序章:~転生することになりました~
少々グダグダな所あるんですが、とりあえずのっけます。
目標の文字数には届いていないのですが、ここはそこまで
書くほどの部分ではないと判断いたしまして、投稿します。
なにかありましたらメールにてご報告お願いします。
~転生することになりました~
ここは、どこだ・・・?
俺は、誰だ・・・?
頭が、クラクラして痛い・・・。
なんだか、俺の周りを吹く風がとても心地いい・・・
まるで快晴の初夏の日に草原の上で寝っ転がってるような・・・
そして上半身には何かが乗っかっているような重みを感じる・・・
体には生暖かい風が当たる・・・
というか、ここはどこだ・・・?
とても気持ちのいい場所なのは、体が感じている・・・
でも具体的にどこなのだろう・・・?
それと、鼻にさっきからいい香りが入ってくる・・・
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「はッッ!?」
鼻に入ってくる”いい香り”で一気に意識が覚醒する。
と同時に一気に上体を飛び起こす!
その時、上体に乗っかっていた”いい香り”の発信源も吹っ飛ばされる。
「むぎゃッッ!?」
近くで比較的聴いていて気分が良くなる落ち着いた声が何とも、
萌える人からすると萌えてしまいそうな言葉を発している。
・・・何故そんなこと書いてるのかって?
実は、俺もすっごく萌えた・・・。
「痛いなー、いきなり寝ている女の子を吹っ飛ばすなんて、
人間のする事じゃないと思うんだけど・・・」
ムス~っと俺に向けて頬を少し膨らませている女性が正面にいた。
正直、結構な美女である。
でも、名前は知らない。
そしてここがどこなのかは分からない。
目の前に広がるのは、どこまでも続かんばかりの青々とした草原と、
どこまでも晴れ渡った晴天の空と、それらの境目。
全く見たことのない景色。
思わず呆然としてしまう程までに、美しいと感じられる風景。
それが自分たちの周りいっぱいに広がっている。
「ここは、どこなんだ・・・?」
「えっ、ちょ、ちょっと無視!?」
辺りをもう一度見渡してみるが、やはり自分は今までこんな場所には
来たことがないという結論に達する。
「ちょっとー、吹っ飛ばしたことに対する謝罪をプリーズ」
「ん?ああ、すまない」
「うむ、よろしい」
ムスーっと膨れていた頬は元に戻り、本来の彼女の顔になる。
見れば見るほどぶっちゃけカワイイ。
俺の好みの女性像をもろ反映しているだけあって。
「にしても、ここってもしかしたら天国かもしれないね?」
「天国?ンなバカな…」
一番最初の冒頭で言ったと思うが、俺は神様だの天国だのという存在は
信じていない無宗教の人間だ。
でなければ「神に誓って真実と言えるか?」という質問が来た時に、
俺は嘘ぶっこいてるのに堂々と「誓います」なんて言えないだろ?
まあそれはさておき、そう思う根拠を彼女に聞いてみることにする。
「そう思う根拠はなんだ?」
「だってあの夜、私たちビルの屋上から飛び降りて心中したじゃない」
おっとそういえばそうだった。
あまりにも心地の良い空間で寝てたせいか、すっかり忘れていた。
「そうだったな、今まで気持ち良すぎて忘れていた」
「オイ!?」
ぺシンと隣からまるで漫才のようなツッコミが入る。
いわゆる「なんでやねん」という典型的なツッコミ。
「なんで俺があんたからそんなツッコミを受けなければならない?」
「う~ん、なんかノリ?」
「・・・オイ」
お返しに軽く俺もツッコミ返す。
「話を戻すと、ということは、ここが天国でもなんらおかしくはないのか?」
「そうなんじゃないかなぁーって、私は思ってるんだけど」
適当に結論付ける俺たちだが、まだ分からない所が多い。
というかいつまでもここに居続けられるのであろうか?
