#3 異次元からの転校生
先ほどまで教室にいた佐藤が廊下に姿を現す。
転校生である4人は寒さのあまり……ではなく、緊張のあまりにロボットのように固まっていた。
彼女は「さっきも言ったけど、そんなに緊張しなくていいんだよ?」と彼らに油をさすように言う。
「そ、それは……」
「わ、分かっていますが……」
「私達は全く異なる時代の人間ですよ……?」
「私達のことを分かってくれるのか不安です。少しジェネレーションギャップがあるのです……」
彼らは油をさしてもらい、ようやく動けるようになったかのように佐藤に話し始めた。
「私もはじめて学級担任を受け持った時はみんなと同じように緊張したよ? ちなみに、このクラスは年齢も学年もバラバラだから最初は慣れないと思うけど、徐々にクラスに馴染んでいくと思うから安心してね」
「そうなんですか?」
「うん。そんなことを気にしていたら何も始まらないからね!」
「「はい!」」
彼女からの助言を受け、彼らは教室に入る決意を固めたのであった。
◇◆◇
「みんな、お待たせ! どうぞ、入って入って!」
佐藤に促され、転校生の4人は教室に入ってきた。
生徒達は彼らを見て、「おーっ」と言っている。
「今日の転校生は4人。みんなから見て左からフィオナさん、ラファさん、ウィルくん、エリアスくん。自己紹介をお願いします」
彼女は彼女らにこう言うと、佐藤の隣に立っているフィオナと呼ばれた女子生徒が口を開いた。
「み、みなさん、はじめまして。フィオナです」
「ラファです」
「ウィルです」
「エリアスです」
「「よろしくお願いします!」」
彼女らは簡単に自己紹介をする。
「彼女らは遠い未来の学校から転校してきたので、ジェネレーションギャップがあって不安があるみたいだから、いろいろと教えてあげてね」
佐藤がこう補足すると、「はい!」「分かりました!」と返事をした。
「あっ、こうしている間に授業が始まっちゃう! フィオナさんは吉川くんの前で、エリアスくんは大野さんの前、ラファさんは夏川さんの右隣、ウィルくんは彼女の左隣ね。分かりやすいように手を上げるなり、案内してあげてね!」
彼女は教室にかけられている壁時計を見て、慌ただしく教室から出て行った。
「あの、佐藤先生はいつもこんな感じなんですか?」
ラファは他の転校生を席に案内していた紫苑に問いかける。
彼女は「いや、今日はたまたまだったんじゃないのかな」と答えた。
これから始まる授業はどうなるのだろうか――?
2016/12/31 本投稿