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スダチマデ。  作者: 瑚茄
イチネンセイ
6/7

番外編 : なるように…なった!!!

本編の「ブカツドウ」あたりの話です。青戸視点で琥珀との会話について書いています。

どちらを先に読んでも大丈夫だと思われます。

 僕が初めて彼らに会ったのは入学式の日だった。

 僕はもともと目が悪くて、眼鏡を掛けていたとしても小さい文字となると顔を近づけなくてはいけないほどだ。

 入学式が始まる前に自分のクラスに行かなきゃならないのに、クラス割りの紙を見てみると文字が小さい…。

 何故こんなにも文字を小さく書く必要があるのかってくらい小さい。

 はてどうしたものかと困っていると、僕の前でクラス割りの紙を見ていた男女はもう自分の名前を見つけたのか、女の子だけ教室の場所が書かれている紙を取りに行った。

 僕は、これは誰かに自分の名前を見つけてもらうしか方法はないんじゃないか、と考えていたところだったので前にいる男の子に話しかけてみることにした―――



○●○●○



 ただいま僕の前の席では1人の男子生徒が机に突っ伏している。

 男子生徒の名前は木登きど 琥珀こはくくんと言い、僕ははくくんと呼んでいる。

 彼と知り合ってからまだそんなに経ってないはずなのに、机に突っ伏しているところは何回も見たことがある気がするなあ。

 彼はよく机に突っ伏している。多分、考え事や悩んでいたりしている時の癖かもしれない。前にもこんな恰好をしていたが、その時は自己紹介について考えている時だった。

 そして彼の今回の悩み、もしくは考えている事柄は、彼の幼馴染が持ってきた『部活動』のことについてだった―――ちなみにその幼馴染というのは、水城みずき 戸鞠とまりいい、僕や珀くんと同じクラスの女の子だ。僕はまりちゃんと呼んでいる。

 なんでも鞠ちゃんはこのたび、今まで学校になかった『創作同好会』という部活を作ったらしい。顧問は僕らのクラスの担任である宇代うしろ 八柳やなぎ先生で、新たに部活動を作る際、 鞠ちゃんは宇代八柳先生が出したある条件を受け入れたらしい。

 それは、今のところ誰も入部していなくて、存在はあるものの使われていない、放送局の部員になることだった。

 そしてそれは幼馴染の珀くんにも回ってきた。

 珀くんの方は、高校生活を部活にも入らず、もしくは所属するにしても帰宅部に所属するつもりだったらしい。なんとか自分に話がこないように他人のふりを決め込んでいたみたいだが、そんなことはお見通し、と言った感じに鞠ちゃんに強制的に2つの部活に入部することとなった。

 …ん? 僕??

 僕ももちろんどちらの部活にも入部しているよ。だってなんだか面白そうじゃないか。

 まあ、あとは他の部員だね。流石さすがに3人だけで、っていうのは寂しすぎるし、マンネリ化しちゃうからね、おっと。

 少し話が脱線している間に珀くんも起き上がって、こちらを見てなんというか微妙な顔をした。

 そういえば、机に突っ伏しているところもよく見るけど、こうやって微妙な顔で見られることもよくあるんだよなあ。どうしたんだろ?


「お前さ、今日の話し合い参加するの?」

「え? あぁ…うん、参加するよ」


 びっくり。そんなに僕のことを見つめてるのー? やら、見惚れた? などと珀くんをちょっとからかうために話しかけようとした瞬間、先手を取られてしまった。いや、相手にはそんな気は全くないだろうけど。

 そうだった。今日は創作同好会と放送局の記念すべき1回目の話し合いがあるんだ。

 危ない、忘れて帰るところだった。

 そしてやはりというか、彼の悩みは『部活動』についてだった。


「あれ? 珀くんは参加しないの?」

「お前、判ってて聞いてるだろ。…できれば出たくないよ。でも…戸鞠に捕まるんだろうなぁ」


 そういって珀くんは僕の机に力尽きたかのように突っ伏してしまった。

 僕はその頭を人差し指で軽く突き、そのまま時計回りにクルクル回した。


「まあ、悩んでいても仕方がいんだし、勢いでやってみるとなんとかなるもんだよ。ほら、自己紹介の時もそうだったようにさ」

「…あーぁ、お前や戸鞠みたいな前向きなところが俺にももーちょっとあればなぁ」


 いつもの珀くんなら、僕が少しちょっかいを出したら振り払うのだが、今はそんな気力すらないのか、されるがままになっている。

 その後もいろいろと弄っていたら流石さすがに堪忍袋の緒が切れたのか、机の下で僕の足を蹴って反撃してきた。

 うん…珀くん……脛は痛いよ…ホント。しかもコレ、全力で蹴ってるでしょ? 暴力は頂けないな~。

 え? 言葉で追い詰めるのはどうなんだ、って? それは………ノーコメントで。


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