#8 2限目は美術!
紫苑、ゆかり、崇史の3人は担当の先生がくるまでに美術室に到着した。
このクラスの本日の2限目の授業は美術。
担当はヴィンセント・ミッドフォード先生。
「遅くなってしまって申し訳ありません。受け持ちのクラスでバタついていましたので、号令お願いします!」
彼は急いできたと言っていたが、息が上がっている様子は全くない。
「起立、礼、お願いします!」
「「お願いします!」」
「お願いします。いつも出席を取っていますが、佐藤先生から4名の転校生がいると聞いたので、手を上げていただくと助かります」
「「はーい」」
「「分かりました!」」
「では、大野 ゆかりさん」
「はい!」
ヴィンセントは名前を呼び、1人ずつ返事をしている。
「夏川 紫苑さん」
「はい!」
「みんな、いますね。では、今度は転校生ですね。ウィルくん」
「は、はい」
彼は転校生の出席を取るため、名前を読み上げる。
ウィルは緊張のあまりに、声が上擦り、手をあとから上げた。
「君がウィルくんですね。エリアスくん」
「はい」
「フィオナさん」
「はい」
「最後に、ラファさん」
「はい!」
ウィルのあとの3人も元気に手を上げ、返事をする。
「全員いますね。では、今日の授業は前回に引き続き、レタリングです。4人ははじめてかな?」
「やったことがないです」
「私もです」
「僕も」
「俺も」
「ならば、今から教えますので、前の方の席にどうぞ」
彼らはヴィンセントに言われ、一番前の方の席に着いた。
「こちらがレタリングの本です。実際にパラパラと見てください」
ウィル(ザーク)達は彼から受け取ったその本をパラパラと見ていく。
「いろいろな字体がありますね」
「コレを今、みなさんが書いているんですか?」
「そうですよ。コレが書けるとポスターとかに載せたりすることができるので、便利ですよ」
「私も書けるようになりたいです!」
「僕も!」
「では、基礎から学んでいきましょう」
「「はい!」」
ヴィンセントは彼らにゼロからレタリングの説明をしていく。
4人は「む、難しい……」と言いながら、ペンを動かし、なんとか簡単なものを完成させた。
「先生、書き終わりました……」
「結構神経を使いますね……」
「なんか視界が白と黒しかないです……」
「それを黙々と仕上げるゆかりさん達が凄いです……」
エリアス達4人は書き終わり、顔を上げると、そのように感想を述べた。
「あははは……彼女らも最初の方はみなさんと同じことを言っていましたが、今では「もう授業が終わりなの?」と言ってますのでね。慣れだと思いますよ?」
「ヴィンセント先生、できました!」
その時、友梨奈がヴィンセントに近づいてきた。
「木野さん、お疲れ様でした。ウィルくん達に見せてあげてください」
「ちょっと下手で恥ずかしいですが……」
彼女が彼らに見せたのは明朝体で『読書週間』と書かれたもの。
フィオナ達は「凄い!」「上手いですね」と友梨奈の作品を見て褒めている。
「下手じゃないですよ。もう少し塗りムラがなかったらよい仕上がりになるでしょう」
「本当ですか? ありがとうございます!」
「みなさん、そろそろ授業が終わりますので、片づけに入ってくださいね」
「「はい!」」
全員が片づけが終わったタイミングでチャイムが鳴り、何事もなく授業が終わったのであった。
2016/12/31 本投稿