魔王×勇者+アルファの対談(第四回目)【拍手再録】
ユイ「前回はそろそろ母国へ帰ってしまう勇者様たち特集を組みましたので、お休みいただきましたが、とうとうやってきました、四回目魔王×勇者+アルファ。司会はフレイ君とバトンタッチし、自称みんなのお姉さん事、ユイが行わせていただきます。本日のゲストは、私の中のヒロイン、ノルンちゃんです」
ノルン「こんにちは。ゲイル伯爵の娘、ノルンよ。今日はよろしくね!」
ユイ「はい。よくできました。ノルンちゃん、偉いですよ」
勇者「俺らより、何か優しくねえ?」
魔王「ユイはノルンの事を庇護対象とみているからな。俺たちとはまた違うだろうな」
ユイ「えっ。依怙贔屓しているつもりはないんですけど。でも、差を感じるのはあまりよくないですよね。となると、魔王様たちをもっと甘やかした方がいいですかね」
魔王「いや、いい。俺はユイの庇護対象でいつまでもいるつもりはないからな。対等な立場になりたいと思って――」
ユイ「ええっと。じゃあ、早速皆さんの質問に答えましょう。そうしましょう!」
ノルン「ユイ、どうかしたの?魔王様の言葉をさえぎって」
ユイ「どうもしませよ。ええ、何でもないですので、時間もないですし、サクサク質問に答えていきましょう。PN.虎の子はたいて出血中(噛まれました)さんからの質問です」
勇者「うわっ。そいつ大丈夫かよ。何で虎の子叩いちゃったんだよ」
ユイ「ペンネームですからたぶんそこまでそこにツッコミを入れなくていいですよ。えっと、読みますね『私の住んでいる地域はここの所暑くて食欲がありません。おいしいもの食べて元気を取り戻したいのですが、魔王様、勇者様は最近何を食べておいしいと感じられましたか?教えてくださいw』です」
魔王「ユイの手料理だな」
ユイ「……それは嬉しい言葉ですが、まったく参考になりませんね。もう少し具体的な料理名の方がいいと思いますが」
勇者「はい!俺はカレー!」
ユイ「えっ?!カレーって、カレーってまさか、あの茶色くて、ドロドロして、辛くて、ごはんと一緒に食べるとおいしくて、でも本場はナンで食べている食べ物の事ですか?!」
ノルン「茶色くてドロドロ……。なんだか美味しいそうなものに思えないんだけど」
ユイ「それは、食わず嫌いですよ。あの味は、一度食べたら忘れられない。ちなみにカレーは日本風ですか、インド風ですか?!とれともココナッツミルクを使ったタイプですか?!」
勇者「えっ……いや。茶色いのは茶色いんだけど。何タイプといわれても。フレイは外国の料理とかよく取り寄せるから。カレーは、プラーナ国からの輸入品だったはず。なんかフレイがそこから魔改造とか言って手を加えていたけど」
魔王「魔改造?魔族と関係があるのか?」
ユイ「予想を裏切ったような改造をする時にそういった言葉を使いますね。これは一度、フレイ君を問いたださなければ。1人だけ美味しいものを食べるなんてずるいです」
ノルン「ユイ。そんなに、カレーというのは美味しいの?」
ユイ「はい。私は好きですし、私の国では子供からお年寄りまで、幅広い人に愛されていました。ではノルンちゃんは最近美味しかったものはありますか?」
ノルン「えーっと。私は暑い日は、前ユイに作ってもらったかき氷を食べるのが好きよ」
ユイ「おお、セレブですね。氷は魔法で作るか、寒い地域から持って来なければいけないのに。でもガムシロップを氷にかけただけでも美味しいんですよね。果物を乗せれば、シロクマ風で美味しいですし」
ノルン「氷はお父様が魔導士に頼んで作って下さったの」
勇者「いいなぁ。帰る前に、それ食いたい!」
◇◆◇◆◇◆◇
ユイ「では次の質問です。えーっと。PN.首なし伯爵さんからです。今後、魔族領と人領をどうしていきたいかという少し堅めな質問が届いておりますね」
勇者「どうしていきたいかって言われても、俺はただの勇者だからなぁ。とりあえず、アース国と仲良くやっていければいいとは思うけどさ」
魔王「そうだな。現在、ブァン国には貿易協定と、不可侵同盟の打診をしている。そうすれば、ユイの不安も払拭できるからな」
ユイ「そうですね。戦争さえ起こらなければ、滅亡フラグも消えるはずですし――えっと。魔王様、本当にありがとうございます」
魔王「戦争さえ起こらなければ、俺の伴侶は誰でもいいんだな?」
