「ち、痴女めぇ~!」
私がビキニ姿になるのには理由があると、スケアクロウさんはそう説明してくれた。
酒蔵のウィンキーは身体がぶ厚い氷で出来た魔女の手下であり、そんな氷の彼の身体に効果的な攻撃を与えるとするならば燃やすのが一番と言う事らしくて、私が女神さまから貰った炎の魔法を使えば倒すのが良いみたいです。
「でもだからと言って……こ、ここで脱がないといけないんでしょうか?」
私がそう聞くと、3人はコクリと小さく頷く。
うん、分かってはいたんですよ。
この中で一番強いのはライオネルさんだけど、ライオネルさんはグロッキーになって倒れられていますし、スケアクロウさんはそのライオネルさんの介抱で忙しくてなおかつ酒蔵のウィンキーの身体を倒せるほどの力はないみたい。
「ごめんなさいねぇ、私、回復が得意なだけで、戦闘はダメなのよぉ」
「は、はぁ……」
と、私はすっごく筋肉の付いた身体を見せつけているティンロガーさんの上半身の、たくましい筋肉を見ながら、なんとか納得しました。
いや、普通にティンロガーさんが殴る方が絶対に強いと思うのは私だけなんでしょうか?
(で、でもやらないといけないんですよね……)
私はそう思いながら、なんとか自分の中で納得させながらコートを脱ぎ始めた。
するするとコートを脱ぎ始める私。
コートのボタンを外すと、1個1個外すごとに私の、脂肪が付いて居ない、モデル体型の肌が露出する。
その後コートを少しだけ上にあげ、その後肩にかかるコートからスルッと、まるで白魚のような綺麗な腕が現れる。
「……やっぱり寒そうですね。もっと温かくなるように考えないといけませんね」
「そうねぇ、私としては、もうちょっと筋肉を付けた方が良いと思うわぁ」
ちょ、ちょっとお二人さん!? 大の男2人が魅惑的な女性のボディラインが引き立つビキニ姿を見て、そんな淡白な感想はどうかと思いますけれども!?
(も、もうちょっと、反応しても……い、いやそんな事を考えちゃダメよ! 私!)
私はそう言いながら、脱いだコートから手を放してそのまま床へとストンと落とす。
すると、ちょっとビキニの上の部分、所謂トップスの紐が緩んでいたのかほんの少し、出てしまっていた(何とは言わないけど)。
あ、危ない。すぐに気付いたから良かった物の、このまま脱いでいたら男性2人(1人はオカマだけど)に私の誰にも見せた事のない(見せる機会がなかったとも言える)私の神秘の部分を見せてしまう所だった。
(だ、大丈夫よね? 見てないよね?)
そう思いながら、2人には気付かれないようにキョロキョロと確認するように見渡すと、
「……//////」
(どうしてライオネルさんが照れてるの!?)
何故か同性のライオネルさんがこちらを見ながら、物凄い赤い顔で恥ずかしそうに照れていた。
チラチラとこちらを見る様子がとっても……可愛らしい!
可愛いけど、そんなに恥ずかしそうに見ているとこっちまで照れるんですけど!
「ちょ、ちょっと! ライオネルさんが照れたら私の方も照れ……」
『誰だ、そこに居るのは! 喰らえ、氷柱砲!』
と、私がちょっと大きな声を出すと、酒蔵のウィンキーさんがこっちに気付いたみたいで私達の方を見て、そのまま大きな氷柱を発射してきました。
大きな氷柱は私達の姿を隠していた壁を破壊し、そして
「……なっ!」
「えっ!?」
丁度、その時の私はライオネルさんがちょっと照れていたので慌てて直そうとして紐を結びなおそうとトップスを上げていた。
つまりはちょっとばかし、下乳が見えていると思っていたのでしょう。
ギョッとした目でこちらを見る酒蔵のウィンキー。
そしてトップスを直しているから下乳が出ていると思った私。
2人の視線が交差する時、
「――――――きゃああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
「な、なにぉう!?」
私は自分の胸が見られたと思い、痴漢にあったOL女性並みの悲鳴をあげながら、手を出してそのまま加減もせずに、大きな炎を放った!
「ぐ、ぐわぁ! 人の城で、そんな姿で誘惑するとは!
このち、痴女めぇ~!」
「い、いやああああああああああああああああああああああ! 見ないで! 見ないで! 見ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
その時の私の頭の中では、
自分の下乳の柔肌を見たこのおっさんを殺す事しか頭になかった!
そう、決して許してはいけない!
痴漢は撲滅! 消滅! 即刻排除!
……結局、酒蔵のウィンキーはそんな所を見ていないと、ライオネルさんに教えて貰えたのは、私が悲鳴をあげつづけて酒蔵のウィンキーが完全に死んだ3分後だった。
(魔女の部下、こんな感じに倒しちゃったけど……大丈夫? 殺人で訴えられない?)
日本人の私としたら、殺人で訴えられるかどうかが悩みの種だった。




