勇者パーティーで働く人の対談(番外編2)【拍手再録】
フレイ「魔族の皆さん、こんにちは。今週も勇者と魔王様、それと賢者様の対談をお休みし、勇者について知っていただくため、勇者パーティーのメンバーで対談をさせていただきます。司会は勇者の幼馴染、パティ―の頭脳担当、魔導士のフレイが担当させていただきます」
トール「ちょっと待て。普通、ここは慣れた俺がやった方が良くないか? なあ」
フレイ「トールがやったら無難すぎて面白くないじゃないか。それよりも、今日は休んでも良かったんだよ?」
トール「俺が休んだら、お前、とんでもない内容を話すだろ」
フレイ「ほら、数字を取るには、仕方がない犠牲だよ」
トール「友情より、数字を取る奴が何処にいるんだ」
フレイ「ここかな?」
トール「笑って誤魔化すな」
オーディン「なんだ、トールは小さい奴だな! それでも俺の永遠のライバルか?! 俺は何を言われても俺は恐ろしくなどないぞ」
トール「それは、お前が馬鹿だからだ、ちくしょう!!」
テュール「こら。やめないか。俺たちは王命でここにきているんだ。あまりみっともない真似をみせるな」
フレイ「じゃあ、早速自己紹介から始めようか。年功序列という事で、テュール先輩からお願いします」
テュール「武闘家のテュールだ。基本的に武器はない。ただ、魔物の血がついても大丈夫な特殊な素材でできた服を着用している。接近戦が得意だ。よろしく頼む」
フレイ「ありがとうございました。次はウル先輩お願いします」
ウル「弓使いをやっている」
フレイ「……以上ですか? えっと、ウル先輩はテュール先輩と同い年なんですよね」
ウル「そう」
フレイ「そして、名門エイワズ家の次男なんですよね。……ウル先輩。頷いても対談の議事録に残らないので、ちゃんと喋って下さると助かります」
ウル「承知した」
フレイ「じゃあ、次はトールと僕は終わっているから、オーディンかな」
オーディン「トールの永遠のライバル、オーディン様だ。はーははは。職業は剣士だ」
フレイ「オーディンも、ウル先輩と同じで貴族の出で、アルフォズル家の出なんだよね」
オーディン「その通りだ。本来なら、俺は勇者業務などやらなくてもいい身だ。しかし、幼い時俺を打ち負かしたトールのライバルとして、俺は剣士をやっているのだ!」
トール「なら、やらなけりゃいいのに」
フレイ「オーディンは元々魔術の才能があったそうだけど、トールと剣の稽古で負けてから、剣術に走っちゃったんだよね。一応能力的には魔法剣士と言った方が正しいかな。じゃあ、最後は、このパーティーの最年少、バルドルよろしく」
バルドル「えっ。あう。その……バルドルです。えっと、聖職者をやっています。パーティーには、協会から派遣をされた形になっています。えっと、傷の手当とかが得意です」
フレイ「とりあえず、以上、6人のパーティーとなっています。未成年者は、学校でパーティーメンバーを組みますが、成人すると勇者教会の方に登録して、そこでパーティーメンバーを募る形になるかな」
トール「勇者教会の方は嫌なら断れるんだけど、学校だとメンバーって半強制なんだよなぁ。あー、早く大人になりたい。でもって、女の子のいるパーティーを組みたい!」
◇◆◇◆◇◆◇
フレイ「じゃあ、続きまして、各自トールについて語ってもらおうと思います」
オーディン「トールは、俺のライバルだ! 以上、それ以下でも、それ以上でもない!」
フレイ「相変わらずオーディンはブレないねぇ。これだけ執着してるなら、何かあと一歩があると、転がり落ちてくれそうなんだけどなぁ」
トール「転がるって何にだ。マジで、恐ろしい計画は止めろ」
フレイ「あはは。冗談冗談。オーディンはまだまだお子様だからね。もっと未来での話になるかな」
トール「全然フォローになってねーよ」
フレイ「じゃあ、続きまして、さっきの反対で若い順に行こうかな。バルドル頑張って」
バルドル「えっ? 僕? えっと……。トールは凄く強いよ。学校でも一番の勇者なんだ。教会でも憧れている人は多いよ」
フレイ「バルドル自身はどうなんだい?」
