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極寒なのにビキニ一枚  作者: アッキ@瓶の蓋。


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12/21

スケアクロウとライオネル(1)

今回はスケアクロウ視点でお送りします。

 スケアクロウはブルーチキン国王ノースの命によって、《マヨイビト》の風野ドロテアのパーティーメンバーの1人として旅をしていた。


 《マヨイビト》とはこの極寒に支配された世界ではない別の世界からやって来た者の事であり、神から頂いた特殊な力を持つ者である。

 《マヨイビト》にはそれぞれが神から与えられた使命があるのだが、風野ドロテアさんは火炎を操る魔法の力を神から頂き、魔女ウエストを倒す使命を帯びている。

 私とティンロガーさん、それにライオネルさんの3人で《マヨイビト》、風野ドロテアさんと旅をしている。


 今、私達が来ている国は《淡雪の国》イエロドック。

 酒造作りが盛んで酒が美味しい、酒のためにあるような国。

 酒を造るには糖分と呼ばれる物質、もしくは糖分と変わるデンプンと呼ばれる物質が多い食材が酒の材料へとなり得て、果実や穀物、根菜などがその代表的な食材である。


 酒を造る方法としてはいくつかある。

 原料をそのまま、もしくは原料を糖化させたものを発酵させた醸造酒(じょうぞうしゅ)の他にも穀物などデンプン質のものを原料とし、糖化の過程がある複発酵酒。

 醸造酒を蒸留してアルコール分を高めた蒸留酒、酒に他の原料の香り・味をつけて糖分や色素を加えて造った混成酒など様々ある。

 まぁ、私が一番好きなのは魔力を溶かして作り出すエーテル酒なのだが、その辺りはさておきだ。


 この国には風野ドロテアさんの狙いである魔女は居ないのですが、この国には魔女の4人の部下の1人、酒蔵のウインキーと言う男を倒すまで待っているのである。

 魔女を倒すためには魔女の居る国、《砕氷の国》ブラックシーフの城に4人の部下が持つ鍵をはめ込まないとならない。

 故に、風野ドロテアさんの使命達成には、酒蔵のウインキーを倒す事が必要なのである。


(……まぁ、風野ドロテアさんにはその辺りは話さなくて良いかと思ってますが)


 風野ドロテアさんは力こそ持っているけれども、その辺りの知能に関してはハッキリ言って上手いとは思えないし。

 とりあえず必要な情報を教えて行くと言う形さえ取っていれば大丈夫……でしょう。


 今、私はライオネルさんとティンロガーさんの所に向かっている。

 どうやらドロテアさんが酒蔵のウインキーの居る場所へと続く道を探し出した……と言うよりかは、そこに行くための手段を知る人物と接触出来たらしい。

 なので、そう言う事があったとの報告をするために2人を呼ぼうとしているのですが……


(正直、ライオネルさんには会いたくないんだが)


 ライオネル・リドング。

 私が苦手としている、うちのパーティーメンバーの1人である。


 槍を使うブルーチキン一の女騎士であり、あまりの強さ故に魔女ウエストに呪いをかけられた女騎士。

 今でも吐いたりと十分厄介なのだが、彼女はその前から厄介だった。

 早朝は大声で走り回り、模擬戦ではこちらが手を抜いてやろうとしても全速力で襲って来て、考えるよりもまず行動と言う、とんでもなく迷惑な厄介者だった。

 世に言う、体育会系と言う奴だ。

 とは言え、国一番の実力者でもあったから無下に出来ずに居たのだが、ライオネルさんは呪いにあってから変わった。


 ライオネルさんは昔は人一番元気で、あつあつで、何より『勇気』があった。

 どうやら魔女ウエストは、そんな彼女の『勇気』を取ってしまったらしい。

 以来、彼女は国一番の意気地なしになってしまった。


 実力こそある物の、臆病になってしまって半減、いやそれ以下の戦力になってしまった彼女を揶揄する意見は多かった。

 今まで彼女に誰も物申す事が出来なかったのは彼女の戦闘能力が高かったからなのだが、それが弱くなったのだ。


『ありが……とう……』


「あれ……?」


 確か、私、その時、何かしたような……。


 いや、気のせいだな。うん。


「おっ、ここだな」


 と、ライオネルさんの部屋へとようやくたどり着いた私。

 ここにライオネルさん、そしてライオネルさんを介抱したティンロガーさんの2人が居るはずだ。


 私はそう思い、ゆっくりと扉を開ける。

 ――――――この時の私は長年抱えていた強者への敗北感をドロテアさんに払拭して貰ったばかりであり、自分でも気づいて無かったがちょっと愉悦に浸っていたのかも知れない。

 いつもだったら、こう言う時は扉を叩いて相手の反応を待っているのに。


 私はこの時の選択を今でも後悔している。


 扉を開けたそこには


「「えっ……」」


 赤い髪と良く似合う乙女の胸を覆い隠す小さな赤いブラを付けたままのほとんど全裸に近いような格好をした、こちらに気付いて肌まで真っ赤にしているライオネルさん。

 そしてドレスの後ろのチャックがしまってなかったのか、こちらに見せるようにして見えているティンロガーさんの男らしいうなじ。


「「キャー! スケアクロウ(ちゃん)のエッチ――――――!」」


 2人にそう言われて、すぐさま私は掌底を食らい、意識を失っていく。


(いや、ライオネルさんは分かるが……)


 女の柔肌と同時に、男らしいマッチョなうなじを見せられたこっちの立場は?


 私はそんな事を想いながら、意識を手放した。

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