魔王×勇者+アルファの対談(第三回目)【拍手再録】
ユイ「はい。本日も始まりました。三回目魔王×勇者+アルファ。今回は特別ゲストとして、勇者君の幼馴染であり、パーティ―メンバーで魔導士をしているフレイ君にやってきてもらいました」
フレイ「こんにちは。参加することができてとても光栄です。姉さんも呼んでくれてありがとう」
ユイ「いえいえ。私としても心強いからありがたいし。マンネリ化すると、このコーナーどころか、雑誌がつぶれてしまう可能性もありますから」
勇者「うわぁ。会わせてはいけない厄介な2人がタッグ組んで目の前にいるなんて……」
魔王「ユイとフレイは混ぜるな危険コンビと言っただろ。何でコイツを魔族領に連れてきたんだ」
勇者「だって、幼馴染だし。まさか本気で俺らをくっつけようと色々画策するなんて思ってなかったんだよ」
魔王「もう少し人を見る目を養ったらどうだ。その眼は飾りか?」
ユイ「まあまあ。魔王様。フレイ君なんて言う幼馴染がライバルだと焦るのは分かりますが、喧嘩は一度やめて下さいね。じゃれ合いは可愛いので正義ですが、対談時間は限られていますので」
フレイ「じゃあ、姉さんさっそく始めようか」
ユイ「はい。では、最初はフレイ君に勇者君との日常生活を語ってもらいましょう。第一印象は?と聞きたいのですが、すでに2人は幼馴染ですので、これは難しい質問になってしまいますね」
フレイ「うーん。そうだね。第一印象はといわれても、赤ん坊のころから一緒だから、どのタイミングが第一印象なのか……まあ、基本アホの子だから可愛いけどね。からかうと楽しいよ」
勇者「ちょっと待て。アホってなんだよ」
フレイ「じゃあ、お馬鹿にしておく?」
勇者「うん。分かった――って、同じ意味だろ!」
ユイ「はう。完璧なノリツッコミですね。じゃれあっている所が可愛くて止めるのは申し訳ないんですが、えっと確か勇者君とフレイ君は従兄弟でしたよね」
勇者「そうだよ。俺の母ちゃんとフレイの母ちゃんが双子の兄弟で、家も近いもんだから一緒に面倒見られたりしてたんだよな」
魔王「同じ環境で育った割には、フレイの方がしっかりしていないか?」
勇者「フレイは頭がいいんだよ。昔から神童って呼ばれてるんだぜ」
フレイ「褒めても何も出ないよ」
ユイ「それは凄いですねぇ。フレイ君は勇者君といつも一緒なんですか?」
フレイ「基本的には一緒の時間が長いかな。勿論違う家に住んでいるわけだから、ずっと一緒という事はないけれどね」
ユイ「だとすると、フレイ君は勇者君の家族を除外すれば、勇者君の事を一番知っているという事でいいですか?」
フレイ「たぶんそうじゃないかな。現パーティーメンバーよりは分かってるつもりだよ」
ユイ「これは魔王様が不利っぽいですが、恋は時間だけが問題ではないですからね。理解者というのは得てして家族のような関係に落ち着いてしまい、恋に発展しないというパターンも残されています。特にフレイ君の方が精神年齢も高いので、まだまだ挽回のチャンスはありますよ!」
魔王「期待された目で見られても困るのだが……。俺は勇者のような落ち着きのないものより、年上の方が好みだな」
ユイ「はうっ。まさかの、フレイ君と勇者君と魔王様の三角関係――」
フレイ「俺は同い年だから、魔王の好みとは違うと思うな。むしろ、年上だと魔王様の側近の事じゃないかな?」
ユイ「はっ?!ルーンさんですか?確かに、魔王様の事を良く分かってますし、見た目よし、頭良し、性格よしの三拍子そろっていますがっ!」
魔王「アイツは、性格よしというより、いい性格だろ。流されているようで、意外にしたたかだ。それからユイ。何度も言うように、ルーンはただの部下だ」
ユイ「そんな言い訳は、私じゃなくて、勇者君の方にして下さいね」
勇者「ユイねーちゃん。フレイは自分が、妄想の餌食にならないように他人を売ってるだけだから」
フレイ「失礼な。俺はちゃんと、皆の、特に姉さんの幸せを考えているだけじゃないか。あ、一応トールが幸せになれる方向性でも考えてるから安心しろ」
