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第9話:~検査結果発表 ー 光射す道との出会い~

どういうわけか全然筆が進まなくなり...

気がつけばまた『1年以上更新されてない』の文字が...

誰も見てないかもしれないけどそれでも

ひっそりと投稿し続けます。

・・・時間がかかっても必ず最後まで書ききってやります

第9話:~検査結果発表 ー 光射す道との出会い~

-----


「ユミコさん、今から貴方の検査結果をお伝えしますね」

「は、はい...」

緊張した面持ちで結果発表を待つユミ。

そんなに緊張するものか?

さっきまでは楽しみだね~と明るく言っていたのに。

「いざ結果を聞くとなると緊張するんだよぅ」

「ふむ、そういうもの...か?」

「そういうものでしょ?」


あまり意識したことはないが、自身に関わることを告げられるというのは緊張するものなのか。

期待があったり、それ以外の感情も混じっているのだろうか。


「ではお伝えします。

まず、ユミコさんの魔力性質は特殊魔術オリジナルスペルとなります。

特殊魔術オリジナルスペルとは、その人個人にしか発現しない魔力性質の事を指します。

なので、特殊魔術オリジナルスペルは原則8つの元素とは区別します。

それで、ユミコさんの扱える魔力性質は、『結界創成者サークルクリエイター』だと判明しました」

結界創成者サークルクリエイター?」


何とも中二病が喜びそうな名前だな。

言葉で聞いただけじゃ意味がはっきりと判明しないが、英語での意味を考える辺り

円の作者?みたいなニュアンスだろうか?

扱う本人であるユミはもう目がキラキラと輝いてる。

こんな派手な名前だと俺は物凄く恥ずかしくて名前を出すだけでも憚られるんだが...


「それでですね、簡単に言うと『結界』を生み出す魔術なのですが、

 この魔術は結構ズルっこいんですよ...フフフ」


説明をギルド職員から引き継いだセシルが、妙に不敵な笑みをこぼす。

なんだ、もしかして何かチート染みた性質があるんじゃないか?


「セシルさん、私の魔力性質がズルっこいってどういう意味ですか?

シンみたいに何か、使い方次第じゃとんでもないものになる...とか?」


不安そうな言い方をしているが、目には変わらずキラキラと星が輝いてる。


「そうですねぇ...

