#2 「しょーとほーむるーむ」って何?
修と友梨奈が教室に着いてから数秒後に校内にチャイムが響き渡った。
彼らのクラスの担任である佐藤は4名の生徒達と教室に向かっている。
生徒達は男女それぞれ2名ずつおり、少し緊張した面持ちで彼女と一緒に――。
「みんな、緊張しなくていいからね」
「「はい!」」
「少し待っていてね」
「「分かりました」」
佐藤は生徒達を少し待たせてもらい、教室に入っていった。
「みんなー、朝のショートホームルームを始めるよ!」
佐藤がこう言うと、友梨奈が「あの……「しょーとほーむるーむ」ってなんですか?」とポカンとした表情を浮かべながら周りに問いかける。
「あっ、木野さんはまだ中学生だから、少し難しかったかな?」
「木野さ……」
「「ショートホームルーム」は中学校で言われている「朝の学活」という意味だよ」
彼女の左隣に座っている崇史が友梨奈の方を向き、話しかけようとしたが、右隣に座っているゆかりが小声で答えた。
「大野先輩……ありがとうございます……」
「仕方ないよ。木野さんは中学生なんだから」
「……はい……あっ、桐山先輩、せっかく話しかけようとしてくれたのに、すみませんでした」
「うん、大丈夫だよ。今のところ、俺はダメージを受けてないからね」
「本当にすみません」
友梨奈はゆかりに礼言い、崇史には謝った。
彼女はこのクラスの中では1番若い15歳の女子中学生。
中学校によっては「朝の学活」と言われていることが多いと思われるが、高校に進学すると「ショートホームルーム」と言われるところが多いのだ。
「木野さんは解決したかな? じゃあ、改めて、ショートホームルームを始めます」
佐藤が彼女に問いかけると、返事が返ってくる。
彼女は紫苑に視線を合わせ、号令をかけた。
「起立、礼、おはようございます!」
「「おはようございます!」」
「着席!」
「みんな、おはようございます! 今日の重要な連絡は特にありませんが、転校生が4人きています」
佐藤が転入生がきていると、彼女らに告げる。
「先生、なんか朝から机と椅子が4つずつあって違和感があったんですが、転校生がくるんですね!」
「凄い! 4人もですか?」
「男の子ですか?」
「女の子ですか?」
「4人だったら、男子も女子もどっちもいるんじゃないの?」
「それはありえるな」
生徒達のざわめきが教室中に湧き上がり、彼女は「みんなが気になっているから、入ってきてもらおうかな」と言いながら、一旦教室を出た。
2016/12/31 本投稿