ユイ「えーっと、いや。勇者君が一押しには変わりませんよ。あ、でも。そんなに男の方が嫌なら、ノルンちゃんのような良家のお嬢様も今調べていますから。はい。ですから、誰でもというのは、国的にたぶん不味いというか――。あ、そうだ。魔族領の展望はどうです?魔王様はこの国をどうしていきたいですか?」
魔王「もっと豊かな国にしていきたいな。賢者と共に」
ユイ「じゃあ、次の質問! 次の質問に行きましょう!!」
勇者「なんだかユイねーちゃんの様子おかしくないか?」
ノルン「鈍い男はモテないわよ」
勇者「……ノルンって、オーディン以外に厳しくないか?」
ノルン「当たり前じゃない。オーディン様は特別な方だもの」
ユイ「では、折角ですので私から質問です。最近のトイレの使い心地はどうですか?勇者君からお願いします」
勇者「覗きがないのがいいな。最初は面倒だなって思ったけどさ」
ユイ「チカンの心配が一番って、切実ですねぇ。早く伴侶が見つかって、女神の呪い――もとい女神の祝福が弱まるといいですね。どうです? 伴侶に魔王様とか」
勇者「だから、俺は可愛い奥さんがいいのっ!」
ユイ「魔王様は可愛いですよ。……最近、ちょっとその可愛さの所為で、私が色々マズイですけど」
勇者「マズイ?」
ユイ「いえいえ、こっちの事情だけですし、私の気を確かに持てば大丈夫なはず。魔王様には女神の祝福があるわけではないですし。まだ豚小屋行きは勘弁ですから」
魔王「豚小屋というのは、確か罪人を入れる場所の別称だったのではないか?なぜユイが豚箱に?」
ユイ「色々大人の事情というものです。【萌え】が【コン】になった瞬間、ええ。色々あるんです。……早く逃げないと」
魔王「何か言ったか?」
ユイ「いえいえ。それよりも魔王様はトイレについてどうですか?」
魔王「トイレとは関係ないかもしれないが、最近城下町で病気が流行っていないのがいいな。疫病が酷い時は多くの命を奪っていくからな。ユイが言った通り、衛生管理をしっかりした影響かもしれないと、現在確認中だ」
ユイ「まあ、疫病は必ず防げるというものではないですが、衛生的な生活をすれば、発症率を下げられますからね。後は、ちゃんとビタミン――えっと、野菜も食べた方が良いですよ。栄養をしっかり取ると、病気にもなりにくいですから」
ノルン「うぅ。野菜かぁ」
ユイ「駄目ですよ。バランスのいい食生活をしないと、年を取った時も綺麗でいられませんから。メタボになったら、オーディン君に嫌われちゃいますよ」
ノルン「嫌われるのは嫌ね。でもオーディン様の幸せが一番ですもの。オーディン様に愛されたいわけではないから――」
勇者「オーディンは別にノルンの幸せを蔑ろにしたいとは思ってないと思うぞ。だから別にノルンがオーディンを好きでもいいと思うんだ。というか、むしろ頑張れ。俺も手伝ってやるから」
ノルン「うん。……ありがとう。優しいのね」
魔王「さりげなく、お前、ノルンに押し付けてないか」
勇者「俺の将来がかかってるんだ。良いだろ。下手に刺激すると、俺とオーディンがお似合いとか言い出しかねないんだからな」
ユイ「ではノルンちゃん的にトイレはどうですか?」
ノルン「魔王城のトイレは手入れが行き届いているし使い勝手もいいわ。だけど、町の方はそうとも言えないの。お店のトイレを借りた方がマシと思う感じね」
ユイ「うーん。やっぱり管理が大変みたいですねぇ。壁に『いつも綺麗に使って下さってありがとございます』と書いてみましょうか……。あー、でも読めない人も多いかぁ。やっぱり、学校構想を早めに進めないと」
魔王「そうだな。庶民の学校はこれからの課題だな。是非ユイはこれからも、ここで働いて手伝ってくれ」
ユイ「えーっと……あー……」
魔王「俺が望む限りいてくれるんだろう?」
ユイ「ですからそう言う目は――はい。とりあえず。時間です。対談を終わりましょう。ええ、終わりましょう」
ノルン「ユイ。大丈夫?」
ユイ「ふふふ。まだ理性が勝ってますよ。頑張れ理性君です。私の将来の為に。では、ノルンちゃん、最後に一言どうぞ」
ノルン「もうすぐ、素敵な発表があると思いますので、皆さまお楽しみにして下さい」
ユイ「素敵な発表?」
ノルン「今は内緒だけど、たぶんユイの悩みも吹っ飛ぶと思うわ」
ユイ「そんな素晴らしい驚きがあるのですか?なんだか怖いような楽しみのようなですね。では、勇者君たちがそろそろブァン国に帰ってしまいますので、この定期対談は、今後不定期に変更となります。また皆様とお会いできる日を楽しみにしています。魔王×勇者+アルファは永遠に不滅です!」