勇者「フレイのその笑顔を見て、安心できるかぁぁぁっ!!」
◆◇◆◇◆◇◆
ユイ「では、続きまして、フレイ君が初めて見た魔王様の印象をお願いします」
フレイ「顔はいいけど、猫どころか化け猫の皮をかぶっていそうだなぁかな」
ユイ「おお。結構当たってますよ。魔王様は本家本元の美少年ですし、性格はどちらかというと、気まぐれな猫っぽい性格だとおもうんです」
魔王「……化け猫の皮といっている時点で、ユイが言っているのとはニュアンスが違いそうだが、まあいい。俺は、いけ好かない腹黒そうな奴だと思ったな。実に人族らしい、保身に走った考えをする奴だとな」
勇者「何か、魔王とフレイって似た者同士なところがあるよな」
ユイ「確かに。頭が切れるという点では同じですもんね。まあ、魔王様の可愛さには敵いませんが」
フレイ「魔王は可愛いって言われている時点で、相手にされてないと思った方がいいんじゃない?」
魔王「比べられて劣ったものに言われても話にならんな。それに可愛いは悪い意味ではないのだろう?なあ、ユイ」
ユイ「はい。そうです。可愛いは正義ですから。魔王様ほどの可愛らしくて素晴らしい方は、世界広しといえどなかなかいないと思います。魔族領の宝といってもいいですね」
フレイ「姉さんってばルーンさんに、微妙に洗脳されてきてそうだなぁ。そう言うのは良くないな……。姉さん、魔王の可愛さと、勇者の可愛さは違うものだと思わないかい?可愛いはそもそも比べるのが間違っていると思うよ。美人は数学的だけど、可愛いは感覚的。勇者はいじればいじるほどいい反応をして可愛いだけど、魔王は違うだろ?」
ユイ「はっ。言われてみれば。確かに、可愛いの定義はあいまいですもんね。その点美人はその民族の平均した顔とも言われていますし。黄金比とかもあった気がします」
フレイ「そうそう。だから、魔王は確かにかわいいかもしれないけど、一番という事でもないと思うんだ。もっと広く見てもいいんじゃないかな?」
ユイ「なるほど――」
魔王「ユイ。俺では駄目か?」
ユイ「うっ。その上目づかい……パーフェクト。ごめんなさい!やっぱり私は、浮気できません!!」
フレイ「ちっ」
勇者「何の戦い話をしているんだよ。後、勝手に俺を可愛いの枠組みに入れるな。俺は男だから、カッコよくて逞しい、筋骨隆々の大人になるんだからな!」
魔王「世の中には、できる事とできない事があると思うが」
フレイ「たぶん家系的に筋肉をつけるのは無理だと思うけど、夢を見るぐらいならいいんじゃないかな?」
ユイ「うーん。BLゲーム的にはマッチョより、細マッチョの方がいいんですが。でも確かにできない事を頑張る少年というのは可愛いですね」
フレイ「本当に可愛くて苛めがいがありすぎて困るんだよね。早く魔王とくっ付いてもらわないと、俺としては困るんだよ。たぶん残された時間は長くなさそうだし」
勇者「可愛いとか、苛めがいがあるとか、全然分かんねーんだけどっ!てか、さりげなく恐ろしい事言うな!!」
ユイ「恥ずかしがらなくてもいいのに」
勇者「恥ずかしがっているんじゃなくて、嫌がってるんだよ!ユイねーちゃん、ちゃんと現実を見て!!」
フレイ「照れるなって」
ユイ「あ、やっぱりそうなんですね」
フレイ「俺が一番、トールの事を知っているからね」
勇者「畜生!フレイの馬鹿野郎!!」
魔王「……面倒になってきたから、そろそろユイ、一度閉めてくれないか」
ユイ「あ、確かにそろそろ終わりの時間ですね。では、【魔王×勇者+アルファ】の対談第三回目はここで閉めたいと思います。えっと、質問やリクエスト、ゲストでこのヒトを呼んで欲しいなどのご意見はいつでも承っております。では、最後にゲストのフレイ君から一言どうぞ」
フレイ「人族と魔族は違う生き物ですが、まったく相容れないわけではないと思います。俺も勇者と一緒に共存できる道を探していきたいと思いますので、今後ともによろしくお願いします。では、また来週」
勇者「何か綺麗にまとめられているけど、納得いかねーんだけどっ!!」