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極寒なのにビキニ一枚  作者: アッキ@瓶の蓋。


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14/21

乙女(男)からのアドバイス

皆様、あけましておめでとうございます。新年1発目です。

これからもどうかよろしくお願いします。

「待たせちゃったわね~、ドロテアちゃん♡」

「う、ううん。大丈夫……です」


 と、私、風野ドロテアがそう言うと、「あら~♡ そんなつれない反応はダ・メ・よ♪」と言うティンロガーさん。

 ……その頬の横で、チョンチョンと指を艶めかしく動かすのは止めて欲しいです。

 時々、女として見てもちょっとアリだと思ってしまう自分が居ますので。


(ダ、ダメだよ、私! 相手は筋肉マッチョで、なおかつ筋肉で破けた真っ赤なドレスを着た変態のオカマ野郎ですよ! あんなのに女を感じてしまうなんて……!)


 異世界に来て、ほんの少し頭が混乱しているのかも知れない。

 いつもだったら女としてではなく、ただただオカマとして見ているだけなのに……。


「あら~? そんな怖い顔してどうしたのかしら? ドロテアちゃん?」

「……っ!?」


 そんな事を考えていると、ティンロガーさんの顔が私の前に!

 ち、近っ!?


「(うわぁ、男の人なのに、シミ一つなくてこの肌、本当に綺麗ですね……って、違う! そうじゃないでしょ! 私!) え、えっと、そ、そうだ! 私、リキュールグレイノリーへ侵入するための方法が分かりました!」

「あら~。それは凄いわね~。2人にも伝え……」

「……? どうかしましたか?」


 何故か、ちょっと考え込むような感じを出すティンロガーさん。

 そう言えば、スケアクロウさんとライオネルさんの姿が無いような……。


「2人はどうされたんですか? スケアクロウさんが、ティンロガーさんとライオネルさんを呼んでくれたんですよね?」

「まぁ……簡単に言っちゃうと、スケアクロウちゃんはライオネルちゃんの今後のためにやっていると言う感じかしら?」

「今後のため……」

「まぁ、ライオネルちゃんが吐かなくなりにくくなるための訓練みたいな物よ。多分、吐くんだろうけど♡」


 ……結局、吐くに行きつくんですね。分かります。

 まぁ、ちょっとは吐くのが減ってくれれば私も良いなと思ってるし……。


「まぁ、良いですけれども……。後で伝えれば良いですし……」

「そう♡ 分かってくれてありがとうね、ドロテアちゃん!」


 そう言いながらガシッと、私の身体に抱きついて来るティンロガーさん。


(い、嫌ぁぁぁぁ! 抱きつかないでぇぇぇぇ!)


 (イケメンとかを覗く)男の人に抱きつかれると、大抵いやらしい感じがしてしまう。

 けれどもティンロガーさんの場合は全くそう言う感じがしなくて、どちらかと言うと同性の人が友情的な感じで抱きついているような感じなんですが……。

 それがどうも変な感じがして、本当に嫌なんですが……。


「良いのよ……私を本当のお母さん、それが嫌ならば第二のお母さんのように思ってくれたとしても、私は受け入れて見せるわぁ♡」

「(そんな受け入れとか要らないんですが……。要らないから、出来れば離れてください!) だ、大丈夫です! 私、そんなに気にしてませんから! それに使命を果たせば帰れるんですよね? そのために私はリキュールグレイノリーへ向かうんですよね?」

「そう……この国から出て、次の《結晶の国》グリオキャットに行くにはリキュールグレイノリーに行かないといけないのよ。この国を出るには、この国の軍に私達は絶対止められると思うから」


 魔女退治をすると言う崇高(?)な目的があるのに、止められるんですか……。


「それは……確か、この国が魔女の手下の配下にあるからなんですよね。……けれども街の人とか普通だったし、普通に突破できるんじゃないですか?」


 私達がリキュールグレイノリーに行くのは、そこにこの国のトップが居て、なおかつそのトップが魔女の手下だから。

 いくらこの国のトップが魔女の手下の者とは聞いても、街の人のようすとかは至ってどこにでも居るような普通の人に見えました。

 だから普通に頼んだら、通してくれそうに思うんですが……。


「それじゃあダメなのよ、ドロテアちゃん」


 と、私の考えが甘すぎると指摘するティンロガーさん。


「良い? この国は確かにお酒の名産地ではあるけれども、敵が支配している占領国でもあるのよ♪

 入る分には大丈夫なんだけれども、ここから次の街に行くのは許してくれないと思うわ。だって私達が相手しているのは魔女なんだから」

「魔女……」

「私達が倒しに行こうとしている魔女ウエストは、狡猾にしてずる賢い、それこそ狐のような女よ。そしてかの魔女は人の心を操る事が出来るの」


 人の心を操る事が出来る魔女ウエスト。

 この国は、実はその魔女ウエストの洗脳魔法がかかっていると、いつもとは違って真剣そうな顔で言うティンロガーさん。


「心を操る魔法を使うとは言っても、それ自体は大した魔法じゃないらしいのよね。噂では。

 この国だって魔女の侵攻を受けたけれども、何十時間もかけて街の人達に一つの命令をかけるくらいが精一杯らしいの。その命令ってのが……魔女を倒そうとする者を捕まえろと言う物なのらしいの。

 考えてみて。街を出て魔女を倒しに向かいに行った瞬間、街中の人が襲い掛かってくる、その恐怖を」

「…………」


 た、確かに怖い。それは尋常じゃないくらい、怖い光景だと思う。

 今まで普通に話していた人や仲良く会話していた人達、それから遊んでいた子供達……そう言う人達が全員襲い掛かってくるなんて、考えてみてもホラーでしかない。

 それをなんとかするためにも、リキュールグレイノリーに居る魔女の手下を倒さないといけないんですね。


「そのリキュールグレイノリーに居る魔女の手下を倒せば、恐らく魔女の洗脳は解けるわ♪

 でも正面からは相手も警戒してしまうと思うから、出来れば気付かれないように潜入したいのよ。それでドロテアさんが見つけたのはどう言った方法なのかしら?」

「え、えっと……」


 あ、あれ? そう言えば、私が見つけたのって……自称海賊と言い張るボッチのジャック・オータンと言う人に、リキュールグレイノリーの建物の裏で待っておけって言われていただけだった!?

 ど、どうしよう! どんな方法なのか、聞いてない!


「え、えっと……実は……」

「ふふん、大丈夫よ。どんな方法だとしてもお姉さん、怒らないから一回言ってごらんなさい♡」


 そう言うティンロガーさんに私は事情を説明する。

 私が見つけたのはボッチの自称海賊であり、なおかつ待ち合わせ場所を聞かれただけで、本当はちゃんと潜入できるかどうかも怪しいと言う事を。


「……ふぅん。海賊、ジャック・オータンね」

「知ってますか? ティンロガーさん?」

「いえ、そのジャックって言う男の人には会った事はないわ。けれども、多分そのジャックって人はもしかしたら使えるかも知れないわよ?」

「えっ……?」


 そう言って笑い掛けるティンロガーさん。


「そのジャック、実はとんだ食わせ物かも知れないわ」

【これまでの話の流れ】

ビキニ1枚で魔法が使えるようになる美女、ドロテアは《マヨイビト》として魔女ウエストを倒す使命を帯びている。

《淡雪の国》イエロドックは魔女ウエストの部下の1人、酒蔵のウインキーが居り、彼を倒して洗脳を解かないと、先に進めない事が分かる。

そこで警備厳重なリキュールグレイノリーに潜入する術を探していると、海賊と名乗るジャック・オータンがその術を知っていると言っており――――。

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