時間短縮にもなるから結果オーライよね。


 「艦長。シルバーンのヒルデ留守司令より通信」


オペレーターの声で正面のスクリーンに目を向けると

ヒルデ留守司令が映っていた。


 『マハル艦長、作戦は順調かしら?』


 「はい。所定の計画に従い

  艦の食料・刀剣・弓矢製造プラントをフル稼働させて必要量を製造し

  オスマントルコに卸しています。納期は時代相応に調整していますが」


 『順調な様ね。そのまま計画を続行で』


 「了解しました。しかし、宜しいのですか?

  あまりオスマントルコに肩入れして、彼の帝国が

  強大化するのは好ましくないと思うのですが」


 『その辺りは大丈夫よ。隣のサファヴィー朝イランを嗾けるし

  黒海北岸のクリミア=ハン国とポーランド=リトアニアにも工作して

  オスマントルコの力を削ぐから。

  それに、オスマントルコの侵攻の情報を欧州にもリークするから』


 「それはそれは……オスマントルコと欧州は、ご愁傷様ですね……」


 『外に目が向かない程度に調整が必要だからね。

  並行してロシアがウラル山脈を越えない様にしないと。

  こちらの開発に悪影響になるからね』


 「了解しました。船団を収容したら

  月面・プトレマイオスクレーター基地のワープゲート経由で

  木星圏に一時帰還いたします。補給物資のほう、お願いします」


 『了解したわ。それじゃあ』


ふう……


 「艦長。偽装船団全船、収容完了しました」


それじゃあ、帰還しますか。


 「進路を南氷洋にとれ!

  同海域から離水・上昇し、大気圏外に出る。

  その後、光学迷彩を展開しつつ。プトレマイオス基地に向かう!

  基地司令のメアリー提督に帰還を伝達すると共に、ゲートの使用を申請!」



 その後。「ブルトン」は南氷洋海域に向かい、同海域から大気圏外に離脱。

月面・プトレマイオスクレーター基地のワープゲート経由でシルバーンに帰還した。




 【備考】


ホースヘッド級シリーズ


G・O・Pで登場していた巡洋艦シリーズ。

快速型の「サラブレッド型」、重装甲・重武装型の「ブルトン型」が存在する。

作中の「ブルトン」は武装を減らし、各種製造プラントを組み込んだ改良型。



月面・プトレマイオスクレーター基地


シルバーンが木星圏に移動したのに伴って建設された基地。

クレーター地下に建設されており、大規模なワープゲートが設置されている。



マハル艦長


シルバーン宇宙艦隊所属の艦長。

司令長官であるアン・ボニー(有機アンドロイド)の直属で

特殊任務に従事しているバイオロイド。両性具有。



アン・ボニー


有機アンドロイドで容姿は長身・プラチナブロンドで

顔に傷のあるワイルドな風貌。肌の色はジュリア同様、褐色。

一人称は「オレ」。海賊服を着用している。シルバーン宇宙艦隊司令長官。

地上では、単に「お方様」。水軍衆からは「姐様」と呼ばれている。



メアリー


有機アンドロイドで容姿は中背・ハニーブロンドのショートカットで

左目に髑髏のアイパッチを着けている。肌の色は欧州系の白。

一人称は「私」。シルバーンの標準軍服を着ている。

月面・プトレマイオスクレーター基地司令官。

地上では風貌から「お頭の方」と呼ばれている。



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― 新着の感想 ―
[一言]  てぃしぃ様  月面基地はIF物と割り切りました。 性質上、本編に出る事は無いでしょうから。   Halon様  >アンとメアリー……もしかして、女海賊「アン・ボニー」と「メアリー・…
[一言] お頭の方は草生える
[一言] アンとメアリー……もしかして、女海賊「アン・ボニー」と「メアリー・リード」がモデルでしょうか? 今は月面基地にいるだけでも、この調子だと後々地球の海で大暴れしそうな予感。
2021/05/15 04:00 退会済み
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