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スダチマデ。  作者: 瑚茄
イチネンセイ
7/7

ブカツドウ (前篇)

『4月○日に第1回 創作同好会兼放送局の話し合いを計画しています。絶対に忘れないで参加してね! その時に他の新入部員も紹介するから。あとついでに放送局の話し合いもするから』


 数日前に戸鞠とまりが言っていたことを思い出す。

 そして今日はその話し合い日、…憂鬱すぎる。

 琥珀はそうしたからと言ってどうにもならないということは判っているが、つい癖で頭を抱えてしまった。


「1人で部屋にいる時や教室の自分の席にいる時ならいいとしても、こんな学校に行くまで往来でいきなり頭を抱えて立ち止まるのは、かなり怪しいと思うよ」


 いきなり頭を抱えた幼馴染を心配して声をかけることもなく、元凶は言い放った。


「…誰のせいでこんなことに」


 恨みがましく見るも相手は何処吹く風といった感じで先に進んで行った。

 その背中は清々しいくらいに…いや、言いたくない。



○●○●○



 高校生になったからといって中学生の頃と比べて何か目に見えてが変わるということはない。変わるとしたら校舎の外観と中、教室の配置、クラスメイトの顔触れ、トイレが新しいか古いか、臭いか臭くないか、というところか。

 授業に至っても、難易度が高くなったくらいで、これといって変わりない。

 いつもと変わりない平穏な日常。今日はもう最後の授業も終わったところなので、あとは終礼を終わらせ、学校を出て、家に着いてからもゲームをしたりパソコンであちこち見て回って、夕飯をって、風呂に入って、歯を磨いて寝りゃいいだけ。そう、それでいいんだ。―――よし、帰ろう。


「って言って帰れるわけがないし、帰すわけがないでしょう?」

「――毎度のことながら思うんだが、なぜ口にも出してないのにお前には分かるんだ?」

「君の体から放たれる空気とその他諸たもろから」

(俺、人 間 だ か ら !!!)


 このまま平穏な日常を送れるようにすぐさま帰ろうとした俺は、先手を読んでいた戸鞠によって敢え無く捕まってしまった。

 戸鞠の後ろには青戸せいとが立っていた。その顔には苦笑浮かべていて、諦めればいいのに、と言っているようだった。――だから諦められたらこんなに苦労はしない!

 そんなことを考えているうちに戸鞠に引き摺られて連れて行かれたのは『放送局』と書いてある部屋だった。

 中に入ってみると、すでに生徒が1人椅子に座っていた。髪をずいぶん短く切っているようで一瞬、男子生徒かと思ったが、持っている小物と制服から女子生徒だと気付いた。なんだろう、とても眠たそうに見える…。


「はい、2人に紹介します! この子は月原わちばら 梨乃りのちゃん。同じクラスの子だよ。梨乃ちゃん、こっちの背の高い方が金垣かねがき 青戸くん。私はあおくんって呼んでいるよ。もう1人の小さいのは木登きど 琥珀こはくって名前で、私はいつも名前で呼んでいるから、梨乃ちゃんもそうしてあげて! 同年代に対してすっごい人見知りだから話しかけ辛いだろうけど、根はいいやつだよ。あっ、青くんは優しくて社交的で、本当にいい人だから!」

「金垣 青戸です。どう呼んでもいいからね。よろしく~」

「…よくしく」

「はぁ、こちらこそよろしくお願いします」


 戸鞠による長々しい紹介―若干いらないものも混じっていたが―の後、俺たちも一応個人で挨拶をした。

 月原も俺たちの方を名前と顔を確認するようにじっくりと見てから、同じように軽く会釈した。そしてこれは俺の独断でしかないが、彼女も戸鞠には劣るが青戸と違う意味で同じくらいマイペースだと思う。なんとなく俺の動物的な感がそう言っている気がする。


「じゃぁ実際どんなことをするかさっそく話しあいましょうか!」


 これにて始まった『第1回 創作同好会兼放送局の話し合い』!

 …どうなることやら。



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