ジコショウカイ (後篇)
LHRも終わり、あとは担任が来てから終礼を終わらせるだけの教室内は少々賑やかだ。そんな中で俺は腕を枕代わりにし、目を伏せて考え事をしていた。
自己紹介の後は意識でもぶっ飛んでいたんじゃないかというくらいに何も覚えていなかった。
という訳で、青戸の自己紹介も戸鞠の自己紹介も覚えていない。目を開けて聞いてはいたが記憶に残っていない。
…なんとなく損した気がする…。
「良かったねー、何事もなく無事終わってぇー」
後ろから青戸のやはり間延び声が聞こえた。
こいつがハキハキと喋っている時なんてあるのだろうか。そして、あるとしたらそれはどんな時なんだろうか。
「あれー、無視? それともホントに寝ちゃってる?」
青戸は自分の席から立ち、俺の前の席のやつがいないのをいいことに勝手に座った。これは案外、やられる側は迷惑極まりないことだ。大袈裟に言えば、少し席を外している間に居場所を取られているということなのだから。
俺は仕方がなしに目を開け、青戸の方を見上げた。
青戸は、やっぱり、といった感じでニヤニ…いや、ニコニコしていた。
「なんだ、起きてるじゃん」
「…なに?」
「ふふ、…いや、お疲れ様って思ってね。かなり疲れてるみたいだから」
てっきり俺は自己紹介の事についてからかってくるのかと思った。自己紹介が終わってからの青戸から漂ってきた空気のこともあるし…。
しかし掛けられたのは労わりの言葉。俺は、少し青戸の性格を見直した方がいいかと考えた―――。
「まさかあんなに早く終わらせちゃうとは思わなかったけど。しかも趣味が睡眠って………宇代八柳先生に目付けられちゃうかもよ」
あぁやっぱり見直さなくていいよね、いいよな!!!
俺は自分の中で何回も確認しながら、その後も続く青戸の言葉を聞き流していた。
―――が、その中で聞き流しちゃならない内容が出てきた。
「そういえば鞠ちゃんが何か計画してるっぽいよ」
「………は?」
俺は腕を枕代わりにして机に凭れていた体勢から一気に起き上がり、青戸に少し詰め寄った。
「さっき宇代八柳先生と話しあってたんだけど、それが普通の談笑って感じじゃなかったから。あ、だからって怒られてるって感じでもないんだよ」
俺は頭を抱え込んだ。
何故って?
それは幼馴染の好だかなんだか知らないが、大抵の事は巻き込まれるからだ。
巻き込まれないように逃げたからって見つかってしまえば、首根っこを掴まれて引き摺られるのだ。
あぁそんなことを考えていたら頭痛までしてきたような気がする。
原因の戸鞠を探そうと顔を上げようとすると右横から誰かが立っている気配がし、そちらを見てみると戸鞠がいた。
その顔は、何かを企んでいて楽しみって感じが一面に表れていた。
そして戸鞠は口火を切った。
「ねぇ青くん、もうどんな部活入るかとか決めた?」
「いや、特に入ろうかなと思ってるものはないよ」
「そう、じゃぁ一緒の部活に入らない?」
「んー、どんな部活にかもよるなぁー」
青戸の言葉は少しばかり悩んでいる雰囲気だが、その顔は好奇心に満ちていた。
「1つは放送局。で、もう1つは創作同好会。ちなみに同好会の方がメインね。放送局の方はうっしーとの交換条件で、放送局に3人以上局員が入らなければ創作同好会を作ってくれないって言うからさぁー。…どう?」
「うん、面白そうだね、いいよ」
「やった! …あとそこで、俺は何も聞いてない、って感じで話しに交わろうとしない琥珀も入るんだからね」
「………拒否け「ない」…はい」
あぁ…ホント、俺の人権って何処?
「あー良かった。これで学校での楽しみがまた1つ増えたわー、ふふっ♪」
なんだろう、長年聞きなれた声が悪魔の声に聴こえる…。
俺はその後、再度意識を何処か違う場所へと飛ばしていたようで、終礼が終わったことにも青戸に揺すられるまで気が付かなかった。
お…終った。。
終ってくれて良かったです(汗
そして次ゎ部活関係。