レッド 俺らのヒーロー生活マジ危険信号(レッド) ⑤
「……どういうことだよ」
服部の言葉に多田は顔を引きつらせたままでいる。
「そのままだよ。僕は……歳を取ったって事」
服部は自嘲気味に言う。
「ッ全ッ然、意味わかんえぇよ!!」
その顔が気に食わなくて多田は大声を上げ立ち上がった。まるで自分を馬鹿にしているようで腹が立ったのだ。
「多田さん。よせ」
今にも掴みかかろうとする多田を止めたのは小山野だった。
「ブルー……」
小山野の冷めた表情に多田は冷静さを取り戻す。
「そうだ、お前からもいってやれよ。辞める理由なんてどこにもないって!」
多田はそう言って小山野の肩を叩く。
「俺は……」
小山野が口を開くのを見て安心感を覚えた多田は腕を組み座りなおす。
「服部の言いたいことは分かる」
「はあぁぁぁぁぁ!?」
多田はまた立ち上がる。
「なに言ってんだよブルー!?お前までどうしたんだよ」
多田はまた荒ぶる。しかし服部に対しての怒気巻いたものとは違い、哀れみに近い表情だ。
「あんたはどうなのか俺にはわからない、ただ服部はきっと……」
多田を軽く無視するように小山野は服部に向いた。
「『謝罪フォン』、見せてみろ」
その言葉に服部は、驚きの表情をする。しかしすぐに頷くと、ポケットに手を突っ込み、スマートフォンのようなものを取りだした。
謝罪フォン
謝罪フォンとは彼ら五人が持つ、変身キットである。異星人と戦うときはこれを構え、「マジすんません!」と唱えることで、普通の人間から謝罪戦隊 マジゴメンダワーへと変身するのだ。ちなみに通常のスマアートフォンのような使い方は一切出来ない。
「……やっぱりそうか」
小山野は服部の謝罪フォンを見て納得して溜息をついた。
「多田さん、これを見てみろ」
そういって服部の謝罪フォンを多田に渡す。多田は渡された謝罪フォンの画面を見た。
「……何だこれ。バッテリーが、全然溜まってねぇじゃねぇか!」
多田はその場にいる全員に服部の謝罪フォンを見せる。
服部の謝罪フォンの画面。その右上には電池のようなマークがある。そのマークが、赤色で一メモリしか点いていない。
「多田さん、これが全ての理由だよ。服部の謝罪フォンはバッテリー切れ寸前だ。これじゃあいつ変身できなくなるかわからない」
小山野は多田の持つ服部の謝罪フォンを取り、服部に渡す。
「……なんで、そんなことに」
戸惑う多田に小山野ははっきりと伝えた。
「服部は、いいやつになっちまってるってことだろ」
服部は謝罪フォンを両手で持ち、俯いた。