次の国は?
私達、ドロテア一行は《淡雪の国》イエロドックの四天王の1人、酒蔵のウィンキーとか言う大男を倒した後、次の国、《結晶の国》グリオキャットへと向かっていた。
大男を倒したら、まるで魔法が解けたかのようにイエロドックの人達は私達に喜びの声をかけてきました。
どうやらイエロドックの人達は、無意識的にあの大男達のために酒を造らされていたみたい。
まぁ、いくらなんでも飲み水まで酒と言うのは可笑しいと思っていたから、これはそう言う国だったと言う事じゃなくて、あの大男によって異常なまでに酒を造る、そう言う国にさせられていたみたい。
今ではごくごく普通の、酒が名産品と言うくらいのただの国へと戻りました。
それで大男から元の国へと戻してくれた私達に、お祝いの席を設けてくれたのは良かったんですけれども……
(そのお祝いの席で、酒を出すかな、普通!?)
いや、感謝の気持ちを伝えて喜んでくれていると言う事は伝わるんだけど、だからと言って異常と呼べるくらい酒ばっかりの国で、もう酒を見たくない(スケアクロウさんは別として)ような状態で、酒を出さないで欲しいんですけれども。
一晩酒と共にあった、ちょっとうんざりするような宴会を終えて、私達は次の国へと向かったのでした。
「……と言うか、あの酒だらけの席はなんですか」
「ちょーっと多すぎよねぇ。途中から『在庫整理』とか、『やっぱり多いねぇ』とかの言葉が聞こえて来たわよ」
「……は、吐きそう」
一応、水割りとかお湯割りとか、もっと言っちゃえばほぼ水とかあったけど、ほとんど昨日の宴会で酒を、それも無駄に絡んでくる大人の人達に注ぎまくられた思い出しかありません。
ちゃんとそれぞれの飲み物は美味しかったですけれども、あんなに酒、シャンパン、焼酎などと飲まされまくったから、別に酒とか好きではない私達にとっては、ただただ疲れるだけでした。
……こんなに飲まされてしまうと、ライオネルさんじゃなくても吐きそうになってきます。
「……あぁ、久しぶりに酒で酔うと言う感覚を味わえた。良かったと言うべきなのだろうかな」
この4人の中で1人だけ、あの宴会に好意的な感触を覚えているのはスケアクロウさんだけでしょうね。
スケアクロウさんは、お酒に強い、お酒が大好きな方なんで。
「……すごいなぁ」
「ライオネルちゃんはそれよりも、通常時でも吐かないようにしましょうねぇー!」
「……うぐぅ」
と、ライオネルさんはティンロガーさんに背中を擦られるようにして、慰められていました。
うん、いつも通りですね。
(……そう言えば、あの海賊はどこに行ったんでしょうか?)
大男の居るリキュールグレイノリーの侵入に役立った、あのボッチの海賊、ジャック・オータンさん。
結局、彼がどうして私達の侵入に手を貸してくれたのかも分かってないし、あの後どうしたのかも分かってないけれども、今度会ったらお礼くらいは言わないといけないと思っている。
ジャックさんにはそれだけお世話になったんだから。
「それで次は……確かグリオキャットって言う所でしたっけ? そこはどう言う感じなんですか?」
私がそう聞くと、ティンロガーさんが「そうねー」と言っていた。
「《淡雪の国》イエロドックがお酒の国だとしたら、グリオキャットはさしずめ宝石の国かしらね? 他の国も元々の名産品を、異常なまでに傾倒した感じかしら?」
……あんな酒だらけの国みたいなのが他にもあるのかと思うと、なんか嫌な気分がして来るのは私だけでしょうか?




