プロローグ
「ぐはっ!!!」
何億回と聞いたような声と共に1人の不良が吹っ飛ぶ。
「くそっ!!」
「こいつなんなんだよっ!」
何時の時代の不良だよ、と思うような髪型と服を着た不良達が声を荒らげる。
「そんな人を化け物みたいに言うなよ……傷つくじゃん」
そんな事を言いながら、ついさっき不良を吹き飛ばした1人の男が路地裏を歩く。
「なんであいつはあんなに喧嘩好きなんだか……」
この場に居ない親友のことを思い出してぼやく。すると、数人の不良……もう不良A.B.Cが仲良く木材やら鉄パイプやらを持ちこちらにかけてくる。
「お前らは学習能力が備わってねぇのか?」
「やっちまえ!相手は素手で1人だぞ!3人でかかればやれる!」
そんなこと負けフラグみたいなこと言いながらこちらに向かってくる不良ABC。
それを俺はヒョイヒョイと危なげなくかわす。不良共が一斉に殴りかかるタイミングを狙ってしゃがみ込んで足払いをかける。
しかし足払いだけでは意識を刈り取るには足りないので不良BとCにジャンプをして着地と同時にドスっ!!と踵落としを喰らわせる。
「ぐはっ!」
「ぐえ…..」
呆気なく不良B.Cは気絶する。
「さて、残りはお前だけなんだが……どうする?」
すると不良Aは驚いたような顔をしながら鉄パイプを振りかぶってきた。
まぁ、その程度の攻撃を喰らってるようじゃやってこれないぐらいの人生を歩んできた俺には単調過ぎて欠伸が出る。あ、マジで出た。
そんなことを考えなから軽く半身になりヒラリとかわし、不良Aの手首を掴み勢いを利用してヒョイっと投げる。
ダン!!!!と激しい音をたてて着地した不良Aは何をされたか分からずポカンとしていた。
まぁ、そんな隙を見逃すほど馬鹿ではないのでお決まりの踵落としで決めようか悩み、いつもと同じじゃつまらないという理由でエルボーをかます。
ドスッ!!!という音をたてて不良Aにクリーンヒット。
「ーーー!!!」
不良Aは声にならないうめき声を出して気絶。
「やっと終わった……向こうもそろそろ終わった頃だろ」
そう呟いていたら今自分がいる少し奥の曲がり角から1人の男がやって来た。
「おっ、そっちも終わったみたいだな♪」
「あぁ」
向こうから来た男、姫乃神戸が機嫌良さそうに言ってくる。
「なんでそんなに機嫌良いんだ?」
「おう!それがあの不良共、タバコ結構持っててな〜」
なるほど、だからそんなに機嫌が良いのか。
てっきりドSに目覚めてしまったのかと思った。
神戸は喧嘩すると結構エグい攻撃をしてくるからなぁ…。
「むっ、おい帝なんか変なこと考えてないか?」
……こいつはたまに心が読めんの?と思うほど勘が鋭い時がある。
と黎姫帝は親友の神戸の勘の鋭さにビビる。
「………いや、なんでもねぇよ」
「…なんか釈然としないが……まぁいいや、帰りになんか食って帰ろうぜー」
神戸の誘いは正直嬉しいので了承する。
不良共片付けたから腹減ってるし丁度いい。
「ならとっとと行くぞー」
「はいはい〜っと!」
そんなことを言いながら俺達は路地裏を後にした。
◇ ◇ ◇ ◇
俺は途中に何度か不良に絡まれそうになりながら、そんな不良達に良い笑顔で近づいて行く神戸を抑えながら駅前のファーストフード店で飯を食っていた。
「最近の不良共は張り合いがなくて困るなぁ、なぁ帝〜この後俺とちょいと手合わせしない?」
「誰がするか誰が!お前絶対手合わせとか言いながら途中から本気でくるから嫌なんだよ!」
そう、神戸はたまに手合わせをしてと言ってくる。だが、騙されてはいけない。こいつの手合わせは最初の10分間しか適用されない。
10分ぐらい経った頃くらいから段々と本気になっくる。しかも超良い笑顔。
神戸は喧嘩が化け物かってぐらい強いので本気になられるとめっちゃ怖い。
だって一発でも喰らったら地面と情熱的な抱擁&キッスをするハメになる。
最初手合わせしてと言わたとき、まんまとその言葉を鵜呑みにして了承してしまった自分を殴りたくなるくらい。
そのせいで俺のファーストキッスはガイアになってしまった。
「え〜〜!ちょっとぐらいいいじゃん!先っちょ!先っちょだけだから!」
「なんか言い方がエロいが、先っちょだけでも駄目だ!つか、お前のパンチめちゃくちゃ痛ぇんだよ!」