まず、『結界』と言っても霊魔術には様々な定義があります。

物理的干渉を防ぐ為の防御結界、魔術的干渉を防ぐ魔術結界、

 あとは一般的には見る機会は少ないですが地面にルーンを刻んで

 発動させる魔方陣も結界の一種です。

それぞれによって発動条件が異なると共に、結界自体の性質も異なります。

そのため、結界の種類ごとに発動出来るかどうかは個人の魔力性質によって左右され、

普通の霊魔術師では一種類、多くてもせいぜいが二~三種類程しか適性を持ちません。

しかしユミコさんの場合、そうした様々なありとあらゆる種類の結界を生み出す事が出来るのです」

「へぇ~‼」


要は様々な種類・性質を持つ結界を生み出す事が出来る、ということらしい。

まさに中二病が喜びそうな能力だ。


どのような性質の結界を生み出すのかは完全にユミに委ねられるのだろうが、

生成できる結界の種類に限りがない以上は十二分にチートと言える能力である。


そんなわけで、ユミも俺と同様に状況次第では国家間の政争に巻き込まれても

おかしくないような強力な力を身に宿してしまったわけだが、その扱い方や

霊魔術というものに関する知識を補填していかなければならないのは言うまでもない。


幸いにも支部長ギルドマスターが信頼できる人物達に俺たちに対する新人教育を

任せるという事で事態は進行しているはずなので、教官役をするクランの面子が

俺たちに対して何か悪い方向で絡んでくるような人物でない限りは特に問題はないだろう。


「さて、魔力性質の検査が終わった所で早速なんだが、お前さんたちには

Sランククランである『光射す道』と共に修行を積んでもらうぞ。

実力のある信頼できる冒険者達じゃ、きっとお前さん達の力になってくれるはずじゃ」


『光射す道』それがクランの名前だそうだ。

どういった思いでその様な名前を付けたのかは分からないが

名前から漂う中二病感をさてどうしたものか。

とそこへ、訓練場に男2人と女2人の計4名の集団が現れた。

装備を見た限り男はそれぞれ剣と斧を、女はそれぞれ

槍と杖を背負って歩いているので、近接と遠距離の双方の

バランスを調整して組まれたクランであることが伺える。


「おい支部長マスター、要望通り3人連れて来てやったぞ。

うん?ソイツらが今回の大型新人なのか?」

その内の一人、剣を背負った比較的若い青年が

俺達と支部長ギルドマスターを交互に見やっていく。


「そうじゃ、センス。

そこの銀髪の男と黒髪の女がくだんの新人じゃ。

そやつらの持っている才能は素晴らしいと共に危険でもある。

間違っても暴走など起こさないよう、しっかりと叩き込んでやれ」

「へぇ〜?どう見ても大人にしか見えねえこの二人が新人ねぇ…」

「な、なんなのかな・・?」

支部長ギルドマスターに『センス』と呼ばれた剣を背負った男が

何やら疑いの視線をユミに向ける。

しかしユミがその視線に対して問いかけると「いんや、失礼」と言って

すぐに視線を支部長ギルドマスターに戻す。

かと思えば今度は俺の顔へ視線を向け、すぐに今度は睨みつけてきた。

なので「初対面の人間に睨まれるようなことをした覚えは無いんだがな」と

殺気を込めた睨みを返しながら相手に話しかける。


「ほぉ〜?こっちの男は中々のタマじゃねぇの。

 今のコイツの睨みはちゃちぃ奴には出せねえぜ?」

アッハッハッハと笑いながら俺の睨みを平然と受け流す『センス』と呼ばれた男。

俺の睨みをサラっと受け流せる辺り、この男もそれなりの修羅場を潜ってきたのだろう。

周りを見やれば、検査に関わっていたギルドの職員たちは少々ビビっていたが

『光射す道』のメンツには睨みに対して特に反応が無い辺り、センスと同様に

修羅場を潜ってきた経験が豊富なのかもしれない。


センスは再び視線を支部長ギルドマスターに戻すと口を開く。

「で、俺たちはこの二人に冒険者の流儀やら礼儀やら戦う術やら

 何から何まで面倒を見てやれば良いわけだな?」

「そうじゃ、何か質問はあるか?」

「うんにゃ。特にはなんも」

「ではよろしく頼むぞ。『光射す道』の諸君」

「おう。任された」

「「「ちょっと待てい!!」」」


センスが了承した直後、今まで一歩引いたところで話を聞いていた

クランのメンツが一斉に待ったをかける。

「ちょっと待てセンス。俺たちはまだ何も言っていないぞ」

「そうよ、というかこんな話あることも聞いてなかったし」

「いきなり集合を掛けて何かと思って来てみれば新人さんの教練をやるなんて。

 事前に話くらいはしてくれないと私たちはすごく困ります!」

という言葉とともにセンスに詰め寄る3人。


「まぁまぁ良いじゃねぇの。それにさっきの睨みはお前らも見たろ?

 コイツらは鍛えりゃ後々すげえ奴に育つ…

「「「それ以前の問題だろうが!!」」」

「えぇー…」

しょぼくれるセンスだが、メンツの言い分を聞く限り

どうもこの男はこの件に関してちゃんとした説明を怠ったらしい。


支部長ギルドマスターがこの男一人に依頼をしたというのならまだしも、

今回はクランに依頼したと言っているのだから彼らもそれに関わることになる。

当然その話を最初に聞いたものは他のメンバーへの報告義務があるわけだが…

なにやらセンスは少々良い加減なところがあるのかもしれない。


「いい!?貴方は仮にも私たちの隊長なんだから!

 こういう大事なことはちゃんと話せって何度も言ってるでしょう!

 しかもこんな何処の馬の骨とも分からないようなボンクラ二人の教練なんて

 他のクランに任せたって何の問題も無いのよ!?

 どうしてそのことを理解しないの!」

槍を持つ女に物凄い剣幕で怒られるセンス。

その様子にタジタジであった彼だが、ボンクラという言葉が出た途端

彼の表情が変わる。

一方言いたいことを早口でまくし立てた槍を背負った女はゼェゼェと息をしている。


その様子を見てセンスは口を開く。

「言っとくがコイツらはボンクラじゃねえよ。

 でなきゃ、わざわざ俺たちに支部長マスターが依頼を回して…

と、真顔で話していた彼なのだが、そのセリフに思わず突っ込んでしまった。

「そもそもアンタが今この瞬間まで彼らに事情を説明してないから

 俺たちがボンクラ呼ばわりされている事に気が付いてるか?」




ギルド訓練場にピューっと冷たい風が吹き渡ったような気がした。




しばらくの沈黙の後、口を開いたのは槍使いの女だった。

「センス、あんた遂に新入りからも突っ込まれたわね…」

「まったくこのバカは…」

「センスさん、ダメダメです…」

次々とセンスの醜態に辛いコメントをする『光射す道』のメンバーたち。

・・・本当にコイツらの元で教練を受けても問題ないのだろうか?