『おぬしら二人とも、目が覚めたようじゃな?』
ふと頭の中に響く老人の声。
「誰だ?」
俺はすかさずゴルフバッグから対人狙撃銃(L96 AWS)を取り出し構える。
「誰?」
武器を持っていない彼女の方は、銃を構えた俺の背中の後ろに隠れる。
『ここじゃよ、ここじゃ』
という声が聞こえると同時に、目の前が強く光りだす。
やがて光が収まると、そこにはまるで仙人のような老人が座っていた。
インドの僧侶が着ているような真っ白なローブに、仙人が持ってそうな
樫の木で作られたっぽい杖を持っている。
これを仙人と言わずして何と呼ぶ?
『わしは仙人ではないぞ。わしは神様じゃ』
「「はぁ?」」
二人とも目の前に立っている老人の言っていることの意味が分からず、
目が点になる。
というか、いきなり「自分は神」と言われたって胡散臭い。
『もう一度言うぞ、わしは神様じゃ』
「「・・・」」
あくまで自分は神であると主張する目の前の老人に対して、
(もはや何も言うまい)
そう心に誓った俺たち二人である。
『全くおぬしら、若いのに2人イチャX2して仲良く心中しおって』
「あの様子を見てたのなら言わせてもらうが、あれはイチャX2
していた訳じゃない。”殺し合い”をしていたんだ」
『でも最後は意気投合してたじゃろう?』
「とにかくイチャX2はしていない」
実際、傍から見れば俺と彼女とのやり取りは、本気の”殺し合い”だったはず。
それをどのように解釈してみたら”イチャX2”してるように見えるのだろうか?
『ふむ、まあそういうことにしておいてやろうかの』
「・・・」
自称神様曰く、人間の常識は神には通じない・・・
いやこの場合、俺たちの言い分を聞く気はないという事らしい。
『自称じゃないぞ?れっきとしたモノホンの神様じゃ』
多分、俺が何を話したところで、きっとこの老人は聞いてくれない。
もうそういうことにしよう。面倒なのは避けるに限る。
『わしを面倒者扱いするとは、失敬な奴じゃの』
「そもそも人の思考を読まないでいただきたい。そちらの方が
よっぽど失敬じゃありませんか?」
だってそうだろ? 思考まで読まれるとか、自分のプライベートな部分を覗かれるのと
全く同じ事、すなわちプライバシーを現在進行形で侵害している。
つか本当にお願いだから思考は読まないでほしい。
『まあわしは神様じゃから、そういうことは許されるのじゃ』
「「納得いかねぇーーッッ!!」」
俺と彼女が同時に納得いかない気持ちを叫びにして表す。
というか俺はいいけど、お前はダメとか理論アリかよ・・・
『まあ無駄話はこれくらいにしておいてじゃな』
「私にとっては無駄話じゃないんですけど、決して」
自称神様に向けて、ほっぺたをプク~っと膨らませて抗議する彼女。
それを見た自称神様はというと・・・
ポッと顔を赤くした。
『そ、そんなかわいらしい顔でわしを見ないでほしいのじゃが・・・』
だが彼女の方はともかく、ジジイのしわだらけの顔で顔を赤らめられると
見ていてかなり気持ち悪いというか気色悪いというか・・・
要するに視界に入れたくない顔をしているわけだ。ウン。
これは話を本題に戻さないと進展がなさそうと判断した方がいいな。
「もう何でもいいから、神様のご用件をさっさとお聞かせ願えないか?」
「ちょっとちょっと、私にとっちゃ重要な話なんだってば」
「それにしてもこの気持ち悪い顔をいつまでも見せられたくはないんだ。
だったらさっさと話しを終わらせた方がいいだろう?」
「まあ、それはそうなんだけどねー。でも納得いかないなぁー」
「まあそこは俺に免じて今回は勘弁してくれ。 さ、はやく話を進めましょうや」
『ン、ウム。ではお前らに本題を話すとしようかの』
我に返った自称神様は改めて俺と彼女の方に向き直り、その口を開く。