「ちょっ!褒めてもタバコぐらいしか出てこねぇぞっ!」
「褒めてねぇし、タバコもいらんわ!」
神戸の喧嘩のスタイルは頭逝かれてね?というぐらいの運動神経と身体能力によって繰り出されるエグいパンチが主力だ。
しかもこいつはそれだけでも十分エグいパンチに、テレビで見たような古武術?的なものを組み込み超エグいパンチ…通称“極楽パンチ”が出来上がった。
前に機嫌がちょい悪い時に姫ちゃ〜ん!と大声で学校で呼んだときに喰らったことがあるがヤヴァかった。天国みたいな場所が見えた。これが由来だったりもする。
「ったく、ちょっとぐらいいいじゃんかよー」
「おおっと、姫ちゃん?我儘はいけませんよ〜、そんな子にはお仕「えっ⁉帝君はお花畑が見たいの?そういうことは先に言ってよ〜、今すぐ見せテヤルカラ」
「すいませんっした!!自分ちょーしこいてました!」
神戸の瞳が段々と濁っていきながら拳を上げる仕草をしたのですぐさま土下座をする。
神戸は姫ちゃんとか、女の子みたいに言われるのがめちゃくちゃ嫌いなのだ。
どのくらい嫌いかと言うと初対面の人にも威力をなるべく抑えた極楽パンチを繰り出すほどである。
まぁ、俺は姫ちゃ「ん?」…神戸とは腐れ縁の仲なのですぐ殴ることはないが言いすぎる本気の極楽パンチが飛んでくる。
「ったく、でも本当に最近の不良はなってないなーもっと根性あるやついねぇのかな〜」
「なんか神戸のその容姿で根性とか「あれ?何故か右手が勝手に」あっ、ちょっと⁉冗談だって!」
そうこいつの容姿は結構な童顔なんだよな。
背も155cmぐらいで小さい。俺が175cmぐらいあるから並ぶとより小さく見えてしまう。肩までかかる髪型をしている。
女の服着てカツラでも被ればぜんぜん女でとおると思う。
「ん〜…今日はもうやることねぇし、帰るかー」
「そうすっかー」
そう言って、俺達は家に帰ることにした。
……なんか嫌な予感がするな…。
…まぁ、いっか!神戸なら大抵の奴なら相手にならないから大丈夫か。
◇ ◇ ◇ ◇
駅からさほど遠くない住宅街を神戸と一緒に帰る。こいつとは家が50mぐらいしか離れてないのでいつも学校の帰りとかはよく一緒に帰る。
「つか明日で春休み終わりじゃん⁉あぁー…くそ〜めんどくさいなー」
「あぁー、そういやそうだな。まぁでもお前は意外に頭良いから心配事がなくていいよな〜」
「まぁ帝は馬鹿だからな〜」
「お前が頭良過ぎなんだよ!俺は常に平均点は取ってるわっ!」
そうなんだな〜こいつこんなに喧嘩好きなのに頭良いんだよ。勉強はあんましてないはずなのに……
「テストなんて教科書読んどきゃ余裕でしょ」
「そうか、俺とお前では脳の作りからして根本的に違うのか…」
そんな事を話ながら、住宅街を歩いていると神戸の家が見えてきた。
「じゃっ!また明日な〜」
「おう」
そう言って家に入って行く神戸を見ながら俺も家に帰る。
家に入ると姉貴の美鈴がジャージを着てリビングでテレビを見ていた。……見てくれは良いんだから家でもちゃんとしてればいいのに……
などと思っていても口には絶対にしない、口にしたら最後、俺は朝日が拝めないことは決定事項となってしまう。
「あれ?姉貴お袋は?」
「あぁ、なんだ帝か。お母さんなら買い物じゃない?」
成る程、お袋は買い物に言ってるのか。
なら先に風呂にでも入っとくか。姉貴は風呂には入ったみたいだし。
お袋が買い物から帰ってきて飯を食ったあとに神戸からメールが来ていた。
『明日の昼ぐらいに俺ん家にこいよ。どうせ暇だろ?』
失礼な、暇だと勝手に決めつけないでくれ。
これでも今をときめく高校生。彼女といちゃラブしたりと忙しいのに。
『オッケー、分かった12時頃行くわ』
まぁ、俺に彼女は居ないので暇なので行くことにする。
……別にいいじゃないか。彼女居ない歴意=年齢でもみんな大抵はそうだろ?
俺は髪型だってちょっとボサっとした感じの短いのに、目つき若干……うん…若干目つきが悪いだけなのに女の子は怯えて逃げてしまう。
………あれ?なんか目から汗が出てきた…。
その日は枕を少し濡らして眠りについた。
初めての投稿で出来が良いか分かりません………orz
どうか応援してくれると助かります!
感想なんかくれた日には作者は小躍りします