バルドル「もちろん、憧れだよ! もっと僕も勉強して、トールの役に立ちたいんだ」
トール「……あー。ありがと」
フレイ「ぷっ。やっぱり、真正面からの好意には弱いみたいだね」
トール「止めろ。マジで」
バルドル「えっ? ……僕じゃ駄目?」
トール「お前じゃなくてだな。……あー、くそっ。フレイッ!!」
フレイ「困ったからって、俺の名前呼ばないでよ。バルドル、安心して。トールは恥ずかしがり屋だから、素直に感謝ができないだけだから」
バルドル「うん。分かった。頑張るね」
フレイ「そうそう。恥ずかしがりやなトールに代わって、バルドルはこれからもしっかりとトールに好意をみせてあげてね」
トール「なあ。俺の周りに野郎ばかり集まってくる理由は、フレイにも一因あるんじゃないのか?」
フレイ「まさか。そんな逆恨みをされても困るんだけど。じゃあ、次は俺だけど、トールはいじり甲斐がある幼馴染かな。じゃあ次は、ウル先輩お願いします」
ウル「……可愛い後輩」
フレイ「良かったな。ウル先輩に好かれるなんてレアだぞレア。あの人、ゲテモノ好きだから」
トール「その、ゲテモノ好きっていう情報を貰った後に喜べって言われても嬉しくねーよ。そもそも、可愛いとか俺にとっては褒め言葉じゃねーし」
フレイ「トールは我儘だなぁ。ウル先輩に嫁にもらてもらえれば、左団扇だぞ」
トール「フレイ……遊んでるな」
フレイ「嫌だなぁ。俺は幼馴染として真剣に、トールが誰とくっ付くと一番いいのか考えているさ」
トール「真剣にそんなこと考えるな! 俺は男だっ!!」
フレイ「さてと。じゃあ、最後にテュール先輩お願いします」
テュール「俺もウルと同じだな。まあでも、フレイもオーディンもバルドルも同じく可愛い後輩だがな」
フレイ「うーん。テュール先輩がトールに落ちる気がしない……。特別感が足りないよなぁ。何かイベントがないと――」
トール「だからそういうことを考えるな! 一体なんなんだよ」
フレイ「何って、トールの体質改善を考えてやってるんだよ」
トール「は?」
フレイ「今までの歴代、ハーレム勇者も逆ハーレム勇者も、結婚したらその能力が落ち着いているんだよね。つまり、トールもちゃんと身を固めれば、逆ハーレムからの脱却の兆しが見えるかなと」
トール「女を紹介しようとか、そういう考えはないのか?!」
フレイ「ぶっちゃけ、お前の所為で、俺も巻き沿いをくって、女の子の知り合いが少ないんだよ。で、知っている奴は、勝手に勇者トトやってるし」
トール「勇者トト? なんだそれ」
フレイ「まあ、よくある、誰が勇者のハートを射止めるでしょうかという賭けかな」
トール「げっ。なんでそんな事に」
フレイ「お前が面白いぐらい、男を集めるからだろ。ちなみに、これには俺はまったく介入してないから。つまりお前の身から出た錆だ。ちゃんと、女の子にも愛想を良くしておけば良かったのに。普通に女と一緒に居るなんて恥ずかしいていう思春期に入っちゃうから」
トール「そんなの、本当に一瞬だけだろ。すぐに野郎ばかりになった時に、俺が間違っていたことに気が付いたよ!」
オーディン「馬鹿め。女性は大切にしろと、母親に教わらなかったのか」
フレイ「意外にオーディンはフェミニストだからね。将来もう少し落ち着きが出てくると、たぶん一番モテるんじゃないかな。見た目と家柄はばっちりだし。トール、選ぶなら今だよ」
トール「選ぶかっ!!というか、ウル先輩だって、条件は同じだろ。何で、オーディンが一番なんだよ」
フレイ「さりげない対抗心ありがとう。ウル先輩の場合は、綺麗すぎるからね。たぶん敬遠されるかなって思うんだ。ほら、何事もほどほどがいいって事で。あ、そろそろ時間だから閉めようかな。じゃあ、最後はテュール先輩お願いします」
テュール「最後の方の話が良く分からなかったが……まあいい。ごほんっ。あー、人族代表として、これからも魔族の方々と交流し、友好を深めていきたいと思う。よろしく頼む」
フレイ「はい。ありがとうございました。来週は、いつも通りの対談に戻りますので、お願いします。では、ここまでおつきあいありがとうございました」