『コホン、さて突然なんじゃがな? おぬしら異世界に旅立ってみる気はないかの?』
「「は?」」
本当に突然聞いてびっくりなことを言われた。
生前の俺ならこんなことを言われてもまず相手にしないだろうが、じゃあ俺や彼女が
今立っているこの場所、この空間はどう説明するんだってことになる。
ということから仮定すると、この自称神様の言う通り異世界は恐らく存在するのだろう。
ただその異世界へ旅立つ者になぜ俺たちが選ばれたのかは疑問だが。
『まあおぬしの疑問ももっともじゃがな、異世界で生きてみる気はないか?という事を
わしは提案しておるのじゃ』
「なんでそこまでしてくれるのかしら?」
『だっておぬしらの死体は、正直見るに堪えないほどグチャグチャじゃったし。
そんな死に方はあまりにも切なすぎるじゃろうと思ったのじゃよ』
「まああの高さから落ちたら普通そうなるわな」
「確かにねー」
俺も彼女も2人して、ウンウンと何もなかったかのように頷きあっている。
一応補足しておくが、グチャグチャになった死体の人物は俺たち二人である。
『・・・おぬしら、どうしてまるで他人事のようにしていられるのじゃ?』
目の前に立つ自称神様も、さすがにこの様子には口をあんぐりとして驚いている。
「俺はあの世界そのものにはとくに執着心といったようなモンはなかったしな」
「私もこの人と似たような感じかなー。死んでもそれは仕方がないっていうか、
今まで人様から恨まれるようなことたくさんしてきたし」
『そ、そうかの・・・』
自称神様のこちらを見る目が少し恐怖の感情を帯びたものに変わったような気がする。
『と、とにかく、異世界に行ってみたいという気持ちはあるのかの?』
「行けるのであれば行ってみたいとは思う。少し興味がある」
「私も異世界に旅立ってみたいなー」
『フム、そうかそうか・・・』
そういって考え込むそぶりを見せる自称神様。
その光景を静かに見ている俺たち。
そうしていること、およそ10分位経っただろうか・・・
やがて考えていたことの中身がまとまったのか、自称神様は俺たちに再度向き直り、
口を開いて話し始めた。
『じゃあ、おぬしらにはこの世界へと旅立ってもらうとしようかの』
「「どの世界に?」」
俺と彼女の声が重なる。
『おぬしらがもといた場所では”ふぁんたじー”とか呼ばれるような世界じゃな』
「ファンタジー?」
『魔法というものが現実に存在する世界じゃ。まあゲームほど甘い世界ではないのじゃがな』
「簡単にレベルアップができるというわけではないと?」
『そういう事じゃ。まあおぬしらがすぐに死なないようにしてやるから、その辺は
安心して旅立ってくれてよいぞ』
「例えばどういう風にサポートしてくれるの?」
『それは旅立ってからのお楽しみ、じゃよ?』
「一つくらい教えてくれてもいいと思うんだけどなー・・・」
「別にかまわないさ。で、もう旅立ってもいいわけか?」
『急にやる気になりおったの。まあ、心の準備ができてるのなら転送してやれるぞよ』
「っとその前に一つだけ条件出してもいいか?」
『なにぞよ?』
「この銃だけはいつでも使えるようにしたいんだ。その為のサポートはしてもらえるのか?」
『それだけおぬしにとって大事なものなのかの?』
「ああ、俺の相棒だ」
『ならその辺のサポートも特別にしてやろうかの。では、おぬしら、準備はいいかの?』
「「ああ(ええ)」」
『では、そのまま目を閉じて楽にするといいぞよ。次に目覚めるときは、異世界じゃ』
俺たちは自称神様の言う通りにすると、不思議と体がだんだんと心地よくなっていく。
もともとこの場所が人間の精神・肉体の双方に与える心地よさと相まって、
次第に意識がウトウトし始め、やがて深い睡魔に襲われることとなる・・・。