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#4 1限目で悲劇は起きた?

 この日の授業は国語から。

 担当は如月(きさらぎ) (れん)先生。


「授業を始めるよ! って、人数が増えてるけど、どうしたの!?」

「如月先生、今日増えたんですよー」


 如月が突然増えた生徒の人数に驚いていると、ゆかりが反応した。

 彼が「また増えたらどうしようもないけどね……」と話しながら、教壇に立つ。


「な、夏川さん? おーい……起きてる?」

「最初の如月先生の登場に気絶したんじゃないですか? 先生は無駄にリアクションが大きいですから」


 如月が見たのは紫苑が椅子の背もたれに寄りかかり後ろの修の筆箱に頭が当たっていた。


「ちょっと、吉川くん。僕、そんなにリアクションが大きいかなぁ?」

「ええ。学生時代は演劇部とかでしたか?」

「うん、そうだったよ。まずは夏川さんだよ! 急いで保健室へ連れて行かなきゃ!」


 彼がそう言うと、崇史と栗原くんが自席から立ち上がる。


「よし!」

「みんなで保健室に行こう!」

「そうだね!」

「引きずらなくてすむからね!」


 彼らにつられて女子生徒たちも自席から立ち上がった。

 彼らはよいしょと言いながら、紫苑を落とさないよう、そっと持ち上げる。


「なんでみんなで行く必要があるの!?」


 如月がポカンとした表情をしながら突っ立っていた。


「保健室にはイケメンの先生がいらっしゃるらしいのです!」

「一目でも会いたいのです! イケメンの保健室の先生に!」

「噂ではですがね。むしろ、今日の朝、木野さんと僕はその先生に会ったよ?」

「そういえば、そうでしたね!」

「うわぁ、ズルい! 私も今日遅く家を出ればよかったー!」


 ゆかりと友梨奈が話していると、修も話に加わってきた。


「私達も保健室の場所が分からないので、一緒について行ってもいいですか?」

「もちろん!」

「みんなが驚くほどのイケメンだよ!」


 転校生の4人も保健室の場所を知りたいあまりに便乗して立ち上がっている。


「えっ、ちょっと……」


 如月がしゅんとしながら言うと、崇史が「先生、落ち着きましたら教室に戻ってきますので、待っていてください!」と言い残し、教室を出て行った。


「だからってみんなで行かなくていいじゃん……」


 彼はがらんとした教室の中で1人呆然と生徒達が戻ってくるのを待ち始めるのであった。

2016/12/31 本投稿

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