#13 この子はどこからきたの?
午後のはじめの授業が終わり、彼らはほっとしている。
イルザの隙がない授業にはかなり神経を使った男子生徒であった。
「やっと、イルザ先生の授業が終わったな……」
「最後は佐藤先生の英語だけですね」
「そういえば、英語って夏川さんが得意そう」
栗原くんがこう言うと、他のクラスメイトと話していた紫苑が「栗原くん、呼んだ?」と訊いてきた。
彼は「呼んでないよー」と答えると、彼女は「そっか」と言い会話に戻る。
◇◆◇
「みんな、今日は最後の授業だからねー」
佐藤が教室に入ってきた途端、謎の少女が一緒に入ってきた。
「先生、また転校生ですか?」
友梨奈が彼女に問いかける。
「いや、このクラスはフィオナさん達の4人だけだけど……」
佐藤はまだ状況が分からない生徒達に言った。
「あの、君はどこからきたのですか?」
「私はミルクです! 異世界にあるベルディ国立勇者学校高等部から転校してきました!」
「他のクラスの人は教室に戻ってくれませんか?」
エリアスとウィルがミルクと呼ばれた女子生徒に教室に戻るよう促す。
次の瞬間、「ミルクさんったら……」と聞き覚えのある声が彼女らの耳に入ってきた。
「佐藤先生とみなさん、大変ご迷惑をおかけしました」
「ミルクさんはヴィンセント先生のクラスの生徒なんですね」
「えぇ。転校してきていろいろと問題を起こしていますので……」
「先生、まだ問題を起こしてないですよ?」
「あちこちのクラスに顔を出しているところが問題なんです!」
「はーい、教室に戻りまーす」
「分かればいいのです」
ヴィンセントはミルクを連れて教室に戻っていく。
その時、紫苑達はなぜ彼が授業が遅れたのかを知ることができ、納得したのであった。
2016/12/31 本投稿