支部長ギルドマスター・・・、本当に彼らで問題ないのか?」

「うぅむ、いやな、実力は折り紙付きなんじゃがな。

 こういった面で抜けてる所がある奴じゃからのう…。

 いやはやどうしたもんか」

「いやいやいや! 二人とも迷わないでくれよっ!」

「そうは言ってもな?」

「そうは言ってものぅ」

「チクショウ! 二人揃って全否定かよ!!」


ウワー!とセンスが捲し立てるが、俺は割と本気で不安を覚えている。

ユミの方へ視線をやると彼女と目が合う。

どうやらユミも同じような事を考えているらしく、センスをチラリと見て微笑を浮かべた。


「と、とにかくだな! 俺たちはまぁこういう所で欠点もあったりする訳だが、

 世の中完璧な人間なんてのは存在しない訳で、こういうすごい人間にもこんな短所があるっていう

 すっばらしく適切な例を示すのには一役買っt

「上手いように纏めようとしたって、もう俺たちのアンタへの第一印象は上塗り出来ねえからな?」

「な、なんだ、と・・・」


センスは今度こそガックリと地面にひざまずく。

その様子を見ていた『光射す道』のメンバーは一斉にため息をはく。


「さて、お前さんら。

 センスの説明が外れていた事によって、何で自分たちが此処に呼び出されたのか全く分かっておらんじゃろう。

 お前らの隊長であるこのやかましい小童クソガキが黙っている間に、簡単に事の経緯を説明しちゃる」

「さりげなく俺をクソガキ呼ばわりするのは止めてくれよ!?」

「じゃかぁしいわ! 黙っとれこのアンポンタン!」

「ゴッ・・・」


支部長ギルドマスターの決定的な一言によってポテンと倒れるセンス。

口から泡もふいているし、あれは当分はダメだろう。



「まず事の経緯は、そこの二人の見慣れぬ服装の男女がギルドへの冒険者登録を志願した事からじゃ。

 規約を理解し名前を記入し、最後に水晶に手をかざして自らの素質を測る。

 此処までは何の異変も起こらなかったのじゃが・・・」

「水晶による簡易魔力検査の結果、お二人ともとんでもない能力を持っている事が判明したのです」

「とんでもない能力? 一体どんな性質だったというんだ?」


斧を背負った体格の良い男が質問をする。

幾戦を戦ってきたであろう男の表情は、一体これからどんな話が出てくるのだという疑問を浮かべている。


「まず、そこの先ほどセンスに突っ込みを入れた銀髪の男からじゃな。

 驚くな。といっても無理じゃろうが、コイツの魔力性質は『聖』と『闇』の『二大元素』じゃ」

「「!?」」

「なんですって!? そんな事があり得るの!?」

支部長ギルドマスターの言葉に愕然とする光射す道のメンバーたち。

なるほど、支部長ギルドマスターお墨付きの彼らが本当に驚愕している様子から見て

俺とユミの体に備わった能力はやはり一般的な常識規格を外れた物であるようだ。


「この男の能力もなかなかに凄まじいが、その隣にいる黒髪の女もまた凄まじいぞ。

 何しろ『結界創生者サークルクリエイター』という特殊魔術オリジナルスペル持ちじゃと判明した」

「うへぁ…」

「おいおい…、まさかの特殊魔術オリジナルスペル持ちかよ...すげぇな」

「ウソ…でしょ」


先ほどと同様に驚きを隠せない様子の彼ら。

しかし、その能力と先のセンスと支部長ギルドマスターのやり取りから

彼が光射す道に何を望んでいるのかを瞬時に理解したようだ。


「なるほどね...だからセンスに話を通したってわけね。

 その本人が私たちに伝え忘れたせいでこんな対面になっちゃったけど」

「ここまでの状況になると、確かに俺たちより格下のクランに任せるのは

 色々と不安があるってこともうなずける」

「それに、私たちに態々支部長マスターが依頼を回してくるということは

 ギルドとしても失うには惜しい人材だと判断したって事でしょうし...」


それぞれが考えて結論を出したようで、彼らを代表して

斧を背負った男が一歩前に出て俺たちに向き合う。


