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#5 保健室にて

 保健室には白衣に身をまとった銀髪隻眼の男性がパソコンで保健だよりを書きながら、廊下の騒がしさに驚いている。


「おや……?(廊下がやけに騒がしい……)」


 彼は椅子から立ち上がり、その扉を開くと、そこには患者はもちろん、たくさんの生徒達がその生徒を運んでいた。


「ち、ちょっと! これは一体全体どういうことでしょうか!?」

「患者のクラスメイトである夏川さんをみんなでここまで運んできました!」


 栗原くんがこう言うと、その男性は「……そうでしたか……」と呆れた表情をしながら返事をする。

 彼は早急に紫苑をお姫様だっこをし、ベッドに横にする。

 生徒達はその男性のしなやかな動きを食い入るように見ていた。


「やっぱり、イケメンだ……」

「格好いいです……」

「でしょう? いいでしょう! 彼こそが我が校のイケメン養護教諭、ジャスパー先生!」


 ゆかり達が興奮しながら話している。

 その時、「あの……」とジャスパーと呼ばれた男性に声をかけられ、彼女は動揺しながら「はい?」と答えた。


「こちらの女子生徒は夏川 紫苑さんでよろしいでしょうか?」

「ええ、そうですが」


 彼とゆかりの話は少しの間続く――。


「承知いたしました。みなさんは授業に戻ってください。よろしいですね?」

「「はい」」

「「分かりました」」


 生徒達は教室に戻っていった。

 先ほどまで騒がしかった保健室はジャスパーと紫苑の2人だけとなっている。


「少し、シビアになってしまいましたね……さて、僕は保健だよりの作成に戻らなければ……」


 彼はデスクに向かい、その作成の続きに取りかかった。



 ◇◆◇



 一方の紫苑はパソコンのキーボードを叩いている音を耳にしながら、意識を取り戻している。


「(ん……パソコンのキーボードの音がする……)」


 どこだろうと周囲を見回すが、彼女はベッドの上におり、淡い桃色のカーテンで周りを囲っている。

 その時、紫苑は自分がいる場所を把握した。


「今、私は保健室にいるんだ……」

「紫苑さん、お気づきですか?」


 彼女がこう呟くと、ジャスパーがカーテンを少し開け、声をかける。

 紫苑は「う、うわぁ!?」とベッドから飛び起きてしまった。


「そんなに驚かないでください……」

「う、噂のジャスパー先生ではありませんか!?」

「「噂の」は大袈裟ですよ。この学校の養護教諭は僕しかいませんので」


 彼はベッドに腰かけ、彼女に微笑みかける。


 紫苑はもう大丈夫だから、教室に戻りたいと言ったが、もう少し休んでいけと言われたので、1限目が終わるまでゆっくり身体を休め、教室に戻ることにした。

2016/12/31 本投稿

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