「さっきはウチの槍使いが少々失礼な発言をして悪かった。

 俺はブリストー、ブリストー・ラッグスだ。

 見ての通り霊魔術はからっきしなんだが、その代わりに肉弾戦が得意だ。

 そこでぶっ倒れてるセンスを筆頭に4人でクランを組んでるんだ。よろしくな」


ブリストーはそこで手を差し出し握手を求めた。

ユミが最初にそれに応じ、握手をする。

続いて俺の番だが、前世で色々やらかした影響で手袋を外せない。

昔殺し屋の青二才だった頃に炎に包まれ逃げ場を失い、その際に両手とも

大やけどを負って以来、とても外に出せるような状態ではなくなってしまったのだ。


「すまない、昔やってしまった火傷のせいで人に見せられる手ではなくてな。

 失礼は承知しているが、手袋のままで構わないだろうか?」

「ああ、そういうことなら構わないさ。

 誰だって見せたくない傷の一つはあるもんさ」


手袋越しに触れたゴツゴツした手は間違いなく武人のそれであり、少なくとも

中途半端な練度を積んだものでは決してなり得ない質感だと思った。


ブリストーが後ろに一歩下がると続いて、先ほど俺たちを

事情を知らなかったとはいえボンクラ呼ばわりした槍を持つ女が前に出る。

隣には杖を持つ少女も一緒だ。


「さっきはボンクラ呼ばわりしてごめんなさい。

 私はアンナ・マルセリーノ、こっちのちっちゃな霊魔術士は...」

「ミレイ・エルティオです。回復と攻撃の両方を担当してます」


アンナと名乗った女性は綺麗な礼を、ミレイと名乗った少女も

見た目通りの可愛らしいぺこりとしたお辞儀をした後口を開く。


「私は中衛の担当で、前衛が討ち漏らした相手を捌くのが役割。

 ミレイの方は完全に後衛で霊魔術をバンバン撃ちまくるのが仕事よ」


そういうとアンナは地面にポテンと倒れているセンスを指差しながら


「さっきのやり取り見てて分かったと思うけど、あいつがセンス。

 センス・フォルスター、私たち『光射す道』の隊長であり

 この中ではもっとも実力が上の冒険者よ。

 私たちはセンス以外の全員がSランクのグレード3なんだけど、センスだけは

 SSランクのグレード2、まだ経験が浅い貴方達に言ってもイマイチ

 ピンと来ないかもしれないけど、ここの支部長マスターとほぼ同程度の実力を持ってるわ」


それを聞き俺もユミも驚いた。

少し抜けている感じが初対面から見受けられたセンスだが、

その実力は本物の強者の域に足を突っ込んでいるという彼女の弁を聞き

センスという人物に少し興味がわく。



「そういうわけで、ね?私たちが貴方たちのことをしっかり

 いざという時に身を守れるようになるまで育ててあげるわ。

 ところで、貴方たちのことも教えてくれないかしら?」

「俺はシン、アレキサンドライト・シンフォニアスとここでは名乗ってる。

 長い名前だし、シンと呼んでもらえれば」

「私は飛鳥由美子です。ユミって呼んでね!」

「シンにユミか、ぶっ倒れてて悪かったな。

 改めて俺が『光射す道』の隊長のセンス・フォルスターだ。

 よろしく頼むぜ?ついでに俺たちの友人にならないか?」


ハハハハハと陽気に笑いながら俺たちと握手を交わすセンス。

ちなみに彼は精神的なショックで立ち上がれなかっただけで

会話の内容はしっかり耳に入っていたようで、俺が手袋のことを詫びたら

話を聞いていたと言い笑顔を崩すことなく俺とも握手を交わした。


「んじゃ早速だが、霊魔術ってもんの使い方を教えるとっから始めるか!」


センスの言葉によって、いよいよ俺たちが

身を守るための技術を学ぶ訓練が始まったのだ。

次回より、霊魔術の訓練に移ります。

それと同時に霊魔術というのがなんなのか、

マナとはなんなのか、それぞれがどのように

絡んでいるのかを説明していこうと思います

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